- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101183183
感想・レビュー・書評
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【恐ること、怯えること、怖がることの前に、知ろうとすること】
まず、恐ろしく姿勢の正しい本だと思った。読者をきちんと意識したつくり(本書の早野氏のつくる姿勢を知ったら納得した)で、表紙のように、きちんと教台があって、黒板があって、机と椅子がある明るい教室のような本。決して道端でおばちゃんたちが噂話をするような雰囲気の本ではない。
本書は【福島は安全だよ、心配ないよ】という宣伝書ではなくて、文字通り【知ろうとすることへの姿勢】を提案する本だ。生き方の本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
福島の現状についての対談。このタイミングでこそ言い切れる情報たくさん。勉強になりました。
また、この分量、この価格でまとめるセンスが素晴らしい。理系なら、データ満載で分厚い本にしちゃいそう。 -
2014.12
よく調べもしないで、漠然とした情報だけで不安が膨らんでいた。自分で事実を掴みにいくこと、自分で信頼できる情報を見極めること、自分で納得すること、それが自分の生き方に繋がる。信頼できる内容だった。ひとりの日本人として、母親としてもっと何かできることがあるんじゃないかと。 -
世の中は何が正しいのか、どの情報を信じたらいいのかわからないことがたくさんあります。確固たる「真実」が「正解!」のようにあればスッキリするのかもしれませんが、そう簡単にはいかないのがほとんどだとおもいます。
だれから見ての正解なのか、見る人、見る場所、見る時期それぞれに「正解のようなこと」があって、複雑な事柄ほど、そういうことが絡み合う。福島の原発のことなどはその極みのような気がします。
何が何だかわからないことこそ、簡単に結論付けてはいけないとおもいます。わからない状態が続くということは不安定でしんどい。だからと言って楽になるために結論を決めて安心しようとしてはダメなのだとおもいます。この本の題名のように「知ろうとすること」をあきらめてはいけないと。
だからこそ、この本から与えられる科学的な知識は、たいへん新鮮でした。このような考え方の指針となったり事柄を整理できるような情報は、世のニュースなどにはほとんどないから。このなかの138億年前の宇宙の話になった時には、視界が大きく広がった気がして、明るい気分になりました。ものを考える時には、時にものすごく広い見地で考えることも必要なのかもしれません。
そして、イトイさんが言う事実を選ぶ姿勢としての「よりスキャンダラスでないほう」「より脅かしてないほう」「より失礼でないほう」「よりユーモアのあるほう」4つのことを肝に命じたいと強くおもいます。 -
震災後モヤモヤしていたことが、ひとつストンと納得できた。スキャンダラスに叫ぶのではなく、ちゃんと説明することが大切。きちんと理解して、流されないようにしたい。
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•「二冊目の本を取る」というような行動こそが、知らず知らずに差別や風評被害みたいなことにつながっているのかもしれない。そういう非科学的な部分が自分にもあるとしっかり自覚を持ったうえで、できれば大切な判断の時には「汚れてないなら一番上の本を買う」という行動を取りたい。そういう考え方の軸になるのは科学的な知識。
•新しい情報にオープンになり、知識を更新すること。発信する側にも問題がある。ニュースなセンセーショナルな情報しか取り上げない。
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人が自然界から受けている放射線量=自然被爆の目安が年間1ミリシーベルト。世界平均は2.4ミリシーベルト。
それ以外で受ける放射線量の目標値は年間1ミリシーベルト以下。これにCT検査等の際の医療被曝(年間平均4ミリシーベルト程度)は含まれない。
国際放射線防護委員会(ICRP)は年間100ミリシーベルト以下の低線量被曝の人体への健康被害は明らかではないとしつつも、被曝量は出来る限り少ないのがよいとの視点に立っている。ちなみに放射線業務従事者の制限値は5年間で100ミリシーベルトかつ年間50ミリシーベルト以下。
D-シャトル←ガラスバッジ。
ベビースキャン。科学的には必要のない装置。
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細胞膜の信号伝達に関係する必須元素のカリウムは放射性物質であるカリウム40を含む。
「人間の大人は体内に4000ベクレルの放射性物質を常に持っている」
「4000ベクレルっていうことは、今この瞬間、体の中に毎秒4000個ずつカリウム40が壊れているわけですね。で、壊れる時に放出する、放射線のβ線やγ線が、ある意味体を傷つけてるわけです。」 -
イトイさんの「もうひとつのあとがき」は手帳にでも貼っておいて、いろいろなことを判断するときに読み返したい。
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放射線の話も面白いのだけど、5章の科学の言葉と文学の言葉がどう関係しているかについての脱線がすごくいい。
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震災以降ずっと早野先生のツイートを読んできた その人がらや仕事が良く理解できる 科学ってなに
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543.5 / 福島第一原子力発電所事故(2011)/
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2014年10月刊。
糸井重里と、原発事故直後から放射線情報をリアルタイムにツイートしていた物理学者の早野さんの対談文庫本。
震災から3年経った今、原発事故の放射線問題の現状について語り合う。
◆【引用メモ】糸井:「わからないから怖い」って不安に思っている人ほど、新しい情報に対してオープンじゃなかったりしますよね。「触らぬ神に祟りなし」って感じで近寄らないようにしてたり、「何が何でも放射線はゼロにしてくれ」って、耳を塞いで言い張ってたり。地球のどこかにいる限り、放射線量はゼロにはできないのに。(p.16 序章) -
対談本は苦手ですが、まあまあ良かった。
スピークアウトすることって大切やけど、やっぱりそれもエビデンスをしっかり準備することが大切。よりセンセーショナルでなく、より正義を押し付けず、よりユーモラスで、そしてよりモデストな姿勢で。
何事も一歩引いて、少しずつ検証する時間と手間を惜しまない。 -
良かった~!
対談集って苦手なんだけど、これは良かった!
放射線のこと、けっこう勉強したつもりだったけど、すんごい分かり易くて勉強になったし、もっと冷静に考えようと思えた。
原子の崩壊とか物理学的数学的考え方とか。ザ・科学者 × 文系一般人代表みたいなやり取りのなかで、お互いがこういうものの見方をしてるのか~と気づくところも面白かった。
高校生をCERNに連れて行った話には希望を感じた。
若い人や、科学は苦手...って人にも、気軽に手に取って欲しい1冊。 -
広く多くの人に勧められる本
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震災から3年以上経った今、現在、自分たちが震災後どのような位置に来ているのか再確認できる本。
早野先生のあとがきに、「原発の事故は、起きてしまったことです。しかし、そこに生じた問題について科学的に考え、アプローチする態度が身についたら、将来大きな力になる。」と書いてあったことに、一筋の光を見たように思う。原発問題(事故を含めて)を今後どのように考えていくのか一度は手にして読んでみる本だと思った。 -
「叫ぶ人は信用できない」という糸井さんの言葉。納得。緊迫した時こそ、ここぞという力を発揮しなくちゃいけない時こそ、落ち着いて周りの人と接し、行動できる人に、自分もなりたい。水素は138億年前から変わってない、という話、面白かった!科学は複雑に見えるけど、実はとってもシンプルなんだろう、という気がした。
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表紙の印象とは違う、対談的な。
でもまぁ、良かったかなぁ。
事故を受けて沖縄まで引っ越した人たちを思うと
なんだかいろいろ感じるところがありました。 -
正しく知るということ。
その難しさを改めて感じる。
人は、信じたいことを信じたいように理解する。
一度出来上がってしまった、固定感という壁をどうやって
切り崩していくのか?
著者らの苦労は、この本の中には述べられていないが、
大変さは感じる。
良書だと思う。 -
読んで良かったと思える本だったし、他の人にも読んで欲しいと思える本だったので、周りの人にも勧めている。
福島の原発事故については色んな人が色んなことを言っているので、何を信じればいいのかわからない人が多いのではないかと思う。こうしている今現在も、某首相が言ったような、完全にコントロールできている状態にあるとはとても思えないし、東電や政府の発表を素直に受け入れることはとてもできない。そんななか、信頼できそうな人が、きちんとした根拠(データ)を持った上で、冷静に話をしてくれることは、大変な安心感を与えてくれる。
でも実は一番印象に残ったのは、138億年前のビックバンからずっと巡り巡ってここにあるという水素原子の話だった… -
震災でもなんでも、やっぱり論理的な話を理解することが重要だということ。
でも、結局理解しているつもりでも信じるか信じないかという話であること。
でも、私は信じたい。
そして、震災の話はそうもう長く議論されないだろうということ。 -
科学的なこと、あるいは一見科学的に見えることについて、その真偽を(ある程度)正しく判断するには、数学的素養が必要だなと思った。
しかしたぶん中学程度の証明問題について、「なぜそれで証明されたことになるのか」を、きちんと理解できる程度のことでいいのだと思う。 -
やさしい言葉で書かれているため、分かりやすく、勉強になった。信頼できるデータを基に話しているのが分かるため、読んでいて安心感があった。
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糸井さんと早野さん(物理学者)の対談形式で
福島第1原子力発電所の原発事故による放射能の現状を
わかりやすく説明していて とても読みやすく
また納得できる根拠が満載で たくさんの人に
読んでもらいたい1冊です。 -
読むべき本
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ずっと読みたかった本。
ようやく昨日手元に届いて読了。
会話を隣で聞いてるように非常に読み易かったので、サクッと2時間程度で読めた。
門外漢だからと言って無関心だったり、
拒否反応を起こすのは、単なる言い訳。
無知はある意味犯罪に近い。
(自身の反省も含めて強く言うけど)
知ろうとする姿勢、
まずはそれが大事。
水素の話、クスっと笑えたけど、
久しぶりに知的好奇心をそそらせる、
そしてワクワクして読めた一冊。 -
知ろうとすること。
正しい知識を得ること、誤った情報に流されないこと。
未曾有の原発からの放射能被害を
冷静に分析し対処する姿勢に感服させられた。 -
ネットが普及したせいか、旧型のマスコミの信頼度が下がった中、科学的な視点って、大切だと再認識。こんな時代だからこそ。それを思い出させてくれたし、糸井さんの科学に対するスタンスにも好感、一気に読めた。
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原発事故後に放射線に関する科学的・客観的ツイートを続けた早野さんと、それに魅せられた糸井さん。科学的思考と非科学的思考との間を論考する、二人の対談。
できるだけ科学的に正しい側に立ちたい、との思い。――一方で、「二冊目の週刊誌を手にとる」感覚も、理解できるとする。
それでも社会を科学側に近づけていくために、科学的に情報を冷静に、根拠を添えて出すこと。デマや杞憂に対しては、正しいことを、適切な「態度」で伝える。発信も、キャンペーン化してしまうとダメで、個人個人での(地道な)伝え方のほうが効果的。
やや本題からそれるが、原発そのものへの賛否というのはYes/Noで答えられるものではない、との言及は印象的(第1章)。もちろん、なくて済むなら、ないほうがよいに決まっている、とはしたうえで、しかし原発は非常にデリケートな問題を孕んでいて、そこに住むこと(住む人の人生)の諸課題に密接に結びついているのだと指摘。本当にその通りだと思った。原発だけでなく、「ダム」なんかも同様だろう。物事(判断)は抽象化できるものではなく、大いに各地域やそれぞれの人々に関係してくる問題だ、ということ。
さらに付け加えれば、福島高校の生徒を欧州でのWS(発表)に連れていった話もよかった。こうした論考や発信の機会を通じて、科学リテラシーは若者に浸透し、磨かれていくのだろう。