- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101228013
感想・レビュー・書評
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小澤征爾が死亡してからその追悼として紹介されているほんであった。今から45年前に出版された本であるが面白い。音楽について欧米に行く人には必携のものであろう。
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彼は基本的に楽観主義者
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前を向いて颯爽と新しい道を歩いていく小澤さんの人懐こい笑顔が見えてきそう
何度読んでも元気になれる -
すごく面白かった。
あっけらかんとした語り口なのに、成し遂げたことがものすごい。
天才が、頭角をあらわしたまさにその時に、その若き瞬間を振り返るという、希有なリアルタイム自伝。手紙の文章がとてもあたたかい。SNSの時代にあって、手紙のありがたみが、言葉の温かみが感じられる。
ヨーロッパ、アメリカ、日本文化論としても重要。バーンスタイン、カラヤン評も面白い。つまり、名著だ。 -
20240404読了
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ニュースで小澤征爾さんの訃報を知り再読。
ブザンソンの川で美人がビキニを着ていたから対抗して裸になったり、愛嬌があってとにかくお茶目な人だったんだろうなと思う。
この1冊だけでも小澤征爾さんはほんとに多くの人に愛されていたということが伝わった。
24歳で1人で世界に渡り、不安も大きかったろうに手紙には離れていてもこまやかな家族への気づかいが書かれていたのが素敵。
作中には「僕は幸せだ」ということが繰り返し書かれている。
周りの人や環境、この時代に世界を旅出来るということを考えれば誰もが当然のようにそのことを幸せだと思うだろうけど、それを時間が経っても世界のどんな場所にいようと忘れず常日頃感じることは誰もが当たり前にできることでは無いと思った。
この本は小澤征爾さんが音楽家として駆け出しの時に書かれた本であるから他の人が彼と同じ環境を味わって書いたのならもっと音楽に対するもがきや葛藤が描かれていたと思う。
けどこの本にそういった描写が無いのは小澤征爾さん自身がずっと音楽を心から楽しんでいたからじゃないかと思う。
さらば、ヨーロッパの章に書かれている内容から伺える通り、小澤征爾さんが音楽にひたむきに情熱を注いで、純粋な姿勢で音楽に向き合っている様が感じられて読んでいて清々しかった。
いい音楽を精いっぱい作りたいということ、たったそれだけを願い、音楽家としての多くの名誉や富を求めずただまっすぐに音楽に向き合った彼は本当に素晴らしい音楽家だったのだと思う。 -
すっかりワールドに入り込めた一冊。最後の場面。ニューヨーク・フィルハーモニーの副指揮者として日本に帰ってきて感無量になる場面は、こちらもこみ上げるものがあるほどでした。海外でのあの武者修行があったからこそ、世界的な指揮者になれたのだということを説得力をもって感じさせられました。著者の「優しさ」に注目された解説も興味深かったです。
■音楽のすごさがやっとわかった
音楽のすごさ。それは、言葉が通じなくても、弾いたり、歌ったりすればよさがわかること。みなが楽しめること。言われてみれば当たり前なのかもしれませんが、ピアノをいやいや習って全く身につかなかった人間からしたら、別世界の話だったんです。でも、本書を読んで考えが変わりました。あぁ、こういう考えで音楽を聞けたら学生時代の音楽鑑賞会をぐっすり寝ないで済んだかもしれません。
■日本は芸術的な町がない
ドイツやパリ、アメリカでは、あたりまえにあるまちなかの芸術が日本にはないことを憂いていたところが印象的でした。確かに、芸術家の名を付した道路や、大会っていまだにないですよね。セイジ・オザワ松本フェスティバルくらいでしょうか。また、純粋に音楽ではなく、派閥やコネを気にしないといけない日本の貧しさを指摘されていたのも印象的でした。
■武者修行の大切さ
海外で生活して感じたことは、人生の大きな糧になると思いました。確かにお金はかかるし、著者も何回もお金やら梅干しやら請求しています笑 それでも、周りの人に助けられてどんどん成長していきます。コンクールで優勝したあとは、顔が割れたこともあり、地域の方にも助けてもらいます。アメリカ行きのお金がないときにアメリカ大使館に助けてもらうという発想や、スクーターや車でヨーロッパを駆け巡った日々の描写は今読んでもとてもキラキラしていました。たくましくなります。
(これはネタバレかもしれませんが)
パリ滞在時代にたまに出てきた江戸さんとは一瞬結婚されますが、(本書ではそこまで出てない)生活の不一致で別れることに。そんな視点で読むこともできます。 -
小澤征爾が2024/2/6にご逝去。有名な指揮者ということしか存じ上げなかったので、司書さんに薦められて読んでみた。とても面白かった。文章もモタモタするところもなく、若き小澤征爾が、臆することなくチャレンジしていく様子が、伸びやかに語られていた。コンクールに次々と優勝していくのはやっぱり凄い人なんだなーと思う。ミュンシェ?バーンスタイン、カラヤン、バックハウス?フィッシャー・ディースカウ?最後の2人は、世界中の音楽家の中で、一番尊敬している人らしい。理由は百回演奏会して、九十九回まで同じ様に完璧に演奏できるから。
カラヤンに飯を食おうと誘われてもしめたとは思わないが、バーンスタインに誘われたら、しめた今日は美味いものにありつけると思うー
オーケストラのお国柄というものがあって、ベルリン・フィルハーモニーはどんな指揮者でも崩れない。フランスは、一人一人の楽員の音がバラバラに。
アメリカはビジネスに結びつき、指揮者の技量に出来が左右される。
手紙に出てくる、弟のポンがいい子みたいで、小澤征爾もとても可愛がっているし、頼りにもしている。 -
征爾売り出す。1962年音楽を学ぶための渡仏から始まるあの小澤征爾の第一歩。戦後の余韻残るなかフランス、ドイツ、アメリカで数々の名指揮者から薫陶を受ける。瑞々しい感性。