儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 12221
感想 : 1199
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287829

作品紹介・あらすじ

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

感想・レビュー・書評

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  • 暗黒ミステリ...個人的には救済措置が多過ぎて暗黒と言うより曇り空。不満は無く、読者に解釈を委ねる文体は好きだ。あぁでもないこうでもないと脳内はカーニバル。楽しい。

    優美さを感じる語り口
    美しさを纏った「死」の前兆
    あくまで正常ベースな狂人
    夢想家の集まる読書サークル「バベルの会」の華やかでしかし何処か切なさを伴うこの存在感に、決して穏やかではない作品を手にしているはずなのに気分は文系女子だ。錯覚です。

    どちらかと言うと作品の中身よりも、残ったであろう人物達のその後のムフフ... で欲求を満たしていた。
    陽の当たる部屋にてお紅茶を片手に膝の上に長毛のお猫様を乗せその頭を撫でながら優雅に読んでいただきたいそんな一冊です。

  • 読書サークル・バベルの会に所属するお嬢様たちの短編集。

    大満足だった満願に続き連読。
    ずっとに楽しみに積読していた作品。

    感想はズバリ、悲しい、悔しい。
    この二言に尽きた。

    アミルスタン羊やら、イズレイル・ガウやら、引用されているワードや参考文献、文学知識がない私の読書レベルでは理解到達はもとより、まったく感情が揺さぶられなかった。

    唯一、著者特有の文体によってシュールでノスタルジックな世界観が味わえたことだけが救いであった。

  • 最後の一行で…キャ〜〜!
    まぁ、そこまでいかんか。ゾクって感じ^^;
    読後感が、かなりスッキリ??する…
    って話の集合の短編集。
    「バベルの会」という読書会に薄く繋がっている作品たち。
    みんな上流階級のボンボンやお嬢、その周りで起こるエピソード。
    やっぱ、上流階級には、闇があるな!こんな上流階級なら、私は…私は…私は…やっぱり羨ましい!
    しかし、「始めちょろちょろ、中ぱっぱ。赤子泣いても蓋取るな」って…
    怖わΣ('◉⌓◉’)

  • 短編集の中でトップクラスのものだと感じました。

    表紙絵も雰囲気がとても好きです。

    ミステリーだと思っていたが、ホラー要素が強かった。短編ごとにしっかりオチがあり、何度もゾクっとさせられた。
    ラスト一行の衝撃がすごい!

    個人的に「玉野五十鈴の誉れ」が一番良かったです。バベルの会にお邪魔してみたい、、、

    また読み返してみたいと思います。

  • 初めての米澤穂信さん作品。
    「氷菓」からかな〜と思いつつ、一番書影とあらすじに惹かれたこちらからにしました。

    儚い羊たちの祝宴、私の大好きな世界観でした。
    短編集ですが、共通要素は『バベルの会』。美しさも兼ね備えた暗黒感と言いますか、こういうの大好き。(ドキドキ)

    秋吉理香子さんの「暗黒女子」でも文学サークルの世界観に惹かれ、気品と美しさの中に隠れる毒に魅力されました。あぁ、私こういう世界観に憧れてるのねと初めてきちんと自覚しました。(暗黒要素は置いときまして。笑)

    どのお話も程よくゾッとさせてくれる。

    『身内に不幸がありまして』
    作中に出てくるたくさんの著作の中で、私は江戸川乱歩しか読んだことがなかったので、こういう世界感かぁと思いながら読んだ。夢野久作のドグラ・マグラ、シェイクスピアのマクベス、他、横溝正史、エラリー・クイーン、海野十三、泉鏡花などなどいつか手に取ってみよう。

    『北の館の罪人』ラストの絵の行先を想像してゾッとします。

    『山荘秘聞』だけはここにきて逆にそっち?!と脳内が黒いモードの私はすっかり騙されて、作者の巧さに笑ってしまいました。うんうん、こっちの方が現実的だよね。さすがスーパー使用人!

    『玉野五十鈴の誉れ』一番のお気に入りは、コメント欄にも多くいらっしゃいますが私も同じくこちら。玉野五十鈴目線の物語が読みたくなる!「始めちょろちょろ、中ぱっぱ。赤子泣いても蓋取るな」

    『儚い羊たちの晩餐』応接間に飾ると言うジェリコーの「メデューズ号の筏」をググる。この絵を応接間に飾るのか…。怖い。アミルスタン羊に対して不穏感がじわじわと襲ってきてゾッとする。

    本作では、知らない語彙や、知らない作品がたくさん出てきたので語彙はググり、気になる作品はいつか読もうとメモメモ。

    図書館で借りたが、気に入った作品やまたいつか読みたい作品は購入するようにしていて、こちらも私の本棚の仲間入りに(*´-`)大満足の一冊でした。

    この作品に最後の一行でどんでん返し!的な煽り文句はいらないなぁと個人的には思う。

    • 土瓶さん
      あささん、こんばんは~^^
       
      わかります!
      この短編集。いいですよね~(*^▽^*)
      おっしゃるとおり、『玉野五十鈴の誉れ』が秀逸...
      あささん、こんばんは~^^
       
      わかります!
      この短編集。いいですよね~(*^▽^*)
      おっしゃるとおり、『玉野五十鈴の誉れ』が秀逸。
      あの唄の意味に恐怖される方もいらっしゃるそうですが、私は嬉しかった。
      あの五十鈴が我が身の危険を顧みず、事を起こしてくれたことを。
      それを計算だとは思いたくないですね。
       
      米澤穂信さん、初読みでしたか~。
      いい選択だったと思います。
      青春ミステリーの「氷菓」シリーズ。また、短編集では本格ミステリーの「満願」なども有名ですし、直木賞の時代物ミステリー「黒牢城」もありますが、私は「儚い羊たちの祝宴」のほうが好みです。純度の高いミステリーというより、ホラーが混じっている方が好みなので。
      ラストの『儚い羊たちの晩餐』は黒かったですね~。
      2022/08/08
    • あささん
      土瓶さん、こんばんは^^

      わかります!私も『玉野五十鈴の誉れ』の最後は土瓶さんと同じく嬉しい気持ちになりました。そしてそれに裏があると思い...
      土瓶さん、こんばんは^^

      わかります!私も『玉野五十鈴の誉れ』の最後は土瓶さんと同じく嬉しい気持ちになりました。そしてそれに裏があると思いたくないです。なので五十鈴目線希望してしまいます!笑

      米澤穂信さん、次は「満願」を読む予定です♪ナイス選択だと言って頂き嬉しやです〜。
      土瓶さんは「儚い羊たちの祝宴」が一番好みだったのですね〜!私もホラー混じってるの好みなのでそんな気がしてきました(゚∀゚)
      『儚い羊たちの晩餐』黒かったです〜!
      アルミスタン羊…ゴクリ。
      2022/08/08
  • 資産家たちの遺恨に満ちた連作短編集。強烈なイヤミス5編。どの作品も最後の数行が怖すぎっ

    ■身内に不幸がありまして
    話の展開がうまい、すっかり騙されました。最後の一行が震える。

    ■北の館の罪人
    人って怖いよね… 物語が終わった後の物語を想像するとさらに怖い。

    ■山荘秘聞
    動機が恐ろしくそこまでやるかといったお話。

    ■玉野五十鈴の誉れ
    最も好きな作品、登場人物のほとんどが狂ってて好き。

    ■儚い羊たちの晩餐
    どこまでも闇しかないお話。これ以上は言うまい、是非読んで感じてほしい。

    全編通して米澤穂信の取材力や知識が豊富に感じられる作品。日本語が美しいのでブラックな作風ながらも大変上品に仕上がっています。イヤミス好きは是非読むべき作品でした。

  • この米澤流暗黒ミステリーは、かなりダークな5つのお話の入った短編集。
    暗黒には少女がよく似合う。
    "お嬢さま"もしくは"召使い"の一人称で綴られるどの篇にも「バベルの会」という読書サークルが登場する。

    丁寧で甘美な語り口に隠された狂気が見え隠れして
    息を呑む展開の「山荘秘聞」が怖い。
    「身内に不幸がありまして」や「玉野五十鈴の誉れ」の最後の一文は刃物に似た切れ味で、一瞬刺されたような気持ちになる。痺れる。
    あと「バベルの会」のことは表題作になっている。

    和洋の古典ミステリ作品などか、作中たくさん挙げられていて興味深い。いろいろ読みたくなる。

  • どのお話の「祝宴」も、読者に様々な「想像」というご馳走を与えてくれます。
    そのご馳走は、ただ美味しいというだけのものではありません。もしかしたら、美味しくないという人もいるかもしれません。
    でも、それでいいんだと思います。なんといってもこちらのご馳走は全て、味わった人の数だけ、口のなか、脳、胸の内に様々な余韻を残してくれるのですから。
    私たちは、思う存分「想像」を味わえばいいのです。

    主人公である少女たちの世界。
    私には、暗闇に浮かぶ脆いガラスで出来た小さな箱の中のようなイメージでした。小さな世界は、押し寄せてきた外の暗闇に覆われ混濁し、遂には溶け込んでいくのです。
    しんと静まりかえった静寂のなか、自分の発する体温と吐く息によって、世界のガラスは白く曇っていくようです。まるで彼女たちを閉じ込めるように、白く白く……
    彼女たちは寒さに体を丸めながらじっと目をつぶり、儚い夢をみているようでした。
    外の暗闇に押し潰されないように、内の暗闇の中での夢。その夢は自分だけの「祝宴」でなければいけないのです。

    けれど、夢の終わりは唐突に訪れました。
    壁の中に入りたかった外の暗闇によって。世界は呆気なく崩れ去り、夢見る彼女たちは、「祝宴」での「晩餐」となって、喰われてしまうのです。

  • 読書サークル「バベルの会」を巡り起きる数々の殺人事件・奇妙な事件。まぁ、気分が悪くなる(笑)、というか人間の闇怖いなぁ。「そんなことで?」と首をひねりたくなるような常識では考えられない理由で人を殺すのか、と思う。米澤穂信作品の底知れない真骨頂な感じだと思った。

  • 読みやすかったし面白かった!
    静かに怖い感じ?
    ハラハラドキドキとはならないけどたまにはこういうのも良い!

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。

「2021年 『黒牢城』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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