悪人正機 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101289229

感想・レビュー・書評

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  • 思考が溢れてくる一冊

  • ほぼ日刊イトイ新聞かなんかで知った本だったけれど、聞き手(イトイさん)の存在を意識せずにスラスラよめて、吉本さんの人となりに引き込まれていきます。

    はー、そうかぁ。と思える内容ばっかり。
    こういう、哲人風の人たちの言うことって、意外と対立していないというか、共通項が多いなぁ、と感じました。

    やっぱり、生き方考え方の基本原則って、かなりしっかりしたものがあるのかも。

  • 吉本隆明さんの「考えるところ」にざっくばらんに触れられる。数々の吉本語録に眼から鱗というのは、糸井さんが思うところと一緒か。

  • 新潮文庫の100冊2011フェアがあったので、何冊か衝動買い。親鸞聖人の「悪人正機」という歎異抄の一説からとったタイトルの吉本隆明、糸井重里コンビの本。
    常識と思われることに対しての吉本節がうまく作用している、吉本思想初心者の本。「最後の親鸞」を読むほうがお薦めだが、BRUTUS の特集が好きな人にはこれくらいでしっくりくると思われる。

  • 批評に関わるくだりが好きだ。「批判をするなら、より高いレベルの絶賛がいつか生まれるように、作者本人に届くような言葉をつかわないとだめだ」と書いた桝野浩一を思い出した。

  • 戦後最大の思想家と呼ばれる吉本隆明さんに糸井重里がいくつかのテーマを提示し取材した内容をまとめたもの。吉本さんがどんな方なのかというのはお顔立ちとばななの父である、というくらいしか知らずに読みましたが、まったく堅苦しくないのですんなりと読め入門編として良いと思います。長い生涯をかけて考え抜きいまも考え続けて抽出されたエッセンスがサラリぽろりと惜しげもなく語られているのですが読み手のこちらが薄っぺらくわかった!とまではなかなか思えないのがもどかしかったです。数年前に中沢新一さんの『チベットのモーツァルト』を読んで興味があって見たい知りたいのだけれど自分の身の丈が足りなくて手も目も届かないような気持ちになりましたが、吉本さんがそのあたりを解説しているのを読み、そんな風だったのか、と少しヒントをもらったような気になりました。面白かったです。吉本さんのあとがきによると、特に中学生に読んでもらえたら、と思いながら関わった本だそうです。

  • 糸井重里さんを相手として、思想家吉本隆明さん(よしもとばななさんのお父様)が答えるいろいろな疑問。週刊プレイボーイに連載されていたものをまとめたものです。生きる上で誰もが何度も躓きますが、そのときに見つけたい光の点をみせてくれるような本でもありますし、暗い道を照らすたいまつの作り方を教えてくれるような本でもあります。いろいろなヒントを与えてくれるのではないでしょうか。吉本さんのしゃべりを収録したものなので、他の彼の著書よりも難しくありません。

  • 吉本隆明って人がどれだけすごい人なのか知らずに読み始めたので、「勘のいいおっさんがなんか言ってる」「糸井重里がすごそうに言ってるからすごいんだろう」ぐらいにしか思えなかった。でも、「こんなこと言える俺かっけー」的なつまんなさがないってのは、すごいことだと思う。

  • 吉本隆明さんってのは面白い人で、やっぱりスゴイ人だと思う。

  • 多分、だいたいに読み終わった。

    というのも、適当に開いたところを暇なときに読んでいったから、本当に漏れなく全部読み終わっているかというと怪しい。多分、読んでないところもそれなりにある。
    でも、一応は読み終わった、ということにしておく。

    そういう読み方ができる本なのだ。

    かと言って、内容が薄っぺらというわけじゃない。

    糸井重里が吉本氏に質問を投げ、吉本氏がこたえるという形の本。
    『「生きる」ってなんだ?』というぎょっとするようなテーマから入るが、読んでいて、「へー、なるほどねー」と思える。決して堅い事は言わない。しかし、深い。ちなみに、『泥棒して食ったって良いんだぜ』なんて言ったりする。これが妙に納得できる。

    井上ひさし氏が言っていたが、
    『むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく』
    というのを地でやっている本だとも言える。

    余談になるが、井上ひさし氏は「吉里吉里人」がやばすぎる。

    なんで井上ひさしになってるんだ?

    まあ、一読の価値ありということで。

  • よしもとばななのお父さんと、糸井重里の対話本。

    細分化されたテーマごとに糸井さんの小さな要約文が頭出しされていて、読みやすい。

    気に入ったフレーズ

    *僕は愚図だけど粘る。

    *どんな仕事でも、毎日10年やったらモノになる。

    いまの若者の単位は3年だけど、やっぱり10年がんばらないとダメだよな、と身につまされました。

  • 世間一般では暗黙の了解で決まっ ているも同然な事柄を、「どうやら そうでもねえらしい」とちょっと 疑ってみること。 みんながそうだから じゃなくて自分なりの正しさを見つけるこ と、また見つけようとすること。少しだけ 考え方が変わった。

  • 逆説的人生論とはよくいったもので、吉本隆明さんの穿った、それでいて正しい視点がとても面白かった。しかし、糸井さんは本当に聞き手だったなあ。

  • 知識が足らないのと、実感できる範囲が狭いのとで、時々行間が埋められないことがありました。いつか実感としてわかるようになったらいいな、という感じです。勉強になります。

  • 「メディアの発達と人間の精神の発達は、無関係だ」(吉本隆明氏「悪人正機」の語録より)

    上記に引用したのは、吉本隆明さんと糸井重里さんとの共著「悪人正機」の一説に示された言葉である。「無関係だ」という素っ気無い一言の中にこそ真実が潜んでいる。

    いまや国会議員ともなり出世した有田芳生氏は、かつて「ネット人格は矯正不能です」と述べていたのだが、それに比べれはとても温かな人情味溢れる言葉として受け取ることが可能である。

    人間の基本は「魂」「心」の存在に依拠している。であるからしていかにしてネット等のメディアが発達しようとも、あるいは猛威をおよぼそうとも、メディアによる情報操作が及ぶのは末梢的な出来事に過ぎないのであり、それ自体が不毛な論議であるということを、吉本隆明さんはとてつもなく朴訥とした言葉によって語っているのである。う~む、深い箴言である。流石だ!

  • 12/27




    ※雑誌

    12/28

    PHP増刊号 2007年12月号

    収納 掃除 インテリア

  • 視点の置き方はさすが。広い器、ひろい器、っと。

  • 吉本さんとわたしの共通点は、ダザイ好きなところ。
    去年の生誕100年の特集記事で、よくお見かけした。
    戦争中を生きて、現代を生きているひとだからわかる、のだろう。
    一般論を真っ向からずばっとやって、それでまたうならせるところ、痛快。(R)

  • 今の若い人たちが何を考えて、どうやって生きようとしてるのかを、本当はなにもわからいんですよ。だからわからないのにわかっているように言うことをとにかく警戒すればいいんじゃないかなっていう。
    何かひとつのことっていうのを積み重ねていくと、何かまとまりのつく結論的な姿が見えるようになるはずだっていることが、生きる目標の中に無意識のうちに入っていたと思うんです。
    結局、人生というのは孤独との戦いなんだ。
    挫折なんてしようと思ったってできないんだ。
    大学の教授も毎年違う大学で講義すればいいんだ。そうすればいわゆる現在の大学の価値みたいなものが固定しない方向に向かって、どこの大学に行っても同じってことになっていきますよね。
    マルチメディアの基本にあるのは利益と損害。
    重要なのは人間の魂にかかわることだけ。

  • 以前からほぼ日で何度も紹介されている「思想界の巨人」こと吉本隆明という方に興味を持っていたのだが、今回初めて手に取った。
    直接吉本隆明さんが書いたのではなく、糸井さんとの対話の中で話された内容が、「生きる」「友達」「挫折」「殺意」「仕事」「もの書き」「理想の上司」「正義」「国際化」…といったテーマに沿ってまとめられた本。
    悪人正機っていったら親鸞が思い浮かぶので親鸞の思想を噛み砕いて教えてくれる本だと勘違いして買ってしまい、ちょっと期待はずれだった感は否めない。(しかし後で、二度目を読み返して引用文を探していたら、あれもいい、これもいい、という文がかなりたくさんあって、長い文章を引用してしまうことになった。さらに続けて読んでたらもう期待はずれなんて言ってしまって本当にごめんなさいって謝りたくなった。深い、深い。)
    この本の著者紹介のスペースに載せられた吉本孝明さんと糸井さんの2ショットが微笑ましくて好きだ。特に吉本隆明さんの目がいい。

    P.33
    人助けって事に関してなら、それはやっぱり、親鸞の言ってることが完璧じゃねえかと思ってますね。親鸞は、いかに人間が善意を持って目の前の人を助けようとしても、助けおおせるもんじゃない、と言ってるんです。

    P.42
    よく「俺、友達たくさんいるよ」なんて言うやついるけど、そんなの大部分はウソですよ(笑)。結局、ほとんど全部の人が本当は友達がゼロだと思うんです。…結局、どっちだって同じ、どうせひとりよ、ということなんです。月並みだけれども人生というのは孤独との闘いなんですから。

    P.57
    今の社会で、普通に生きている人だったら、法律の範囲を少し逸脱したところまでは行くんじゃないかと思います。…だから、その現実の正常の範囲を、法律の範囲よりも、専門化が拡げて考えなきゃいけないし、そこを専門に研究していってくれなきゃいけないのに、法律にそのまま従って異常だと言っちゃってるでしょ。そういう人たちが一番悪いですよ。…現状の犯罪や精神異常だって、これらと同じ側面があるんです。でも、専門家はそういうことを考えないでさぼっているわけ。さぼらないで正常の範囲を拡げて考えてくれないとね。専門家が言わないと、法律のほうが強いですから。素人がそういっても通らないけれど、専門家が、これは正常の範囲内なんだってことをちゃんと言ったら、法律がどうあろうとある程度と通るわけなんでね。法律のほうが違ってるんだよってことや、もう間に合わなくなっているんだよってことは現実にはいくらでもあるんでね。実際には、法律に引っかかる部分があっても、専門家の選んだほうがいい結果をもたらすことはあるわけなんですよ。僕は、そういうことは良しとしますね。そうでないと、すべてのことがあいまいになって、怪しくなっちゃいますよ。法律に何でも判断させるのは、間違いなんでさ。

    P.60
    僕ら日本人って言うのは、過剰に気を使いすぎる。だから、こう言っちゃ悪いんだ、見たいになっちゃうんですね。人それぞれ違う考えがあるっていう、相容れないもの同士のルールってのが、できてないんじゃないかな。

  • 大学は失恋するために行くものってことでそういうことにしたいと思います。
    ポジション利用だ!
    くやしいけれど!

  • 真似できない骨太な思想。

  • 糸井重里嫌いやけど、内容には絡んでないので安心。
    よしもとばななの親父さん、なかなかいいねぇ〜

  • ひたすら吉本さんの考え方がわかる本。

    本当に幅広く、しかも一見ありふれたテーマを斬新な切り口で紐解いていくところが面白いと思います☆

    しかも、吉本隆明さんって、あの吉本ばななさんのお父さんだったんですね。。。知らなかった(笑)

  • 吉本さんの言葉、言葉が深い!はっと気づきを与えてもらいました。

  • 読むたびに、いつも違う場所から“刺さりワード”がひょっこり現れてくる。そして、読んだしばらく後に、「あれ? あの言葉がいま、歩み方のよりどころになってる?」と思えるくらい自分自身に浸透していたことに気づくことがある(しかも読んだ直後には思ってもみなかった言葉が)。「100万のことを知っている人が吐き出した30くらいのこと」、だからそんなことになる。(林)

  • 20世紀思想界の重鎮吉本隆明が、糸井重里の日常的な問いに平易な言葉で答えていく本。「泥棒して食ったっていいんだぜ」「鈍刀のほうが、じつはよく切れるんだぜ」「自分の記憶の中にのみ、友だち関係は残るんだ」等々、印象的ではっとさせられる言葉が多くあります。書かれている内容は多岐にわたるため「そうかな?」と思うところも当然出てきますが、それは他の人間関係と同じこと、と思えばいいでしょう。
    余談ですが、この本は個人的に苦しかった時期に人から頂き、とても思い入れがあります。

  • 彼は非常に現実的である。

  • 吉本隆明が様々なテーマについて語っている本。
    吉本隆明のすごさは飾らなさと分析力が絶妙であるところだと思う。ある理論を唱えている立場の人間の心の奥底へ静かに正確に降りていく。氏の思考のプロセスが非常にためになった。

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著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。著書多数。2012年3月16日逝去。

「2023年 『吉本隆明全集33 1999-2001』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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