- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101292328
感想・レビュー・書評
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一篇はとても短く、凝った表現に感じないのに、登場人物ふたりの関係やその場の雰囲気がよく伝わってきた。
日常、誰かとふたりだけで交した会話の楽しさを、周りにも同じように伝えようと思ってもなかなか難しいものだが、この本に出てくる"ふたりの世界"は十分一緒に楽しませてもらえる。
他の長編なども読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何を思って作者はこの作品にこのタイトルをつけたのかが気になるな、と。
たぶん川上弘美という作家を知る以前に一度読んだことがある。ので再読という形になるのだろうかな。なんだか人間の好きになれない部分を砂糖をかけてごまかした、そんな雰囲気を楽しむための作品であるように感じた。直視できない、でものぞき見てしまう、怖いもの見たさとかを刺激される。 -
春の虫 がすきだった。
いっぱい着替えるショウコさん。
あと、夜の子供。
竹雄の雰囲気がたまりません。
イチゴミルク。 -
川上さんの作品で、好きな作品集の一つ。
ちょっとせつない。
特に、「冬一日」が好き。 -
さまざまなふたりの世界が広がっている。
わたしは恋人と付き合いはじめたころに読んだため、
「川」が一番印象にのこっている。
どこまでも、ゆっくりと、流れてゆく。
これは願望も含めて。 -
短編集ってどうも苦手なんだけど、川上弘美さんのは別ですごく好き
表現がやわらかく、実に丁寧で美しい。
いつか別れる私たちのこの一瞬をいとおしむ短編集
恐ろしく残酷で幸福なその一瞬
――忘れないでいよう、今のことを。今までのことを。これからのことを。
寒いです。おめでとう。あなたがすきです。つぎに会えるのは、いつでしょうか。 -
センセイの鞄がとても良かったので、川上作品を片っ端から読んでみようと思って、まず、コレです。恋愛小説の短編集。12作あって一番短いもので6頁とかあります。
内容はどれも切なめで、決して幸せ路線の内容ではありません。
この本を読んでいくと共通するテーマが分かってくると思うのですが、本来はややこしい問題が浮上してきそうなのに、登場人物のふたり以外は外の世界や脇役が一切出てこないので、あまり重たく感じる事もなく割り切ってあっさり読めました。
世間の目や常識から離れて、純粋にその場限定の恋愛モノとして読むと、やっぱりちょっとほっこりする内容の作品です。
お気に入りの作品は
夜の子供、天上大風、冬一日、ぽたん、ばか
特に「冬一日」と「ぽたん」はすごく好きな作風です。 -
大人のメルヘン。
夏目漱石の夢十夜を、少女チックにしたかんじ -
とぼとぼと毎日変わらない日常を生き続けるために恋愛をすればいいと思う。これが世界の真理でしょ?
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初川上弘美。物静かで巧みな言葉選びに惹かれました。面白かったです。芥川賞作家さんなんですってね、「蛇とピアス」以来女流の芥川賞はその物々しさに惧れをなして避けているので、知らずにいたからこそ読めて幸運でした。これから他作も読んでいきたいです。女性が女性に好感を寄せる2編が印象的だったんですが、この作家さんはマイナーな恋愛を描くのが上手いのかな。
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どうせ迷子になるならとことん。と思って。短編集。さすが川上弘美さん。ほんの10ページくらいなのに余韻がすごい。じんわり。ぽっかり。切ない。
まさに、深々しみるよるべないお話。
短く静かで、ゆったりな文章なのに、行間がすごい。書かれていないことなのに感覚的にずしっとくる。すごくすき。
女性ならだれも似てるとこがあると思ってしまうのではないかと。 -
女性らしい視点と、クールな文体の短編集。
随所でくすくすさせられて、全体を通して登場人物の愛らしさが感じられます。 -
独特の雰囲気はあるけど、どれも似た感じで、いまいちだった。
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誰かと誰かの恋のはなし。短編集。
ゆったりした文調、言い回し、好きだけど、人によって好みは分かれるかも。
同性同士やいわゆる不倫の関係を世間一般の後ろめたさを感じさせずあたりまえのように描いてる。
解説もあわせて読むとおもしろい。
何度か読みたいと思った。何年か経ったら、また違う気持ちで読めそう。 -
『天上大風』と『川』が良い。
たった10ページくらいの話がこんなにも余韻を残す小説は珍しい。
ゆったりしている文章がすごく好み。 -
川上さんらしい,のんびりした本.
だけど,他の本の方が好み. -
この作品に収録されている「夜の子供」が何かの雑誌で発表された時に、初めて川上弘美の作品を読んだのだが、「すごく好き」と思ってしまった。言いたいのだけど、どう表現していいかわからない気持ちがうまく書かれている気がしたのだ。
ただ、「すごく好き」と思いながら、これまでどういうわけか作品を改めて買うことがなかったのは、もしかしたら、「先生の鞄」であちこちに取り上げられている状況に気持ちが引くという、いつものわたしの天邪鬼的性質によるものなのかもしれない。
どれも淡々としていて、どこかおかしくて、読んだあとに何かがじんわりと胸にしみる。作品の設定によっては、よくよく考えれば愛憎渦巻いてドロドロの愁嘆場が展開されてもおかしくない状況なのだが、そんなことにはならない。
年が離れていようが、相手や自分に妻子がいようが、相手にだまされようが、同性だろうが、どの登場人物も相手に愛をささやきつつ、心と頭のどこかでは、自分や相手の気持ちがやがて変わり、その関係がいつか終わることをわかっている風だ。「諸行無常」の言葉を、わけもなく思い出してしまった。 -
感覚的