虚空の旅人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 482
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302751

作品紹介・あらすじ

隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、"ナユーグル・ライタの目"と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が-。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り成す壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾、ついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 守り人シリーズ4作目。

    今回は新ヨゴ王国のお隣、サンガル王国が舞台。
    新王即位式に招待されたチャグムとシュガが、サンガル王国を支配しようとするタルシュ帝国の陰謀に巻き込まれます。

    サンガル王国にもナユーグルという異界が存在し、その異界の者に憑依され<ナユーグル・ライタの目>となってしまった少女。
    <ナユーグル・ライタの目>となってしまった者は都で最大級のもてなしを受けたのち海に帰すとして殺される運命にあり、
    以前、同じような境遇で殺されかけたチャグムは放っておけず、助けたいと思う反面、皇太子としての立場が邪魔をします。

    一方、以前から少女と顔見知りだった新王の弟であるタルサン王子も、少女を助けようとしますが、
    少女はタルシュ帝国の密使であるヨゴ人の呪術師に操られており、そのせいでタルサン王子も呪いをかけられ
    兄であり、次代の王であるカルナン王子に重傷を負わせ、罪を着せられ死刑判決をくだされてしまいます。

    その後、島守りたちの謀反やタルシュ帝国の侵略など慌ただしく物語が進む中、チャグムはシュガと共に奮闘するのですが、
    なんていうか...完全にチャグムの成長を見守る母親の気分でしたね。
    立派になっちゃって。ぐすん。
    最後の言葉もよかったなあ。チャグムとシュガの関係もすごくいい。
    バルサとタンダがあのチャグムを見たらどんなに喜ぶだろう...ああ!早く会わせてあげて!なんて思ったりもしました 笑。

    あとがきで「やんちゃで真っ直ぐなチビスケ」とチャグムのことを書かれている上橋先生にもほっこりさせられ、なんとも清々しい読後感。たまらん。

  • 守り人シリーズのスピンオフ的物語。
    守り人シリーズ第一弾で女用心棒バルサが助けたあの新ヨゴ皇国のチャグム皇太子が主人公の物語。

    チャグムが立派な青年に成長してて感動する。
    チャグムに仕える星読博士のシュガがチャグムを思う気持ちにも心を熱くするし、最後のチャグムの言葉に涙するシュガと一緒になって涙してしまった。

  • シリーズ4作目。今回はチャグムとシュガの物語。いつものメンバーの出番が無いのは寂しいものの、代わりにイキイキとした魅力ある登場人物がたくさん出てきます。海に囲まれた南方のサンガル王国の王家のセレモニーに父王の名代として出席するため、はるばる海を旅してきたチャグムとシュガ。サンガルという国は、王こそ男系ですが、各島の長(島守り)の妻として、為政者として徹底的に教育された王家の血筋を引く女性を嫁がせるのが仕来たり。島守がちょっとでも欲を出して隣国に便宜を図ったり謀略に手を貸したりしている疑いがあると、女性たちの情報網と権限によって島守の地位を追われ、罰せられてしまう、という、とても興味深い設定になっています。もともと小規模のグループが身を守るためにゆるやかな連携を図っているうちに王国になっていった、というサンガルの成り立ち、他の国との位置関係、国に属さない海の民(新ヨゴ皇国でいうところのヤク―の存在に近い)の存在も面白い。そういうこまごまとしてち密な設定が、説明調になり過ぎずに楽しみながらさらさらスルスルと理解できるようになっているのが、本当にすごいです。ナユグとサグが揺らいで境目が曖昧になり、そこにつかまってしまった小さな子にまつわる言い伝えを中心に、サンガル王家の兄弟姉妹の性格や資質の違い、将来統治者となる者としてのチャグムの葛藤、それを見守るシュガの決意、などなど、読みどころが満載でした。海の民の娘、スリナァがとても良い子で、ずっと応援しながら読んでいました。とても面白かったです。

  • 新ヨゴ皇国皇太子のチャグムが主人公のシリーズ第四弾。南のサンガル王国の新王践祚祝賀式に招かれたチャグムと星読博士シュガは、サンガルと周辺国を一網打尽に侵略しようとする南の大国タルシュ帝国の謀略に巻き込まれる。ナユーグル・ライタの目として生贄にされた少女、父を捕虜にされた漂海民の女、サンガル王血族で為政者の娘たち。それぞれの想いが交わるときに国が動く。

    冒頭にパラパラとページを捲って、今回もバルサの出番少ないのかぁ〜ハズレかなぁ〜…っと思ったら、めっちゃ面白い!国の存亡を懸けた戦いが熱い!良作でした^_^ そしてチャグムの成長が垣間見れて、とても嬉しい気分に!やっぱシリーズものは主人公の成長が楽しみですよねー^ ^

  • チャグムイイ男に成長中!(^o^)今回はサンガル王国の新王即位式に招かれたチャグムがシュガと共に大活躍!海底の民に魂を奪われた少女、タルシュ帝国の侵攻、国を守る女たちの画策などハラハラドキドキ展開(;゜∀゜)みんな頑張っていたけれど、今回一番頑張ったのはスリナァだと思う(*^^*)

  • チャグムが活躍する話。
    そしてシュガとの絆がより深まる心温まる話。

    「これはチャグムの話だから守り人シリーズの外伝となり、だから“守り人”ではなく“旅人”とした。」とあとがきで読んでから初めて、「ほんとだ!旅人だ!」と気づいた私。

    シュガがなんとかチャグムを助けよう助けようとしているのが、単にチャグムが皇太子で国にとって重要な人物だからという打算なものではないというのがわかるシーンがあり、思わず涙ぐんでしまった。

    これまでシュガは確かに頭はいいけど、打算的なところが好きくないなと思っていた。常にこれは得であるか損であるかを考えて生きているような。
    けれど、それはあくまでも立場からくる役割を果たそうとする使命感からであり、本当のシュガは心のあたたかい人なんだな~とわかって好きになった。
    「聖導師シュガ」が楽しみである。

    一つ、やっぱりなんだかんだバルサと一瞬でも会えるシーンが欲しいなぁ。
    毎回なんだかんだ会えてるじゃん!と突っ込みつつも、チャグムがバルサと会えるとこっちまで嬉しくなるから。

  • 20111027
    1日

  • もう文庫でも出ているんですね!
    チャグムの視点で、サンガル王国での王位継承の式典とタルシュ帝国に操られた反乱の顛末。
    皇太子としては無謀だが心優しい少年チャグムの活躍。

  • 2001年(文庫2008年)上橋菜穂子

    NOTE記録
    https://note.com/nabechoo/n/n3f6ca265a1b9

    今回は、バルサが出てこないなーと思ったら、守り人シリーズの外伝的なモノらしい。そういえば、題名も「~の守り人」ではなく、「~の旅人」だった。「旅人」になるとチャグム(&シュガ?)が主役になるのかな。

    上橋さん曰く、守り人シリーズ「全十巻への舵かじを切った物語」だと。確かに今までは、それぞれ一つの国の中で話が展開してたと思うが、今回は、多数の国家が出てきて絡み合い、この世界が大きく広がった。

    奇しくも、現在ウクライナの戦争真っ只中なので、読みながら強く思うところがあった。侵略してくるタルシュ帝国がロシアと重なる。巻き込まれる一般市民の代表の様なスリナァ(一家)。そして、国家の存立など。

    改めて、国を維持発展させていく難しさを感じた。国内も国外も、うまいことやらないといけない。小説の中でもリアリティあったけど、実際の世界は、もっともっと複雑に絡み合ってバランスを保とうとしてるんだろーな。

  • バルサやタンダ、トロガイなどは登場しません。チャグムとシュガが主役の物語です。だからといって退屈するわけではないです。いままでの物語と違い「海」が舞台となっているのも新鮮です。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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