虚空の旅人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4268
レビュー : 439
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302751

作品紹介・あらすじ

隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、"ナユーグル・ライタの目"と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が-。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り成す壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾、ついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 守り人シリーズ4作目。

    今回は新ヨゴ王国のお隣、サンガル王国が舞台。
    新王即位式に招待されたチャグムとシュガが、サンガル王国を支配しようとするタルシュ帝国の陰謀に巻き込まれます。

    サンガル王国にもナユーグルという異界が存在し、その異界の者に憑依され<ナユーグル・ライタの目>となってしまった少女。
    <ナユーグル・ライタの目>となってしまった者は都で最大級のもてなしを受けたのち海に帰すとして殺される運命にあり、
    以前、同じような境遇で殺されかけたチャグムは放っておけず、助けたいと思う反面、皇太子としての立場が邪魔をします。

    一方、以前から少女と顔見知りだった新王の弟であるタルサン王子も、少女を助けようとしますが、
    少女はタルシュ帝国の密使であるヨゴ人の呪術師に操られており、そのせいでタルサン王子も呪いをかけられ
    兄であり、次代の王であるカルナン王子に重傷を負わせ、罪を着せられ死刑判決をくだされてしまいます。

    その後、島守りたちの謀反やタルシュ帝国の侵略など慌ただしく物語が進む中、チャグムはシュガと共に奮闘するのですが、
    なんていうか...完全にチャグムの成長を見守る母親の気分でしたね。
    立派になっちゃって。ぐすん。
    最後の言葉もよかったなあ。チャグムとシュガの関係もすごくいい。
    バルサとタンダがあのチャグムを見たらどんなに喜ぶだろう...ああ!早く会わせてあげて!なんて思ったりもしました 笑。

    あとがきで「やんちゃで真っ直ぐなチビスケ」とチャグムのことを書かれている上橋先生にもほっこりさせられ、なんとも清々しい読後感。たまらん。

  • チャグムイイ男に成長中!(^o^)今回はサンガル王国の新王即位式に招かれたチャグムがシュガと共に大活躍!海底の民に魂を奪われた少女、タルシュ帝国の侵攻、国を守る女たちの画策などハラハラドキドキ展開(;゜∀゜)みんな頑張っていたけれど、今回一番頑張ったのはスリナァだと思う(*^^*)

  • 守り人シリーズのスピンオフ的物語。
    守り人シリーズ第一弾で女用心棒バルサが助けたあの新ヨゴ皇国のチャグム皇太子が主人公の物語。

    チャグムが立派な青年に成長してて感動する。
    チャグムに仕える星読博士のシュガがチャグムを思う気持ちにも心を熱くするし、最後のチャグムの言葉に涙するシュガと一緒になって涙してしまった。

  • チャグムが活躍する話。
    そしてシュガとの絆がより深まる心温まる話。

    「これはチャグムの話だから守り人シリーズの外伝となり、だから“守り人”ではなく“旅人”とした。」とあとがきで読んでから初めて、「ほんとだ!旅人だ!」と気づいた私。

    シュガがなんとかチャグムを助けよう助けようとしているのが、単にチャグムが皇太子で国にとって重要な人物だからという打算なものではないというのがわかるシーンがあり、思わず涙ぐんでしまった。

    これまでシュガは確かに頭はいいけど、打算的なところが好きくないなと思っていた。常にこれは得であるか損であるかを考えて生きているような。
    けれど、それはあくまでも立場からくる役割を果たそうとする使命感からであり、本当のシュガは心のあたたかい人なんだな~とわかって好きになった。
    「聖導師シュガ」が楽しみである。

    一つ、やっぱりなんだかんだバルサと一瞬でも会えるシーンが欲しいなぁ。
    毎回なんだかんだ会えてるじゃん!と突っ込みつつも、チャグムがバルサと会えるとこっちまで嬉しくなるから。

  • シリーズ4作目。今回はチャグムとシュガの物語。いつものメンバーの出番が無いのは寂しいものの、代わりにイキイキとした魅力ある登場人物がたくさん出てきます。海に囲まれた南方のサンガル王国の王家のセレモニーに父王の名代として出席するため、はるばる海を旅してきたチャグムとシュガ。サンガルという国は、王こそ男系ですが、各島の長(島守り)の妻として、為政者として徹底的に教育された王家の血筋を引く女性を嫁がせるのが仕来たり。島守がちょっとでも欲を出して隣国に便宜を図ったり謀略に手を貸したりしている疑いがあると、女性たちの情報網と権限によって島守の地位を追われ、罰せられてしまう、という、とても興味深い設定になっています。もともと小規模のグループが身を守るためにゆるやかな連携を図っているうちに王国になっていった、というサンガルの成り立ち、他の国との位置関係、国に属さない海の民(新ヨゴ皇国でいうところのヤク―の存在に近い)の存在も面白い。そういうこまごまとしてち密な設定が、説明調になり過ぎずに楽しみながらさらさらスルスルと理解できるようになっているのが、本当にすごいです。ナユグとサグが揺らいで境目が曖昧になり、そこにつかまってしまった小さな子にまつわる言い伝えを中心に、サンガル王家の兄弟姉妹の性格や資質の違い、将来統治者となる者としてのチャグムの葛藤、それを見守るシュガの決意、などなど、読みどころが満載でした。海の民の娘、スリナァがとても良い子で、ずっと応援しながら読んでいました。とても面白かったです。

  • 20111027
    1日

  • もう文庫でも出ているんですね!
    チャグムの視点で、サンガル王国での王位継承の式典とタルシュ帝国に操られた反乱の顛末。
    皇太子としては無謀だが心優しい少年チャグムの活躍。

  • 隣国サンガルの新王即位の式典に帝の代わりに参列するチャグムの話。

    都でのチャグム達の話、突然襲われて家族と離れ離れにされたラッシャローの娘スリナァの話などが絡み合い、様々な文化、考え方をする人達の駆け引きが緊迫して面白かったです。

    異なる文化の中にも〈ナユグ〉と〈ナユーグル〉みたいに似たような名称があったりして、あまり他国と関わってなかったような新ヨゴ皇国もやはり歴史の中で他国と繋がっているんだなぁと思いました。

    それぞれの民族の違いを違和感なく読ませてくれて、本当に上手いなぁと思います。

    チャグムもあれから3年経って、少し大人になったようで。頭の回転の良さが、素晴らしい帝になっていくんだろうなぁという期待を感じさせます。
    新ヨゴ皇国の王宮にずっといるのではなく、他の国へどんどん出て行って見聞を広めていってほしいと思います。
    ラストの「虚空を飛ぶハヤブサのように、どちらとも関わりながら、どちらにもひきずられずに、ひたすらに飛んでいきたいと思う」というタイトルに繋がるセリフが格好良かったです。

  • 3作目で止まっていた守り人シリーズ、鹿の王をきっかけに久しぶりに読み始めました。

    精霊の守り人では幼くて頼りなかったチャグムが立派に政治のお勤めを果たしている姿に涙…!!14歳にしてあの頭の回転と心遣いとは、やはり王族の教育はすごいんでしょうね。知性と思いやりとまっすぐさを秘めた、とてもステキな男の人になっていました。

    女が裏で国を動かすサンガル王国の姫君たちも、強く逞しく、かつしたたかでとても魅力的ですね。同じ女性として憧れます。ラッシャローの少女が一人で風を読み、波を読み、広大な海を切り抜けていく姿にワクワクしました。バルサといい、登場人物の女性たちが自分の足で道を切り開いていくかっこよさを描けるのは女性作家ならではの設定なのかな。

    ラストはカリーナとサルーナがどうなったのか、タルサンと兄がどうなったのか、気になることはたくさんありますが、チャグムと父である国王がそうであるように、王家の血とは難しいものですね。ファンタジーではあるけれど、ただ生きるだけでは許されない血の元に生まれた王族をおもって、ラストは切ない気持ちになりました。

  • 守り人シリーズ4作目は「旅人」です。

    その"旅人"は、新ヨゴ国の皇太子チャグム。
    14歳になったチャグムは、隣国サンガルの親王即位の儀礼に招かれ
    星読博士のシュガと共に隣国に向けて旅立つところから始まります。
    この章では、その隣国サンガル王国を支配しようと企んでいる
    そこよりさらに南の大陸に位置する、タルサンという帝国の陰謀に
    招待客であったはずのチャグムが巻き込まれてしまうことになるのです。

    三年前、精霊の水の守り手に憑りつかれ、"サユ" と"ナユグ"の
    二つの空間を彷徨い苦しめられた経験を持つチャグにとっては
    今また同じように苦しめられている人を見て放ってはおけない──

    14歳になったチャグムの心優しく利発な皇太子への成ぶりは頼もしく
    その凛々しい姿に、チャグムはきっと美少年なのに違いないという想像も膨らんで
    ひと際清々しい爽やかな印象が残る読後感でした。

    ラッシャローの娘
    スリナァの健気な振る舞いにはドキドキしてハラハラして微笑ましくて。

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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