虚空の旅人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302751

感想・レビュー・書評

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  • 虚空の"守り人"だと思って読み進めていたので、「いつまで経ってもバルサ出てこねぇな」と思って読んでいた(途中でチャグムの物語なんだと気付いてチョイ役なのかなと思い直した)。
    "旅人"であることは解説を読むまで気付かなかった。登場人物の最初にバルサとトロガイがいるので(「今回は(トロガイいるのに)タンダ出ないのか!」と思っていた)、勘違いが溶けなかった。

    解説の「作中で男女の役割が逆転している」に関しては良いところを見ているなーと感銘を受けた。
    闇の守人で短槍なら体格差を補える旨の記述があって多少の補強をしているとはいえ、男女間の筋力の違いは明白であるので、いつもはそういう非現実的な部分が気になり白けてしまうのだが、上橋女史の筆力なのか全く意識せずに読んでいた。
    その点についても"回答"を挙げているのがこの解説(者)の秀逸なところで、物語の成立(創作)と現実への違和感の部分は思わずうなるような卓抜した考察だと思う。
    この考察は近年の"なろう系"や転生モノのご都合主義極まる主人公の性質設定にも当てはまるように感じ、優れた目を持っていると思った。

  • バルサに助けられた皇太子チャグムと有能な相談役シュガのお話。精霊の守り人から3年、14歳になり成長したチャグム。外交という立ち位置でうまく身動きできなくても、誰かを見殺しにしようとしない姿勢は健在。

    人を駒として扱うのは私もしたくないし、違和感を覚える。それでも為政者は駒として使わざるを得ないときもあるのだろうか。実はシリーズ通して触れられるこのテーマ。今後、どんな結論になるか気になる。

  • 守人シリーズの4作目。

    青い海に浮かぶ島々…サンガル王国が舞台。

    1,2,3作よりも登場人物が多く、人を陥れようとする陰謀や、国同士の駆引き…に加えて呪術師や生け贄の儀式。てんこもり。。。
    冒険+ミステリーな感覚で読みごたえありました。

    チャグム…大きくなったね(泣)
    不安定な面があるけれど、自分の心に忠実に生きたいと頑張っている姿にジーンとする。
    お側に居るシュガにも…ホロリとしました。

    2022/10月再読。

  • 新ヨゴ皇国皇太子のチャグムが主人公のシリーズ第四弾。南のサンガル王国の新王践祚祝賀式に招かれたチャグムと星読博士シュガは、サンガルと周辺国を一網打尽に侵略しようとする南の大国タルシュ帝国の謀略に巻き込まれる。ナユーグル・ライタの目として生贄にされた少女、父を捕虜にされた漂海民の女、サンガル王血族で為政者の娘たち。それぞれの想いが交わるときに国が動く。

    冒頭にパラパラとページを捲って、今回もバルサの出番少ないのかぁ〜ハズレかなぁ〜…っと思ったら、めっちゃ面白い!国の存亡を懸けた戦いが熱い!良作でした^_^ そしてチャグムの成長が垣間見れて、とても嬉しい気分に!やっぱシリーズものは主人公の成長が楽しみですよねー^ ^

  • チャグムイイ男に成長中!(^o^)今回はサンガル王国の新王即位式に招かれたチャグムがシュガと共に大活躍!海底の民に魂を奪われた少女、タルシュ帝国の侵攻、国を守る女たちの画策などハラハラドキドキ展開(;゜∀゜)みんな頑張っていたけれど、今回一番頑張ったのはスリナァだと思う(*^^*)

  • チャグムは、じっと話を聞いていたが、やがて、ぽつんとたずねた。
    「なぜ、知らせてくれたのだ?‥‥知らせれば、私が何を望むか、よくわかっているだろうに」
    シュガは眉をあげて、苦笑を浮かべた。
    「私は殿下に誓いましたから。ー陰謀を知りながら、だれかを見殺しにするようなことは、決して、させぬと」
    そういって、シュガはチャグムを見つめた。
    「清い、輝く魂を身に秘めたままで、政をおこなえる方がいることを、わたしは信じます」(360p)

    物語の最終盤の2人の会話である。

    この時点で、一つの大きな陰謀はほぼ潰えているが、チャグムの心配はその大きな流れの中に沈みそうな1人の少女のことなのである。一方で、タルシュ帝国の侵略に対する、サンガル王国、新ヨゴ王国、カンバル王国、ロタ王国の激動の国際情勢は、幕を上げたばかりのようにも見えるし、ナユグール(もうひとつの海)に代表される、人間がまだ知り得ていない「世界の謎」はまだ謎のままである。

    だから、若き為政者候補のチャグムと若きそのブレーン・シュガのこの会話は、新たな大河物語に対する「決意」にもなるだろう。それと同時に、荒波の社会に出てゆく前の2人のカップルの愛の言葉のようにも思える(やらしい意味じゃなくて)。

    この大河ファンタジーが、大人のみならず、子供たちにも人気がある所以(あっ、いや、子供たちに人気があるにも関わらず、大人にもそうなのだ、といった方が正しいのか)だろう。
    2015年4月10日読了

  • チャグムが活躍する話。
    そしてシュガとの絆がより深まる心温まる話。

    「これはチャグムの話だから守り人シリーズの外伝となり、だから“守り人”ではなく“旅人”とした。」とあとがきで読んでから初めて、「ほんとだ!旅人だ!」と気づいた私。

    シュガがなんとかチャグムを助けよう助けようとしているのが、単にチャグムが皇太子で国にとって重要な人物だからという打算なものではないというのがわかるシーンがあり、思わず涙ぐんでしまった。

    これまでシュガは確かに頭はいいけど、打算的なところが好きくないなと思っていた。常にこれは得であるか損であるかを考えて生きているような。
    けれど、それはあくまでも立場からくる役割を果たそうとする使命感からであり、本当のシュガは心のあたたかい人なんだな~とわかって好きになった。
    「聖導師シュガ」が楽しみである。

    一つ、やっぱりなんだかんだバルサと一瞬でも会えるシーンが欲しいなぁ。
    毎回なんだかんだ会えてるじゃん!と突っ込みつつも、チャグムがバルサと会えるとこっちまで嬉しくなるから。

  • 20111027
    1日

  • チャグムの物語が動き出した。
    今まで虚と実の世界を行き来していたのが、実の世界で広く動き回るのが面白い。
    それぞれの国の考え方や慣習、政治が違っていて、人類文化学の専門家である作者の知識が応用されているのを感じる。

  • 夢の守人が少し期待はずれだったのと、バルサが出てこないので、読もうかどうしようか迷ったが、読んでよかった。

    相変わらず無駄な描写がなく、展開が早いので飽きずに最初から最後まで読めた。

    続きも読みたくなった。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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