暗渠の宿 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.65
  • (56)
  • (149)
  • (98)
  • (29)
  • (6)
本棚登録 : 1033
感想 : 147
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312811

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 話題の芥川賞作家、異色な経歴を持つ西村賢太氏、
    石原慎太郎氏が熱心に激賞していたこともあって初めて読んでみた。

    自身の経験を礎とした私小説を、
    大正から昭和初期のような古風な文体で描いていく。

    変哲も無い話は文体によって引力を持つので、
    これが結構読める。思わず微笑もこぼれるような内容で嫌いではない。

    しかし、辛口に評価すると、私小説としては内容が空疎だし、
    文体、雰囲気を求めるならば過去の小説の方が優れており、
    且つ、車谷長吉のような情念の凄みもないので
    美点が解り辛く物足りなさを感じた。

  • 書いてある事のほとんどは2chにスレ立てされてるような内容だし
    やってる事はダメ人間、ダメ男の典型なんだけど
    なぜか藤澤清造に関しては真摯に向き合ってるのが不思議

    ただ、藤澤清造を知らないこちらとしてはその長ったらしい説明に辟易

  • 過去の作家に傾倒する碌でなしの、貧困の暮らし

  • 特に男性が共感&高評価する作品なのだろうなあという感想。文体がいまの時代と絡み合わなくて読みづらかった。こんなに薄い本なのに読み終わるまで時間かかった。でも不思議と、読後に笑えた私小説だった。

  • 受賞作の「苦役列車」「どうで死ぬ身の一踊り」に続いてこれで3冊読み終えた。
    典型的な私小説らしく、相変わらず主人公の貫多は、貧困、酒、女、暴力・・・
    そして藤沢清造に異常なまでの傾倒・・・と内容はよく似通っていて
    今思い出そうとしてもこの三作の印象が混ざり合ってしまっている。
    この人はずっとこのまま書き続けて行くのだろうか?
    手元に残る一冊「二度はゆけぬ町の地図」を読み終えたらこの作家のものに休止符をうつことにしよう。

    インドは好き嫌いが両極端に分かれる国といわれる。
    旅するリピターも一番多いとか。
    この西村賢太氏ももしかしたら、両極端に分かれるのかも知れない。

著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西村賢太の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×