国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101331713

感想・レビュー・書評

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  • 2014 10/24

  • めちゃくちゃ面白い。歴史や外交に関して一切知識を持っていなかったけど、説明の量や質が適切ですごく読みやすかった。逆に少しでも知識を持っている人が読んだら、少し長ったらしく感じるかもしれない。ただ、2014年8月現在起きているガザとイスラエルの戦争がなぜ連日日本で報道されているのか、などを知るきっかけにもなるのでとりあえず読んでみることをお勧めします。
    世界とか国とか宗教とか歴史についてもっと知りたいという知的好奇心がガシガシ刺激される良書だと思います。

  • <インテリジェンス・オフィサーのお仕事>

    色々と、知らない事が多く、非常に知的好奇心を刺激する一冊であった。この本を読むまで鈴木宗男、いや鈴木宗男さん、いや鈴木宗男先生の事をただの汚職政治家だと思っていた。当時のマスコミの言う事だけを鵜呑みにしていたという訳だ。解説の川上弘美さんが言われるとおり、何事も鵜呑みにしてはいけない。そう、作者は行間の中に繰り返している。
    本書を読んで初めて知った事。具体的に挙げると…

    ・国策捜査から逃げる事は出来ない。
    ・外務省は、国益に直結した機関である。
    ・外務省、商社、政界、その中には自己及び組織の保身しか考えてない人間もいるが、本気で国益を考えている者も入る。
    ・イスラエルとロシアの関係は深い。
    ・国策捜査は「時代のけじめ」(by西村検事)をつけるために行われる。
    ◇現在の日本では、内政におけるケインズ型公平分配路線からハイエク型傾斜分配路線への転換、外交における地政学的国際協調主義から排外主義的ナショナリズムへの転換という二つの線で「時代のけじめ」をつける必要があり、その線が交錯するところに鈴木宗男氏がいるので、どうも国策捜査の対象になったのではないかという構図が見えてきた。373
    ◇検察の論理からすれば、金曜日の逮捕が最も望ましい。金曜日に逮捕すれば、月曜日の午前中まで弁護士との接触はできない。410
    ◇沖縄には独特の人間観がある。一人の人間んに魂が複数あるのだ。522
    ・『太平記』は特定の勢力に肩入れせず、極力事実を忠実に描こうとしている。

  • 長いし、当時の記憶が乏しいので結構時間がかかったけど、国策捜査・検察の進め方がよくわかった。

    鈴木宗男の事件に絡み、逮捕された佐藤氏の獄中記です。

    本人が否定しているし、その説明をしているので結局何の罪なのかわかりませんが、その程度で有罪にされること自体が国策捜査であり、検察の手口なのでしょう。

    少し前にも、検察の証拠改竄事件もあったし、ストーリーを作ってから、辻褄を合わせる手法はどうなのかと思う。

    本の内容は手記なので置いといて、文章は読みやすく、頭の良さがにじみでてくる感じで、文学的な雰囲気があります。

    著者が高尚な本を多読しているので仕方ないですが、文体が堅いので少し疲れます。

    政治や国際情勢や領土問題に関心がある人なら楽しく読めると思いますが、ライトな層にはちとキツイですね。

    上記に関心のある方、ちょっと勉強したいと思っている方にはオススメです。

    まぁまぁ面白いけど、疲れた。

  • 国際情報屋には、上司の命令を忠実に遂行する猟犬型と、独立心が強く癖ががある野良猫型がある。

    情報入手の方法は、獲物の通り道で待ち伏せし、近付いたら一気に襲いかかる虎型と、幅広く網を張り、獲物がかかるのを待つ蜘蛛型がある。

    読む前は著者を怪訝な人だと思っていたが、誠実でとても頭の良い人。情報の扱い方は参考にするべきことが多い。

    検察とのやりとりが一番おもしろかった。何かに似てると思ったら、ル・カレのスパイ小説、『罪と罰』のラスコーリニコフと判事の会話。

  •  鈴木宗男氏が逮捕されたとき、テレビでもよく紹介された「ムネオハウス」 当時からなぜプレハブなのか不思議に思っていたのだが、謎が解けた。
     北方領土は実質的にはロシアが支配しているけれど、日本は日本の領土と主張しているから、恒常的で頑丈な物は建前上造れない、ということらしい。。
     宗夫は収賄で金儲けしているのに、こんなケチ臭いものしか造らないなんて、とんでもない守銭奴だ!と思っていたが、全然違う真相だった。


     そもそもテレビのワイドショー的なニュースにまんまと騙されていた自分は、鈴木宗男氏が悪い奴だと思い込んでいた。この本を読んで真相を知ってからは自分の馬鹿さ加減が嫌になった。
     鈴木宗男氏ほどロシアと日本の政治に通暁していた政治家はいない。それが田中真紀子というパフォーマーが外務大臣になったことにより、悪役にされてしまった。
     そしてワイドショーは二人の口論を面白おかしく報道する。それに洗脳された自分…つくづく腹立たしい。


     田中真紀子によってズタズタにされた外交政策は、さながら年々と積み上げられてきたジェンガが一瞬にして崩壊したようなもの。この暴君がいなければ北方領土問題ももっと進展していただろうに。小泉元首相が田中外相を更迭したのは正しい判断だった。


     それにしても国家が罪のない人を犯罪者に仕立てるなんて、戦前の話かと思ってたけど、今でもやることにびっくりした。


     感想ばかりで申し訳ないが、内容が盛りだくさん過ぎて要約なんてできそうにない。
     悪しからず。

  • これを読む前は佐藤優は犯罪をきっかけに本を出す胡散臭い人だと思っていた。この本を読んで何となくこの事件について知ることができた。

  • 感動の名作!何故今頃になって巡り会ったのだろう。

  • ラスプーチン

  • 071130

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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