火車 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369181

感想・レビュー・書評

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  •  あまりにも有名な作品。読んでよかったと心から思えた。30年以上前のお話なのに、身近に溢れている内容で簡単に感情移入できた。

     現状に満足できない人々がお金を頼り、夢を見る。それに伴う自己破産や夜逃げ。時代が変わっても繰り返される現実がある。

     「あたし、幸せになりたかっただけなのに」彰子が溝口弁護士に放った言葉が忘れられない。

     人は気持ちが弱く小さいのに、欲だけは大きい。儚い動物だと思った。一生忘れられない物語となった。

  • 再読。何十年ぶりかな。

    宮部さん初期の大傑作。と言っていいと思う。
    バブルの入り口から最盛期にかけての時代を背景に、二人の若い女性のなんとも切なくもやるせない人生が徐々に暴かれていくのがスリリングでした。

    地道な調査(捜査)もリアルで、息もつかせぬ展開で一気に読ませます。バブルの時代の空気を知っている世代の私としては読み応え十分でした。

    作品の終り方については色々意見もあるようですが、個人的には余韻があり、様々な事を想像させるこの終わり方はいいと思います。

    喬子の肉声を聞いてみたい気もしましたが・・

  • キャッシュレス時代の今こそ、読んでほしい作品。見えないお金の動きには慎重でいたいと改めて感じます。
    謎めいた2人の正体がじわじわと明らかになって、繋がっていく。その度にドキドキが加速しました。

  • 面白くないわけではないけれど、いつ盛り上がるんだろうと読み進めていたら終わってしまった...って感じでした。
    長編の割には少し物足りなさがあったかな...

  • 宮部みゆきのファンでありながら、代表作の一つである本作はずっと読むのを避けてきた作品でもありました。
    避けてきた理由は、本作がクレジットカードの多重債務を扱った作品だったためです。読む前からなんとなく陰鬱な雰囲気を感じていました。
    なぜ、今これを読もうと思ったかというと、最近、経済のことを色々知って、本作を捉える視点が単なるミステリー小説ではなくなったからです。
    実際に読んでみると、やはり、現実と切り離された物語ではありませんでした。
    クレジットカードというものが、いかに現代の社会に不可欠なものとなっていること。
    それが時には暴走し、なんの罪もない人の人生を知らず知らずのうちに破滅に向かわせる過程がよくわかりました。
    もちろん、ミステリーとしても一級品で、犯人の実態が徐々に明らかになっていく構成が絶妙で、読み始めると止まりません。
    みんな、他人にあって自分にはないものを羨み、その「ないものねだり」を誤魔化すための鏡がクレジットカードという、作中の登場人物が語る例えが深く心に残りました。

  • 少し古い作品ではあるが、読み応え充分。

    日本が抱える問題とも絡めたストーリーは読むものを飽きさせない。


    説明
    受賞歴
    第6回(1993年) 山本周五郎賞受賞

    内容紹介
    休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

    内容(「BOOK」データベースより)
    休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

  • 約700ページの大ボリューム。
    それでも面白くてダレずに読めました。
    徐々に真相が明らかになっていく感じがたまりませんね。
    そして終わり方がお見事です。
    余韻たっぷり。
    やや物足りない気もしますがあの終わり方だからこそ話題になり名作として語り継がれているのだと思います。

  • 地獄のような2人の女性の人生が少しずつ、少しずつわかっていく様子が切なく辛かったです。ラストは綺麗に終わったけれど、やはり喬子の口から少し話は聞きたかった…。とりあえず傑作長編ミステリー!

  • 580ページぐらいある わりと分厚い本でした。
    刑事物のミステリーで、クレジットカードやローンの社会的問題をテーマに、被害者や加害者の人間模様が描かれています。
    人の幸せや今の経済社会のあり方等を考えさせられました。
    読むのに1週間ぐらいかかりました。

  • もちろんだが自己破産せざるを得ない事情を抱えている方は少数ながらいるとは思っているが、大多数は自分の責任能力の問題と思っていた。しかし、本書で鋭く指摘している「そもそも仕組みやルールの問題でもある」というくだり、なるほどと思わず膝を打った。
    私は一つの出来事に対して原因を決めつけてしまう傾向があるので、様々な角度から原因を分析していく大切さを知った。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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