車輪の下 (新潮文庫)

制作 : Hermann Hesse  高橋 健二 
  • 新潮社
3.55
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本棚登録 : 6653
レビュー : 637
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001035

感想・レビュー・書評

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  • 社会に順応できない主人公の悲劇を描いた作品。
    あるべき姿、であれないことの苦悩が長編として描かれている。社会が高度化し、緻密になって行くほど、このような人は増えて行くのかもしれない。
    程度の差はあれ、誰もが主人公の心情の一部を理解できるのではないか、と感じる。

  •  文豪ヘルマンヘッセの代表作で、神学校に行った勉強に追われ友情とを選択しなければならないはざまで揺れる少年の気持ちを描いた大作。
     まだ恋愛感情等を抱きえない少年の、周りの期待に応えなきゃという気持ちと、勉強でなくても個性を気に入ってくれる友人への気持ちというのは、現代に通じることは少なくても想像することが難しくないくらいには、わかりやすいテーマであると思います。それをうまく描き切ったという点で、ふつうの小説家ではできないものです。

  • ‪主人公のハンスは秀才のエリートです。期待に応えようと先生や親の言うことを聞いて必死に勉強に励みますが次第に心を壊していきます。後に機械工になりましたが溺死します。彼は車輪の下敷きになるかのように、周囲の期待に押し潰されてしまいました。1906年の本ですが、現代も真面目な学生に既視感がありますね。‬

  • 12〜13歳の多感で傷つきやすい時代に父親や神学校の先生たちから抑制され次第に内にこもるようになる主人公。自伝的小説と裏表紙に書かれていたので衝撃のラストに呆然としてしまった。どん底の状況からの復帰を願い、そうなるであろうと読み進めるうち、神学校から帰ってのうだうだした日々とか就職後の同僚との掛け合いとか退屈する展開で頁か消費されていくうちの顛末で微妙な読了感です。
    ただ、自然の美しい描写は難解な言葉を選びつつも情緒がある。
    子どもを育てるあらゆる立場の人が読んでためになると思われる。

  • 名作と誉れ高いヘッセ代表作。青春時代と違い、主人公の懊悩により添えなかった。

  • 母の存在とか、ちょっと違うところもあるが、ヘッセの自伝的小説。
    彼は、詩人になるか、でなければ何にもなりたくない と神学校を15才で脱走(*´Д`*)
    破天荒(^◇^)

    そこが天才なのかなぁ。

    俗人のヨーゼフ・ギーベンラートの息子ハンス・ギーベンラートは間違いなく天分のある子供だと皆が期待した。
    過去8.9百年の間、天才というものはいまだかつて産んだことのない古い小さな町に神秘の火花が落ちてきた、ということになった。

    それで、金持ちでなかったから、ただ一つの狭い道があるきりだった。州の試験を受けて神学校に入り、次にチュービンゲン大学に進んで、それから牧師か教師。これがエリートの道。

    めちゃくちゃに受験勉強し、好きな釣りやもろもろの楽しみは奪われた。
    ハンスを心づかいと親切心をもってみてたのは、靴屋のフライク親方だけで他の人は、ハンスが子供だってことを忘れてると思った。
    試験は受かったけど、子供らしい楽しみをせずに勉強ばかりしてて不幸だな。
    試験に落ちたら一生平凡なみじめな人間のひとりで終わるだろう。ずば抜けた人間になるつもりだったのにって思ったのも不幸だな。

    その時代が監獄としてハンスを閉じ込めて飲み込んでいったのかもしれないけど、これは昔の話でない。子供を持つ親や教師にうってつけの本かな。

    あと、ハイルナーとの友情はハンスにとってどうだったんだろう。
    あの結末には、驚いたし、小さいのにあの結末は悲しい。

  • 名著に挑戦!という気持ちで読んだ。

    なんだろう、
    古典文学(と言っていいのかな?)を
    読みなれていないせいか、
    情景描写が長い割にストーリーの進みは遅いので
    読みづらく感じた。

    そこがいいのかもしれないけど。

  • 10年以上かかって、「シッダールタ」「メルヒェン」「知と愛」「荒野のおおかみ」「デミアン」「ガラス玉演義」と読んでからこの「車輪の下」を読んだ。

    自然を愛する少年の素朴で繊細な心が、大人たちの社会の機構の粗さによって実に無遠慮に、無惨に、傷つけられていく。舞台となるのは全て実際にヘッセが育った場所であり、主人公の辿る軌跡はヘッセ本人のそれと同じで、限りなく自伝に近い、真に迫ったところのある作品のようだ。

    私自身はヘッセの作品を読み進めていく中で彼の特有の繊細さ、優しさを特徴と感じ、人として弱さを強さへと昇華させていく生き様に、自分の人生にも何かしらの励ましと、ヒントをもらってきたように思ってきた。

    けれど、この作品を読んで一番強く心に残るのは、ヘッセ本人のとてつもない「強さ」であった。ここに描かれているのは、限りなく事実に近いながらも、ヘッセ自身は主人公と同じようにならなかった。むしろ、全てを克服し、青年となったヘッセの、少年ヘッセへの弔いのような性格をしているのではないかと思う。

    多くの人はその鈍感さによってやり過ごしてしまう、この社会にありふれた厚顔さ、粗雑さによって傷つけられた繊細な少年は、その先で多くの人が太刀打ちしない政府や社会を敵に回してなお自らの平和主義を貫き、人生を全うしている。その強靭さの出発点がここに記されていると思った。

  • 神学校に進学した一人の少年の話。ストレスを抱えながら勉学に励み、寮生活を行っているが、ついに耐え切れなくなって飛び出してしまう。若い心と苦悩を描いた作品。

  • 感情移入してしまった。
    最後の晴れやかな気分からの衝撃が忘れられない。

著者プロフィール

一八七七~一九六二年。ドイツ、ヴェルテンベルク州生まれ。詩人、作家。一九四六年ノーベル文学賞受賞。代表作に『郷愁』『車輪の下』『デーミアン』『シッダルタ』などがある。

「2016年 『文庫 少年の日の思い出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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