- Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102129111
感想・レビュー・書評
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表題作のためだけに買える
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オブラートに包まず、その時々の感情を素のまま出しまくった自伝的短編集…と言ってしまってはつまらない。セックスと酒と暴力にまみれた自伝的短編集、と表現した方がこの本はふさわしい。でも、読後に吐き気をもよおすかと言うと、決してそんなことはない。
その理由は二つ。ひとつは、収められた30の短編がそれぞれ違う顔を見せていること。私小説だったり、文学的だったり、ファンタジーだったり、30編の持つ顔がそれぞれ違っている。だから、吐き気もなく、飽きることもなく、最後まで読み通すことに苦味は感じない。
もうひとつは、そこはかとない悲しみがこの短編集を貫いていること。それも、心の奥底に黒く重く沈んだように、簡単には取り出すことができない悲しみ。これを感じてしまったら、多少のセックスや酒や暴力も大目に見てやろうか、と言う気にもなる(と言ったら、少し言い過ぎか)。
そして、本書で忘れてならないのは「訳するにあたって二、三のこと」と題した秀逸な訳者あとがき。本書では、この訳者あとがきを読んでから本編に入るのが正解。 -
こんなに自由に生きられたらと思う。文章が無性にかっこいい。
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酷い話やと思ったのばっかりやけど、飽きることなく読み進んだ
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人生どん底だったときにこの本を手に取ったのは運命としか言いようがない、永遠にブコウスキーは我々負け犬の心にどっしりと住みつく
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口汚く乱暴で人をののしる言葉…、swearwordが頻出するがいやな感じは受けない。
猥褻な内容ではあるけれど、卑しさを感じないのでポルノにはならない。
チャールズ・ブコウスキー作品ははじめて読んだけれど、おそらくその作家性はそういうところにあるのではないかと思う。 -
例えば「パンクなおじさん」とか「ダメなんだけどキュートなおじさん」とか「飲んだくれのいかした男」としてのブコウスキーに興味があって、つまりそういったキーワードから派生した興味本位だけでもってこの本を読みたいと思う人がいたら、やめたほうがいい。
感受性の強すぎる人とか、変に生真面目な人とかは絶対に読まないほうがいい。
そんな生半可な気持ちで読んだら傷つくんじゃないかと思う。
玉石混淆。
「石」の方が本数が多いかも知れないけど、「玉」の存在がすごすぎる。
「エロいだけじゃないか」と思っていたら絶対に火傷する。
ここには猥雑さも同性愛も幼児虐待も老ホモ虐殺も自殺も尺八もどす黒い血もバラバラになった肉片もファックも揃っている。
読んでスカっとする話もあるし、ショート・ショート的なオチのついた話もあるし、トラウマになりそうな後味最悪の話もある。
だから生半可な気持ちで近づかない方がいいと思う。
「パンクなおじさん」とか「ダメなんだけどキュートなおじさん」とか「飲んだくれのいかした男」なんて表現をずっとずっと超越している。
最後の一編まできちんと読み終わった後には、ぐったりと疲れ果てて、おもしろかったとか、ニヤリとホホを緩めたりとかは出来ないと思う。
僕は出来なかった。 -
一定の文学的価値はあると思うが、俗悪、露悪を通り越して、狂気の域に入っている。ほんの少しハッとする表現はあった。
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久々の再読。どうしようもない負け犬の話ですが響きますねー。格差がどんどん広がる一方のこの時代に、この方の作品、また注目されていくんじゃないかなあ、とも思います。