雪のひとひら (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102168059

感想・レビュー・書評

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  • 子ども向けの語りのようにも見えますが、どうでしょう。
    一人の女性の一生を描いたものです。

    どのように、どのような気持ちを持って生まれたか覚えている人はいないと思います。生を受けたそのときから、どのようなことに感動し、毎日を送ってきたか、喜びを誰とどのように分かち合ったか描かれてます。

    そして秀逸なのが、最後です。
    最期を悟り、その時に今までの人生を振り返ります。
    誰しもそうではないでしょうか。
    人生を受け止め、生を受けた後に感じた感動、はじめてみる朝日、子どもの笑い声、そうしたことをもう一度思い出します。

    あとがきにて。
    最後の言葉の原文について書かれています。Well Done 。さあ、どういう意味が込められているのでしょう。「主人公の生涯も要約してしまえばごく平凡な、あたりまえの女の一生にすぎません」(あとがきより)。。。そうなんです。そうなんですが、でも響くのです。
    他人にとっては些細な一生でしょう。でもかけがえなのない一生なのです。Well Done.

    昔読んだ「ジェニイ」も、「トンデモネズミ」も近いうちに読み返したいと思いました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      辛4さん
      自炊かぁ、、、猫はPCクラッシャーなので紙の本だけにしました。
      辛4さん
      自炊かぁ、、、猫はPCクラッシャーなので紙の本だけにしました。
      2021/08/23
    • 辛4さん
      猫丸さん
      こわさないで。。。お願い。
      猫丸さん
      こわさないで。。。お願い。
      2021/08/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      辛4さん
      にゃ~ん
      気合いでも勝てない時は、ブッチ~ンと電源を切ってやりまする。。。
      辛4さん
      にゃ~ん
      気合いでも勝てない時は、ブッチ~ンと電源を切ってやりまする。。。
      2021/08/25
  • 生命の誕生から死にいたるまで、女性の一生を「雪のひとひら」の生涯にたとえて綴られた物語。
    「わたしって、いまはここにいる。けれどいったい、もとはどこにいたのだろう。そして、どんなすがたをしていたのだろう。どこからきて、どこへ行くつもりなのだろう。…」
    どんなにささやかで、つつましい存在でも、何ひとつとして無意味なものはないのです。
    最後の「おかえりなさい」の一言で、なにもかもが救われた気持ちになる。

  • すべてが美しい詩のような作品。

    平凡な女性の一生とは、ちっとも平凡じゃない。
    幸せの形はみんな違うけれど、
    目を凝らして、耳をすまし、心を動かすことは
    豊かな一生の過ごし方だろう。

  • ファンタジー。
    一人の女性の一生を描いた作品なのですが、主人公が雪。
    とにかく純粋で美しい。
    雪のひとひらが生の意味を悟るシーン、そして、最後の一文が印象的。
    名作ですね。

  • 一人の女性の一生を雪に例えた童話。

    誰もが一度は思う『 自分の生まれた意味 』を
    探すお話。

    ひとつひとつのの言葉が綺麗で優しい。

  • 高校生の時、国語の先生に勧められて読んだ本、感覚的にこの本に惹かれて何冊も買い、人にもプレゼントしました。
    久々に図書館で借りて読みました。女性の一生が淡々と語られてた。実に現実的に、象徴的に。愚痴など排除して自分の人生を全て受け入れる、いいなと思いました。また、時々読もうと思います。
    娘の本棚にもありました。

  • まず初めに思った感想が、読みやすい。
    文字が細かくないしページも多くもなかったので。

    後ろの筆者の解説のようなあとがきが、立派だなあと思った。本編最後の言葉があまりしっくりは来ていなかったけれど、あとがきを読んだらスッキリした。

    内容の描写に関しては、
    風景、心情描写が明るく、率直で、美しく、読んでいて気持ちが良かった。
    朝焼けなど、綺麗だが普段そこまで気に留めないものや、雪のひとひらは同じものから生まれ、似ているが、どれもみんな違うといった、
    本当は奇跡に等しいもの、尊い物を改めて教えてくれる。
    「誰かがこちらを思ってくれているのがわかると、雪のひとひらの身に喜びが溢れた」みたいなところがすごくよかった。

    女性の生涯を雪のひとひらに例えてなぞって行くという作品で、「全ての女性に向けて」的な紹介文章があり、フェミニズム的な問題を強く扱っているのかと思い込んでしまっていたけれど、あとがきから見る限り、訳者は性別の違いを公平な立場で眺めているのがよかった。
    原作者のギャリコの女性の人生への理解のようなものも伝わってきた。
    過度にどちらかに入れ込みはしない2人の態度が好きだった。

    素朴な人生、素朴な暖かさに溢れ、親しみが湧く作品だった。

    • ななさん
      感じ方、筆致が優しいですね。
      感じ方、筆致が優しいですね。
      2021/05/20
  • 女性の一生を雪のひとひらにたとえたファンタジー。「川の流れのように」なんて歌がありますけれども、雪のひとひらの人生は、水の流れに流されていくなかでの人生です。そのなかでも、喜びがあり、悲しみがあり、美しさにうっとりするときがあり、そして苦難がある。わたしはいったい、なんのために地上に降りてきたのだろう、と雪のひとひらは考え、そして、その最後に答えを見つけだします。その答えは奉仕する役割をまっとうするためにこの世界に降りてきた、というようなものなのですが、実際、人間の人生であってもそのように考えてみると、「なぜ自分ばかりがこのような大変な目に遭うのだ」という嘆きや憤りが昇華されると思います。「そうか、自分は世界に奉仕するために生まれたわけで、その役割を果たしている」とわかることで救われるものがあります。こういうのはキリスト教の価値観からくるのでしょうか。前に読んだ、同じ著者の『スノーグース』という短篇集でも、そのことを強く感じましたし。この不条理な世界で生きていくための賢い感覚だよなあと思いました。宗教のすごいところってこういうところにあるんですよねえ。

  • 雪のひとひらの一生を、詩的に表現力豊かに描いている。雪のひとひらが空に生まれてから、また空に帰るまで、穏やかさの中に、大きな愛と深い哀しみが満ちあふれている。

  • 何のために生きているのだろう、を描いたお話。

    読んでいて、「どうして周りの人とは会話しないのだろう」と思ったのだけれど
    あとがき等を読んでいて、ひとひらは自分のことを自分だけのものとして考えているんだ、と
    すっかり周囲と比べることになれている自分に恥ずかしくなりました。

    とても綺麗な、世界を愛せるような言葉選びでした。

著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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