- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103808114
作品紹介・あらすじ
ほしいものも、会いたい人も、ここにはもうなんにもないの――。胸に迫る長編小説。大晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女。彼らは酒を飲んで共に過ごした過去を懐かしみ、そして一緒に猟銃で命を絶った。三人にいったい何があったのか――。妻でも、子どもでも、親友でも、理解できないことはある。唐突な死をきっかけに絡み合う、残された者たちの日常。人生におけるいくつもの喪失、いくつもの終焉を描く物語。
感想・レビュー・書評
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ブクログの皆さま、新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
そして本年も皆さまにとってよき1年になりますように!
久しぶりに江國さんの単行本を買いました。
大晦日の話しらしいので年末に読みたいと思ったのです。
篠田完86歳、重森勉80歳、宮下知佐子82歳の三人の老人が大晦日の夜に都内のホテルの一室で猟銃自殺をする話です。
三人の関係は1950年代の終わりから同じ美術系の出版社に勤めていた仲間でした。
久しぶりに読んだ江國さんの新作ですが、やっぱりディティールは好きでした。
三人が最後に摂るホテルの食事のステーキとフレンチフライ、特製ミートパイは本当に美味しそうで、最後の晩餐にふさわしいのかと思いました。
完爾たち三人の話より、遺された家族や係累たちの話の方が長いのですがやっぱりなぜ三人は一緒に死んだのかが一番気になるところでした。
三人三様の理由も語られていますが本当にそんな理由で三人集まって、次の日のニュースになってしまうようなことを人間はするものかと疑問に思いました。
印象的だったセリフ(メイルの文章)があります。
葉月「そんなふうに思える人が、私には全然いないので」
朗子「いないほうが断然健全です。あの三人だってたぶん。一緒に逝きたいと思い合って、逝ったわけではないと思うのです」
三人の仲がこれほど親密でなければ、このようなことは起こらなかったかもしれないと思いました。 -
大晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女。
三人はホテルで猟銃自殺する。
とても衝撃的な出来事で、残された者が右往左往するのかと思いきや、そうでもない。
苦悩する、激昂する、罵詈雑言を浴びせる、呆れる、いろいろな想いはあれど、皆まるでそんなことあったか⁇という感じで淡々と日常を過ごす。
何の感情の変化も無いようである。
そういうものなのか…
いや、そうするしかないのだろう。
彼らのことばを聞くことはできないのだから。
1950年代の終わりに知り合った三人が、一緒に終わりを迎えるということの理由…。
それがどうしてもわからなかった。 -
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大晦日の夜、80歳過ぎの男女3人がホテルの一室で「猟銃自殺」…決行する直前、彼らは何を話したか | 文春オンライン
https://buns...大晦日の夜、80歳過ぎの男女3人がホテルの一室で「猟銃自殺」…決行する直前、彼らは何を話したか | 文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/518512022/02/08
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大晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女。彼らは酒を飲んで共に過ごした過去を懐かしみ、そして一緒に命を絶った。三人にいったい何があったのか。とインパクトのある紹介文が掲げられているが、内容は三人に関わりのあった人々の故人への思いで構成されている。静かに綴られた語りから「三人にいったい何があったのか」への答えは描かれていない。
そういうものなのだろう。子どもでも親の全てなど分かっていない。自分に向けられる親の顔しか知らない。
その上、あんな死にかたをされたら、残された人々は悩むだろう。
りゅうとした三人の老人像から、こんな人騒がせな死に方はイメージに合わなくて、違和感が残ってしまう。 -
出版社で同僚だった80代の三人の男女が、特に悲壮感もなく一緒にこの世を去る。末期癌の一人と共に思い出の幕を閉じるためなのだろうか、理由は分からない。
物語は不可解な死への痼りを抱いた家族や縁のある人々のそれぞれの胸中と日常を綴る。奇抜なプレリュードに戸惑いながら、その後は静かにレクイエムが流れているような物語でした。 -
誰もみな、雨の中「ひとりでカラカサさしてゆく」しかない、ということなんだろう。そこにはすごい諦念があるように思うのだが、荒んだ感じではないところが、著者の小説の特徴なのかもしれない。
長年の友人であった老人三人(男二人女一人)が一緒に死のうとするのは、まあ全くわからないわけではないけれど、なぜここまでショッキングな形(ホテルで猟銃自殺)なのか、納得できるような説明はされない。その波をかぶる周囲の人たちがいろいろ登場するが、特に誰かに焦点があたることはなく、共感を誘うような人もいない。断片的とも言える描写は、人生はそうそうわかりやすく変わったりしないという意味合いなのだろうか。もやもやふわふわとした読後感が残った。
オマケ
自死する三人のうちの一人知佐子さんが、「雨ふりお月さん」の歌詞について「子どものころ、お嫁にゆくのはお月さんだと思ってた」と話すくだりがある。そう!私もずっとそう思ってた。お嫁になんか行くはずのないお月さんをちょっとからかってる歌なんだと。曲調も詞も好きな歌で、この本もタイトルにひかれて読みました。-
この作品すごく気になっているのですが、タイトルを見て、まったくたもひさんと同じく『誰もみな、雨の中「ひとりでカラカサさしてゆく」しかない、っ...この作品すごく気になっているのですが、タイトルを見て、まったくたもひさんと同じく『誰もみな、雨の中「ひとりでカラカサさしてゆく」しかない、ってことなんだろう』と想像したら、なんだか怖すぎて手が出ないでいます。『荒んだ感じではない』ときいて、読んでもいいかなと思えてきましたが。やっぱりもやもやしそうな気もします…。
そういう世代なんでしょうが、なんだかもう諦念というか、終わりが見えるような話が多い気がして、ちょっと気が滅入ります。しかたないんですが。2022/02/25 -
ほんとにねえ、小説とか読む人もどんどん高齢化しているせいか、自分がそういうのばっかり目に入るせいか、たそがれた雰囲気のものが多いような気がし...ほんとにねえ、小説とか読む人もどんどん高齢化しているせいか、自分がそういうのばっかり目に入るせいか、たそがれた雰囲気のものが多いような気がします。別にむやみに明るいのがいいとは思わないけど(むしろイヤだけど)、少しだけ元気になるようなのも読みたいかなと思ったりします。
江國さんのはやっぱり独特の世界で、淡々と乾いた感じ。ウェットな寂しさや悲しさはあまりなくて、そこが持ち味なんだろうなと思いました。2022/02/25
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三人の老人の人生の終焉と、残された人達の日常。
物語は江國さんらしく淡々と綴られ、猟銃自殺という衝撃的な出来事もすんなりと受け入れてしまう。
結局のところ、人は生まれてから死ぬまでずっと一人だけれど、それは決して嘆いたり悲しんだりするべきことではないと思う。
2021年最後の1冊。大晦日の1日で一気に読んだ。
私は江國さんの描く女性(特に老女)が好きだと、あらためて思う。
私は、年齢ははっきり言えませんが、やっぱりnaoちゃんと呼ばせていただきますね。
これからもよろしくお願いいたします!
私は、年齢ははっきり言えませんが、やっぱりnaoちゃんと呼ばせていただきますね。
これからもよろしくお願いいたします!
あけましておめでとうございます。
すごく惹かれるレビューです。
江國香織さん、ほとんど読んでいないだけに興味津々です。
図書...
あけましておめでとうございます。
すごく惹かれるレビューです。
江國香織さん、ほとんど読んでいないだけに興味津々です。
図書館すごい予約だろうな〜。
今年もよろしくお願いします✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
新年明けましておめでとうございます。
江國香織さんは、私は、童話や詩、エッセイの方が好きです。
まだ、読まれていないのなら...
新年明けましておめでとうございます。
江國香織さんは、私は、童話や詩、エッセイの方が好きです。
まだ、読まれていないのなら、おすすめです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします!