いちばんここに似合う人 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900854

感想・レビュー・書評

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  • これを一冊の本として評価するのはなかなか困難。
    16の短編を全て読んだけど、読んだだけで、さっぱり意味が分からないものも幾つかあった。
    ただ、すんなりと吸収できて、面白いと思えたものは、半端なく面白かった。
    16全てを分かるには、読み手の私の経験値がきっと足りないんだと思う。あとまた何年か後に再読したいと思った作品。
    そんな、先に期待が持てる意味で☆4つ。


    好きだった話
    『妹』『ロマンスだった』『何も必要としない何か』『2003年のメイク・ラブ』『十の本当のこと』『モン・プレジール』『子供にお話を聞かせる方法』

    面白かった表現
    『車に向かって歩きながら、このまま車まで永遠に歩き続けたいと思った。いまこの瞬間だけは、自分がどこに向かっているかがはっきりしていた。わたしは車に向かっていた』(2003年のメイク・ラブ)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「あとまた何年か後に再読したいと思った作品。」
      次の作品の翻訳も待たれる!
      「あとまた何年か後に再読したいと思った作品。」
      次の作品の翻訳も待たれる!
      2014/04/25
  • 孤独で優しく不穏な短編集。何と表現したらよいか迷う短編ばかりですが不器用で純粋な登場人物たちにはどこか共感してしまいます。時折挿入される愛のシーンも寂しい気持ちになります。

  • 16編からなる短編集。日常の生活のごく一部分、とても短い時間を描いている。まるで体の一部分をえぐりとられるようなそんな痛々しい生々しさを覚えるほど強烈。ぱらり、と無作為に開いた一場面だけに目を落としても、まるで完成型のように感じるようなシーンが多かった。どうも自分は読んでいて落ちつかなかった。覗き見るのが怖いような世界だったのかもしれない。余りにも尖っていて痛いのだ。
    『ラム・キエンの男の子』と『モンプレジール』が特に好き。

  •  「江國香織が帯を書いている本をあなたが読むなんて・・・」という妻の言葉通り、私のストライクゾーンから少し外れていたようだ。
     それぞれの短編で、少し独特な主人公たちが孤独と疎外感と、わずかな人とのつながりを握りしめている物語だ。時にあっさりと握りしめている手を緩め、一人で歩いていく。寂しい?寂しくない?いや、そういう問題ではなく、それが彼女であり、彼なのだ。
     おっさんゆえ主人公への感情移入は難しいが、妙に気にかかる主人公たちではある。

  • ちょっと奇妙な日常を舞台にした16編の短編集。
    人はあまりに長く孤独でいるとおかしなことをしてしまう。トンチンカンな挙動をしたり、そうでなければ思いに捕らわれて固まってしまったり。そんな日々の些細なことを連ねて物語の骨格ができている。個々の出来事はたいしたことではないけれど、反応としての行動から、本人にも無自覚に心の動きが語られていく。どんなふうに物語をまとめ上げているのか不思議に思える作家の技。ああ、あるあるこういうこと……と共感するところ大なのだけれど、いかに孤独すぎる人の挙動を熟知しているかがバレるので、人に読んだ読んだと言うのは恥ずかしかったりする。
    しかし、孤独な人は絶望の淵に沈んでいるわけではない。川底を歩いている。時には差し込む光に手を振ったり、スキップしたりすることだってあるーーという感じがした。

  • 短編集。どの話にも強烈に引き込まれた。もう二度と元に戻らない関係は、わたしもこうやって本に閉じ込めておきたい。心だけが遠くに行ってしまったひとを思うとさみしさが込み上げるが、本心を隠したまま彼らに接する主人公。黒い影を愛する女性、実体のない娘を愛する老人、友人の娘を愛する女性、何かがはっきりと終わってしまった夫婦、電話を布団の中に引き入れて寝る少女。どうして人は一度手に入れたものを手放してしまうのだろう。

  • 一歩進むたびにバケツに足をひっかけて転んで、上から盥が落ちてくるような読書だった。登場人物が痛々しくて数ページも続けて読めず、いくつ話を読み終わってもミランダ・ジュライに慣れることができなかった。

    独りであるために自分のふるまいが適切なのかどうか確認できず、絶えず緊張を強いられているように見える女たち。物語を外側から楽しめずに彼女らの側に立って経験してしまったのは、自分の中の変えようのない部分をあの女たちに見てしまったからだろう。素のままではあんまり大変だから、なるべく弱点をさらさずに済むように生活を組み立てているのに、まだそういう防御体制を敷けなかったころの不安感がまざまざとよみがえってくる。今だって素の自分を彼女らの世界に投げ入れたら、同じようにへんてこでぎこちない行動をとるだろう。「自分だけじゃなかった」みたいな安心感はどこにもなかった。

  • この空気感を表現するのは難しい。日常に潜む、悲惨さに気づかせてくれる感じ。

  • ひとはみな孤独だが、孤独を通してつながれるかもしれない。米国版江國香織のよう。これは、お気に入り追加!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「米国版江國香織のよう」
      ふ~ん、、、何となく江國香織が読んでみたくなりました。岸本佐知子が訳した本なので読んだのですが、ミランダ・ジュライ...
      「米国版江國香織のよう」
      ふ~ん、、、何となく江國香織が読んでみたくなりました。岸本佐知子が訳した本なので読んだのですが、ミランダ・ジュライの微妙なユーモア感覚は好きです。。。
      2013/02/27
  • 一気に読んでしまうようなものでもない気がして、1日1篇のペースで、鞄に入れといた。
    この本と同じ色の黄色い鞄からこれを取り出してみる、またしまう、……、とても楽しい2週間だった。
    細かいことにウジウジとらわれてしまう私だが、この本をパタンと閉じる瞬間には、ちょっとだけ健全に力強くなれるような気がする。

    附記。
    これを読んだという人に会ったら(ひょっとしたら「女の子限定」のほうがいいかもしれないけれど)、「あなたはこの中でどれがいちばん好き?」と訊くことに決めた!
    それから、その都度の自分には、「今日のあなたはどれ?」と。

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著者プロフィール

ミランダ・ジュライ(Miranda July)
1974年、バーモント州バリー生まれのアーティスト、作家、女優、映画監督。本名はミランダ・ジェニファー・グロッシンガー。
バークレーで育ち、16歳から舞台の脚本、監督を務めている。カリフォルニア大学サンタクルーズ校に入学するが2年目に中退、ポートランドに引越してパフォーマンス・アートを始める。1996年に短編映画集製作のプロジェクトを始め、2005年に映画「君とボクの虹色の世界」を監督・主演。非常に高い評価を得る。
2005年から小説の執筆を始めている。代表作に『いちばんここに似合う人』。ほか、『あなたを選んでくれるもの』『最初の悪い男』など。

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