コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書 2184)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021847

感想・レビュー・書評

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  • 行政職員として非常に刺激になる本でした。行政職員のネットワークは地域活性化センターによる「地域リーダー養成塾」などに参加することで出来つつあるような気がします。
    地方の過疎地域が生き残るために、大切な地域の文化を残すために、故郷を大切に思ってもらえるような地域づくりを協同で行う必要があるし、都会で生活しているかたにも、故郷を感じてもらうために協力してもらえると、人口が少なくなっても何とかなりそうな気がします。
    とはいえ、都会でも熱中症で人知れず孤独死する方もみえる世の中、高齢化とコミュニティの希薄さは、何とかしていかなければならないのではないでしょうか?
    政治的な課題でもあると思うのですが、経済というか、そちらに弄ばれて、大切なことに目をつむってしまっているような世の中を感じてしまいます。

  • 最後のほうのワークショップの方法についての話が、個人的にためになった。
    話を引き出しまとめるにはかなりの勉強が必要だというのも、すごいなあと思った。

  • 人口減少であれば、活動人口を増やすことにより賑わいを作ることができるのではないか。公園のゴミ拾いでアートを作り、それにアーティストが協力しサインをすることで販売。P121のワークショップに参加した人をその後も関わり続けてもらうようにできないかというのは、私の問題関心そのものだった。ファシリテーターが意見をうまく引き出すと、発言者がすごいアイデアを思いついたような気になり、楽しくなる。ファシリテーターの重要さがわかる。

  • 最近、まちづくりの大家が「コミュニティデザイン」と言うのを聞いて驚く。
    本当にまちづくりの時代から、コミュニティデザインの時代に変わりつつあるのだろうか。
    山崎亮氏の活動は素直に素晴らしいと思う。
    だが、今自分のいる立ち位置から、また新しいアプローチを考えたい。
    いつか山崎亮氏をライバルと呼べる日をめざして。

  • 64 都市部では「私」が閉じることになり、それ以外は「公」なのだが、「私」がつながっていないので「共」が生まれず、「公共」が生まれにくい。自ずと「公」は「官」と近づいていく。……しかし、もはや「官」が「公」を担い続けることは難しい。税財源も縮小しているし、人々はつながりを求めている。もう一度「私」をつなげて「共」をつくり、それを外部に開くことによって「公」をつくり出すことが必要だろう。「新しい公共」という言葉が使われるが、これは結局「古くて新しい公共」ということなのだ。

    80 その意味では、現金を介さない関係を多様に持っておくことがつながりを豊かに持った人生をつくるわけで、コミュニティはまさにこの種のつながりをいろんな方向に持った人たちの集まりだといえよう。

    100 時代が変化し、言葉の意味も変化するわけだから、肩書きが意味するところも、その実践によって育てて変化させてしまえばいい。僕はそんな考え方に賛成だ。

    141 まちの活性化というとどえしても「経済活性化」ということになり、それはつまり「金銭的に儲かること」という意味になってしまう。まちの活性化というのは、まちを構成する一人ひとりが活性化することであり、つまりは「よし、やるぞ!」という活力を得ることのはずだ。「生きていくための活力を得る」ことが活性化であり、多くの人がそう感じることができるようになることが「まちの活性化」である。

    175 ハード整備は進めてきたものの、ソフトウエアやヒューマンウエアに対する予算をあまりにつけてこなかっあ国の現状を表しているといえよう。

    202 楽しいアイデアをひとつ生み出すためには、その10倍以上の事例を知っている必要がある。

    204 デザイナーは、これまでに何を見て、何を感じてきたのかが大切である。それまでの経験や知っている事例が少なければ、つくり出すものはどうしてもどこかでみたことのあるようなものになってしまう。

    224 コミュニティが自走するまで続ける

    232 「ソーシャルデザイン」という言葉がある。社会的な課題を解決するために、もののカタチだけでなく社会の仕組みや組織のあり方などを含めてデザインするという考え方だ。

    233 「社会的な課題を解決するために振りかざす美的な力」

    247 コミュニティデザイナーも同様に、コミュニティの部外者であるからこそ聞き入れてもらえる言葉を持ち得るのだろう。そう考えて、最後までヨソモノとしての立場を崩さないようにしている。

  • まちづくりをしている人やこれから関わりたい人に
    また対話の方法やワークショップに関心のある人に
    人口減少時代に生きていく為のポイントが満載の一冊

  • 超高齢化社会、人口減少社会、無縁社会。その中で、どのようにして公共=コミュニティを再起動するのか。地道な聞き取り、人間関係の構築に始まり、単純に解決策を提示するのではなく、住民の言語化されていない想いまでも引き出し、魅力的なアイディアへと昇華させる。その過程は、まさにデザインと呼ぶにふさわしいクリエイティブな作業だと思う。

    平易な文体で、1話ごとに読みきれるようなスタイルで書かれているので、読み易い。コミュニティ・デザインの背景・詳細・人・方法について4章に分けて綴られている。特に方法論の章を興味深く読んだ。様々な異なる状況に対応できる柔軟性と多様な知性を必要とする、高度に知的な職業だと思った。著者曰く「コミュニティデザインの教科書は当面書けそうにない」。

  • コミュニティや街づくりっておもしろそうだな、これからそれぞれの街がその街の人々で作られて行く時代なんだなと思います。

  • (後で書きます)

  • 著者の山崎亮は、本も何冊か書いており、カンブリア宮殿でも取り上げられた。淀みなく早口で話す様子を見て、頭が切れる人だと思った。その山崎亮の著作の中で初めて読んだのがこの本。
    コミュニティには地縁型コミュニティとテーマ型コミュニティがある。今までの地縁型コミュニティが崩壊しつつあるいま、テーマ型コミュニティを作ることが大切だ。テーマ型コミュニティと言っても参加するのは地域の人たち。テーマ型コミュニティという点をつなぐことで、地縁型コミュニティという線に、また面になる可能性がある。
    もちろんいきなり地縁型コミュニティを作れるならそのほうが良い。しかし、集まって町のことを考えるとか、信頼関係を作るためにワークショップをやったり、ゲームをしたりする。この辺りが難しい。おままごとのようなわざとらしさを感じてしまうのは私だけだろうか。

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著者プロフィール

山崎亮(やまざき・りょう)
コミュニティデザイナー。studio-L代表。関西学院大学建築学部教授。主な著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社)、『ソーシャルデザイン・アトラス』(鹿島出版会)、『コミュニティデザインの時代』(中公新書)、『コミュニティデザインの源流:イギリス篇』(太田出版)、『ケアするまちのデザイン』(医学書院)などがある。

「2024年 『新版 生きのびるためのデザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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