教養としての宗教入門 - 基礎から学べる信仰と文化 (中公新書 2293)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022936

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    序章   なぜ「神」と「仏」が区別されるのか
    第1章  薄い宗教① 世界の大伝統
    第2章  薄い宗教② 神の物語と悟りの物語
    第3章  濃い宗教① 信仰
    第4章  濃い宗教② 奇跡と呪術
    第5章  宗教の仕掛け① 戒律
    第6章  宗教の仕掛け② 儀礼
    第7章  宗教の多様性と現代社会
    資料編  世界の主な宗教 概説
     1  ユダヤ教 
     2  キリスト教 
     3  イスラム教
     4  仏教
     5  ヒンドゥー教
     6  儒教と道教
     7  神道と日本の民俗的世界
    おわりに

    <内容>
    本当にあっさりと説明している。資料編の仏教の所や儒教の所が役立ちそう。

  • 宗教についてビギナーでも読める広く易しい本が欲しくて、評価の高かった本書を購入。
    なるほど、確かに読めないほど難解ではない。
    一つ一つがプツプツと置かれている部分もあるが、キリスト教、イスラム教、仏教など、それぞれを対比させながらシステムの共通項や相違を述べてくれているのはありがたい。

    「おわりに」で「宗教や伝統に対して、少し突き放したような視点で書かれた本書」とあって、突き放すどころか、アンチテーゼ(とまで言えるか分からないが、浮かんだので。)のようなコメントもあって、まさに教養として「宗教」とは、いや、人が形のない何かを信じ、祈り続けられることの根源を考えさせられる。

    現代にあって尚、人が命を賭して信仰を遂げる事象は数限りない。
    宗教同士の相対的矛盾や科学的矛盾も含まれているであろう聖典を真理とし、絶対的な行動規範とする人もいる。
    このように今日まで絶えることなく、弾圧されようと手を広げ続ける宗教というもののシステムと力は、いわゆる無宗教の私から見ると空恐ろしいものがある。

    「身体的な習慣を重んじるという意味で日本人もイスラム教徒も共通したところをもっているが、しかし、日本人が好むのは、無意識的になじんでいく儀礼であり、アッラーが教えているのは、意識的にコミットする戒律である。」

    「ほとんどの人にとっては、宗教とは生活習慣の一種なのである。戒律は生活習慣をスリムにするための有効なメニューだと言えるかもしれない。」

    「神仏とは、人間どうしで話すときのような普通のコミュニケーションの中に姿を現わすものではなく、何らかの演劇的な演出のうちに感得されるものであるらしい。いずれにせよ、儀礼という動作を伴うことは、宗教が単なる概念や観念だけのものでないことを教えてくれる。」

    「自分たちの宗教的世界を防衛しようとすれば、多かれ少なかれ閉鎖的にならざるを得ないが、思想の点で閉じれば『原理主義』になるし、空間的に閉じれば文字通りのカルトとなる。」

  • タイトル通りの内容。各宗教の概要が分かりやすく記述されており、為になった。
    ハマるわけでは無いが、長い年月により培われた各思想等は普遍的であり生きるヒントになると思う。

  • 「教養としての宗教」ガイドとして、「広く浅く」世界の宗教について解説。本書では、深い信仰を前提とする「濃い宗教」、文化や共通語彙としての「薄い宗教」という2つの宗教のレベルを提示し、それぞれについて、宗教全体を通ずる概論を行った上で、宗教の仕掛けとして「戒律」と「儀礼」について解説し、最後に、世界の主な宗教として、①ユダヤ教、②キリスト教、③イスラム教、④仏教、⑤ヒンドゥー教、⑥儒教と道教、⑦神道と日本の民族世界について概説している。
    まさに「教養」として宗教を概観するのに適した一冊。日本は無宗教といわれるが、東アジア世界はそもそも宗教については「チャンポン型伝統」があり、日本もその延長線上にあるといった著者の指摘はなかなか含蓄があって面白いが、本書は全体的にエッセイ的な論調で、著者の主観的見解が多いような気はした。

  • 二男購入。

  • 宗教の入門書。各主要宗教の解説は後半に回し、前半部分では濃い宗教、薄い宗教という信仰の深さの視点で、世界の人々がどのように宗教に付き合っているのかを説明する。後半の各宗説明も含めて非常に参考になった。

  • 宗教についてちょっと勉強してみたいけど,ほぼ知識がないので,まずは全体の概要をということで購入.
    世界の宗教について,とてもわかりやすくまとめられており,ありそうで意外とない良い本.
    歴史的背景や教義,戒律,儀礼など,学校で習うような事柄が整理されていて,まさに「教養」として身につく感じ.
    この知識があれば,近代〜現代史がもっと腑に落ちる気がした.

    ユダヤ教は「規則を守る」ということそれ自体に意味があるというのが興味深かった.規則を守るのは手段ではなくて目的.規則を守ることによって救われるという考え方.
    対してキリスト教は,「規則を完璧に守るのって難しいよね,人間だもの」っていうちょっと緩い感じ.「そんなあなたも救ってあげるよ,私を信じなさい」っていのは,失恋で傷ついた弱みにつけこむズルさに似たものを感じた.でもこのロジックは強いよね.消えない罪悪感を誰かに許してもらいたいっていう深層心理を上手く突いている.
    また,イスラム教は「規則を守ろう.でも,BestEffortでいいよ,無理はすんなよ」っていうこちらも緩い感じ.イスラム教ってもっと厳格なんだと思ってたので意外だった.

    世の中,キリスト教とイスラム教が多いことを見るに,人間はやっぱり不完全な生き物なんだなぁと思った.

  • タイトルの通り教養として宗教とはなんだろうかと知ってみたくなったので読んだ。

    今思うことは、人がより良く生きるための手段が宗教なのだと思う。
    宗教によって、一神教、多神教だったり、また信仰、戒律、儀礼が異なっているが、目指すところは、信徒自身の心の安寧なのだと思う。ただし、何を心の安寧とするかは異なるが。

    文化、宗教、法律、慣習、習慣、信条、哲学など、このあたりの言葉を区別して説明できるようになると、宗教とは何かを理解できるのだと思った。

    宗教は、文化や法律と違って、民族や国を越えて広がっている。
    また、宗教は、目的がある。と思う。
    今は、そんな理解。

  • 薄い宗教、濃い宗教、宗教の仕掛け、宗教の多様性と現代社会という章立てで、宗教について解説。資料編として、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、儒教と道教、神道と日本の民俗的世界について概説。
    キリスト教の愛を説きながら、なぜ英米人が世界でそれと反したことを行い、無宗教の日本がさほど酷いことを行っていないのか、不思議に思っていたが、大多数の英米人は深く信仰しているわけではなく、習慣であったり、レトリックであったりすると明言しており、なるほどと思った。一神教か多神教かという違いはあるものの、薄いという意味では、他国であっても日本とさほど変わらないことが大半なのだ。

  • S160-チユ-2293  300384823
    (中公新書 2293)

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著者プロフィール

1958年生まれ。北海道大学工学部建築工学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科修了(宗教学専攻)。
著書に『信じない人のための〈宗教〉講義』(みすず書房)『信じない人のための〈法華経〉講座』(文藝春秋)『人はなぜ「神」を拝むのか?』(角川書店)『初めて学ぶ宗教――自分で考えたい人のために』(共著、有斐閣)『超訳 法華経』(中央公論新社)『宗教のレトリック』(トランスビュー)ほか。
訳書に『宗教の系譜――キリスト教とイスラムにおける権力の根拠と訓練』(T・アサド、岩波書店)『世俗の形成』(T・アサド、みすず書房)『心の習慣――アメリカ個人主義のゆくえ』(R・N・ベラー他、共訳、みすず書房)『ファンダメンタリズム』(M・リズン、岩波書店)
『科学と宗教』(T・ディクソン、丸善出版)ほか。

「2014年 『宗教で読み解く ファンタジーの秘密 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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