イスラームの歴史 - 1400年の軌跡 (中公新書 2453)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024534

感想・レビュー・書評

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  • 9.11が起こる前年に出版された本。
    イスラム教がどのように起こり、発展し、現状に至るのかを歴史的背景を基にして書いてある。
    この宗教が何を大事にし、どのような信条を持った宗派があり、異なる考え方をどうやって受け入れてきたのか。あまり知られてないイスラム教の"奥行き"のようなものを勉強した感じがする。
    民主化との融合については、今後も経過を見ていきたい。

  • 読み物としておもしろかった。

  • 新書サイズだとボリューム的に物足りない。

  • 世界的宗教学者がイスラームの歴史を描き、その思想や行動様式を浮き彫りにする。誕生から近代化までを概観。監修・池田美佐子

  • 刊行されたのは9・11の前年ですが、事件後のアメリカでベストセラーになったそうです。
    著者カレン・アームストロングはイギリス生まれ、17歳でカトリック修道院に入門し、同時にオックスフォード大学でも勉学を続けましたが、7年後に神との決別を決心し修道院を去ったそうです。
    その後エルサレムへの旅などを経験し、「共感」というものがさまざまな宗教に共通する本質であると確信。

    本書前半では、幾多の苦難に遭遇しながらも高度な文明を築いたイスラーム世界を描いていますが、
    後半では西洋近代との出会いによって深く苦悩するイスラームの姿が中心となっています。

    西洋史を読むとイスラーム教についてしばしば「寛容」と書かれています。
    クルアーンではユダヤ教徒キリスト教徒を「啓典の民」とよび尊重すべきと教えているとこの本で知りました。

    732年トゥールポワティエの戦いでのカールマルテルの勝利は、西洋史では重要性を誇張されますが、ムスリム側には何としても征服しなければならない気持ちはなかったそうです。
    当時ヨーロッパはまったく魅力のない地域と思われていたのです。

    十字軍も、西洋史では不名誉ながら歴史を動かした事件でしたが、イスラーム世界では近東のムスリムには衝撃的な災厄であっても、中央アジア、マレーシア、アフガニスタン、インドなど他地域に住む大多数のムスリムにとっては、遠く離れた辺境の地で起きた事件に過ぎなかったのだそうです。

    しかし西ヨーロッパは16世紀までに一連の大変革を開始し、やがて世界の他の地域を支配できるまでに!
    このあたりの西洋史は好きでよく読んだけど、この本を読んで「そんなにすごかったんだー」とあらためて感動。
    でもこの植民地体験とヨーロッパとの衝突により、イスラーム社会は混乱したのです。
    それが上に書いた「苦悩」になっていくのですね。

    その結果イスラーム教の原理主義というものがあらわれてくるのですが、実は原理主義というものは他の宗教にもあって、ユダヤ教キリスト教の方が歴史が古いそうです。
    そしてほんの一握りのイスラーム教徒が暴力に走るのは、近代化を前に追い詰められた状況にあり、生き残りをかけた戦いをしているのです。

    今まで西洋史をたくさん読み、またテロのニュースを見て、イスラーム教嫌いだったけど、いろいろなことがわかって、とても良かったです。
    カタカナ表記が慣れない言葉ばかりで大変だったけど、日本語としては小林朋則さんがわかりやすく翻訳してくださったので、理解できました。

  • イスラームの歴史・1400年間は様々なイマーム(指導者)が次々と現れ、イスラムの理想・在り方を考えてきたその思想の軌跡でもある。
    詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou24601.html

  • 9.11アメリカ同時多発テロの直前に刊行され、テロ事件によってベストセラーとなったイスラーム入門書です。本書を読んで今の世界を見渡すと、予言していたというよりも、こうなって当然の事態であり、私たちの無知が招いた結果だと思い知りながら読ませていただきました。イスラームの誕生から、それがどのような変遷をたどったかを、その思想に寄り添いながらたどることができます。そして後半、彼らが受けている無知ならぬ無視によって歪んでしまった関係から、今の世の中がどうしてこうなってしまったのかを少しは正しく理解することができるようになると思います。本書はそのために書かれたのであり、イスラームを正しく知るためには必読だと感じました。

  • 東2法経図・開架 B1/5/2453/K

  • 167||Ar

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著者プロフィール

英国の宗教学者。1960年代にローマ・カトリック教会の修道女として7年間を過ごす。オックスフォード大学セント・アンズ・コレッジで英文学を専攻。その後、著述と放送番組の制作等に携わる。A History of God(高尾利数訳『神の歴史:ユダヤ・キリスト・イスラーム教全史』柏書房)、Islam: A Short History(小林朋則訳『イスラームの歴史』中公新書)、Muhammad: Prophet for Our Time(徳永里砂訳『ムハンマド:世界を変えた預言者の生涯』国書刊行会)、The Bible: A Biography、The Case for God、Twelve Steps to a Compassionate Lifeなど著書多数。2005年、宗教的信条と伝統に対する相互尊重を推進して人類の相互依存を再確認する国連の新たな取り組み「文明の同盟」の上級代表の一員に任命される。2008年、「フランクリン・D・ルーズベルト4つの自由賞」およびTED賞を受賞。2013年、異文化間の理解促進への貢献により、英国学士院の第一回「Nayef Al-Rodhan賞」を受賞。

「2022年 『血の畑 宗教と暴力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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