印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883501

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。今まで自分が知っていた印象派のイメージがガラッと変わった。
    印象派は既存の芸術(というか美?)を破壊して、新たな美を創造した芸術の革命家だと思っていたのと、大衆から支持されていたとの知識しかなかったから、ゴッホのような貧しいけど夢を追う芸術家ばかりだと誤解していた。

    印象派の人の多くが富裕層であり、明るい色彩と美しく描かれた光は、そのキャンバスの外で濃く深い歴史的影を作っていたことを知って驚いた(しかも当人たちには自覚がない!)

    背景を知ると残酷な絵やそれを描いた画家を、少し批判的に捉える意思も感じたけど、個々人がどういう人生を歩んで、どういう思想を持っていたかは分からないし、良い悪いは見る方個性によるから難しいなと思った。でも、ざっくり一括りにすることで、印象派を取り巻く歴史的背景を知れたのでよかった。

  • フランスでは当初印象派の評価が低く、大量にアメリカに流出してしまったこと。そのように流出したスーラの「グランドジャット島の日曜日の午後」(シカゴ美術館)をフランスの団体が買い戻そうとしたけれどもできなかったこと。仕方なく引き取ったカイユボットの絵画が今ではオルセーの大切な展示となっていること。どれも知らなかったことで、興味深かったです。

  • 723-N
    閲覧新書

  • 絵の実物をたくさん入れてくださってありがとうございます!中野京子先生の本全部読みたい!
    浮世絵は印象派ほどはやらなかった、版画だし紙は保たない、なにより宣伝が下手…etc

  • 2021年3月14日 夫からのプレゼント。

  • ちょっと批判的に感じた。
    アメリカに対する画家の姿勢、格差社会や女性蔑視に対するマネやドガの姿勢、自然現象に対するシスレーの姿勢についての描写から。
    印象派は主題を捨てた。現象や瞬間をとらえることを重視し、絵から意味も主張も込めなかった。絵を絵として楽しむために、物語や精神性を消したと言われている気がした。

    入門編とはみんな書いていますが、杉全さんの「イラストで読む」シリーズの方が偏っていない気がする。

  • 日本では西洋絵画の人気ジャンルである「印象派」が前衛だったころから、著者ならではの「読み」が楽しめる。社会背景との重ね合わせての分析で、当時の女性の職業や、絵画自体の商業的価値にも話が及び立体的に知識を得ることができる。しかしそうはいっても、印象派の絵画は物語性が希薄で物足りない・・といつもの歴史画や幻想的な絵画により道にするのもご愛敬。わたしも著者と嗜好が似ているので、共感しながら読み、印象派について知識を強化した次第。

  • 『怖い絵』の著者によるわかり易い印象派・印象主義入門。印象派はどういう背景で生まれ、そして何を描いたのか。当時のフランスの様子・人々の生活を、歴史的な背景や印象派を取り巻く環境も含めて、活写する。

    若い頃は印象派より前の時代の絵が好きだったが(フェルメールは別格として、レンブラントとかヨンキントとか)、歳をとるにつれ、だんだん印象派の絵が好きになっていった。明るい色彩、わかり易さ(深く考えることなく感じるままに)、癒し…。クラシック音楽よりもポップスをよく聞くようになってきたのと相関があるのかもしれない。

  • もともと全然知識がなかった状態から
    印象派についてしれてよかった

  • 印象派の歴史と、その作品群が映し出す「近代」。
    本書に書かれたような印象派の影の側面は、大人になって知ったから受け入れられた気がする。
    印象派を楽しむために読んで損はない一冊です。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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