印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書)
- NHK出版 (2011年6月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140883501
感想・レビュー・書評
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印象派絵画について、画家の育ちや人となり、絵が描かれた当時の社会の風潮などを知ることができ、大変興味深かった。
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印象派の親切な入門書
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27.10.9東京都美術館で開催中のモネ展で購入。
大好きな印象派を中野さんの視点で解説。とても面白く、勉強になったしますます美術館に行きたくなる。(そしてもう一度モネ展に!)
原田マハさんのジヴェルニーの食卓を思い出しながら読み進めた。
印象派の絵は疲れずあまり考えず、ただ明るくて綺麗〜と観る感じ(だから日本人に人気だとか)だったけど、明るい中にもその時代背景、自分が思っていたのとは違う作者の意図があったり…。
それを知ることでさらに美術鑑賞が楽しくなるし、驚きや軽いショックを受けつつもますます魅入る。どんな背景があったとしても美しいと思う。
印象的な作者の言葉 [にもかかわらず美しい]
この言葉が全て表していると思った。 -
こういうのを読んでから美術館に行くと、3倍くらい楽しくなりますよ。印象派が出始めたころは、批評家からフルボッコな評価しかありませんでしたが、確かにそれ以前(ルネッサンスやバロックなど)の精緻で劇的な絵画を見た後、刷毛でシャカシャカシャカーと描かれた印象派の絵を見ると、「まじめにやれー!」という気分になってもおかしくないと思います。
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日本人の好きな印象派について。
アトリビュートなどを踏まえないと理解できない知的ゲームだった絵画が軽やかな印象派に移り変わる。
それまでは絵の具を調合していたのが豚の腸、ひいては現代と同じチューブ入り絵具に進歩して初めて実現可能であった。
時折作者のツッコミが入るのが面白い。
男は自分がおしゃれするより着飾った女を連れる方が楽ということ気づいたという下りが面白い。
イタリアに追いつこうとするフランスが熱狂した日本の浮世絵は日本人自体がそれほど大事にせず、アメリカは文化や歴史をフランスに求める片恋状態。 -
たしかにアメリカの美術館の名前を冠した展覧会では、印象派作品が目玉扱いになっているな。日本史専攻だったから、欧米の歴史がすっぽ抜けている、ということをうっすら思い知らされた。印象派に思想はないかもしれないけれど、時代の空気を今に伝えるし、画家の魂は変わらず絵画のなかにある。
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印象派が誕生する社会的な背景や、当時の市井の人々の暮らしぶりなど興味深い内容。ひとつのテーマについて深く掘り下げるというよりも、時代を概観する本として良いと思います。
地の文で「です・ます」と「だ」が混在しているのは、敢えてそうしたのだろうと思いますが(校正漏れにしては多すぎるので)、正直に言って成功しているとは思えません。中野京子さんの本は好きなのですが、言葉のリズム感が合わないなぁと思うことが時々あります。
また、広重は「歌川広重」と表記すべきではないでしょうか? -
内容的にはサラッと書かれている。あとがきによると、講演を基にした書き下ろしとのこと。画家を印象派の時代でくくって当時の風俗を紹介するのがテーマと感じた。印象派展示などの前に事前知識として読む、などかな。鑑賞後はもう少し詳しく各画家ごとに描かれた本の方がいいかもしれません。
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「です・ます」調に統一されていない文体に、微妙にペースを崩されます。
絵は言われれば分かる程馴染み深いのに、生前売れなかった画家が多いイメージがある印象派の成立から、当時の評価が低かった理由などが良く分かります。