われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)
- 早川書房 (2004年8月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150114855
作品紹介・あらすじ
ロボットは人間に危害を加えてはならない。人間の命令に服従しなければならない…これらロボット工学三原則には、すべてのロボットがかならず従うはずだった。この三原則の第一条を改変した事件にロボット心理学者キャルヴィンが挑む「迷子のロボット」をはじめ、少女グローリアの最愛の友である子守り用ロボットのロビイ、ひとの心を読むロボットのハービイなど、ロボット工学三原則を創案した巨匠が描くロボット開発史。
感想・レビュー・書評
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人類の辿った未来を、ロボットと工学の進化という視点から描く。形式は連作短篇集で、翻訳がごくごく自然。読みにくさはなく、さくさく読めてしまう。
本書の前半は、良質なSF小説として楽しく読める。それぞれの物語で登場するロボットはとても愛くるく、登場する人間もまたハートフルで魅力的。読みながら、ロボットと人間への愛が溢れていることに気づく。
しかし後半に進むにつれて、アシモフの突きつけた課題が迫ってくる。ロボットとマシンが優位となる未来において、人間はどうあるべきか。どう向き合っていくべきなのか。
ロボット文学の金字塔であり、SF小説の必読本。すべてのSF好きに、自信を持ってオススメできる傑作だった。
(長くなってしまうので省略。ネタバレを含む書評の全文は、書評ブログの方でどうぞ)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88SF%E3%81%AE%E9%87%91%E5%AD%97%E5%A1%94_%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88_%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2 -
今さらながらですが
読もうと思いつつ読めてなかったので
SF超入門の本をきっかけに
思わず購入してしまいました。
たった3つの原則
それが
これほど深く人間性を炙り出していくのかー
と衝撃でした
さすがの名著ですねーー
何年も経ってるし
今ではもっとロボット工学や心理学も進んでると思うけど
古臭さはかんじません。
訳がたまに、日頃使わないような
意味わからない言葉があるけど、、、
読みにくいことはありません。
はじめの方から最後の方にいくにつれ
話は、難しくというか
単純ではなくなってきます。
が、面白く最後まで読むことができました。
最近読んだ
チクタク✖️10を思い出しました。
チクタクよりも、読みやすく
ロボットのこれからも
人間の今、これからも考えさせられます。
これから今以上にロボットが普及していく時
この本を再読してみたいと思います。
また、他のロボットに関しての本も
読んでみたいなーと思います。
ロボット工学とか、専門的な本を
手にすることはないと思いますが、
こうしたSF小説などで
素人でも未来を想像する力を
養えることは嬉しいなと感じます。
SF小説がどんどん現実的な話に近づく中で
物理や数学、いわゆる理数系のものは
苦手でしたが、興味が持てて嬉しいです。
調子に乗って、物理の本とか手にとっても
正直???なのですがー
とりあえず、わかりやすい説明のものとか
小説から楽しんでいきたいと思います!
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ロボットSFの金字塔的作品。USロボット社の主任ロボ心理学者スーザン・キャルヴィンの回顧録として展開する、未来の地球を描いた連作短編集。
ロボットがロボットとして作られる際に、必ず設定される『ロボット工学三原則』。「人間への安全性」「命令への服従」「自己防衛」を目的として、ロボットと人間に一線を引いている。そんな中、人間にとって不本意な動きをするロボット。しかしロボットにとっては、三原則を守ろうとするゆえの動作だった。
SFは現実感がなく読んでいる先から置いてけぼりを喰うことも多いのですが、あくまでも原因は人間の作ったロボット三原則にあるため、ミステリとしてその世界観に没頭できます。
人型ロボットの実用化が目前に迫っている昨今、ロボットが人間の生活に深く関わっているこの作品の世界にさほど距離を感じません。作品中でも、少しづつロボットが人間に近付き、技術の進歩が伺えます。それと同時に人間らしく、さらには人間より優れたロボットを前に、人間らしさとは何か、ロボットとの違いは何かという問題を私たちに提示します。
この小説で生まれたロボット三原則が現在のロボット技術分野に大きく影響していると思うと、今後も長く脚光を浴びる作品になるのだろうと思います。
2004年「アイ・ロボット」として映画化され、映像としても楽しかったのを覚えています。こちらもまた観たくなりました。 -
原題 I, ROBOT
人が創造し、
人と同じように考え行動する、
人型の機械。
…見分けられなければ、それはもう人、ですよね。
いや、人より優れてます。
データを蓄積し難解な問題の最適解を瞬時に出し、
環境を選ばず活動できる。
人に危害を加えることを除いて。
スーザン・キャルヴィンの回想の形をとった短篇集ですが、そのまま、時系列の開発史になってます。
安全、服従、防衛の三原則のジレンマがもたらす、合理的なはずの機械の不合理。…おもしろいなぁ。
人の葛藤と同じ。得てして人は感情で答えを出しますが、…それが人の人たる所以かもしれませんね。
現在ではA.I.上のフレーム問題があるので、三原則のプログラミングは不可能、とされてるようです。
それにしても、人はなぜ人型に固執するのかな…? -
最近AI市場が発展してきたので、元祖人工知能の書として読んでみた。まだ読み終わっていない。
ロボット三原則について知りたかった。
それはいいけど、翻訳が非常に読みづらい。この本の日本語訳自体をそろそろAIにやらせてみては。
訳が原因でストーリーが頭に入って来ない。
アシモフは名の知れた素晴らしい作家だし、いい加減に新訳出したらどうですかね。
読みたいけど、とにかく言葉がいちいちおかしくて時間の無駄になってしまい疲れます。半分くらいで積読行き。
※星の数は、訳に対するもの。 -
初めてのアシモフ。アシモフといえば漫画「バーナード嬢曰く。」で、「トリビアの泉で『アシモフによると人間は無用な知識が増えることで快感を感じることができる唯一の動物である』って言ってるけどアシモフそんなこと言ってない!」って町田さわ子に言われてたな、という印象。あと正確にはアシモフではなくアジモフと発音するらしい。つい最近もジャンプ+の読切で見かけた“ロボット三原則”で有名になった一作。
一人のロボット心理学者がインタビュー形式で過去を振り返る構造になっていて、短編集のように“ロボットと人間”というテーマをもとに各々独立した話をしている...かと思いきや、先に出ていたキャラクターが違う話で再登場することもある。最近読んだ本の中ではめちゃめちゃおもしろかった。書かれたのが70年前ということもあって、ロボット三原則に対して「それあり得るかねえ???」と突っ込みたくなる部分もありつつも、ロボットを中心に巻き起こる事件を三原則から推理していく謎解き要素があるので、読んでいて先が気になる。テクノロジーの発想に多少の古さは感じつつもそこまで色あせて見えない。
もしロボットが酔っぱらったら...もしロボットが人の心を読むことが出来たら...もしロボットが市長に出馬したら...と藤子F不二雄の某ドラえもんを思わせるIfストーリーとそれに巻き込まれ右往左往する人間たちがおもしろおかしい。「完全にロボットの方が一枚上手やんけ」って話が多くて、自分で頑張って作ったはずのものが自分の手を出て行ってしまう、みたいな感覚がジョジョ6部の『引力と運命』の話みたいで痛快。
個人的には一番最初の話の、少女と言葉を話さない子守ロボット(まさに喋らないドラえもん)の話がかわいらしくて好きだったのと、人の心を読むことが出来るロボット、ハーヴィーに翻弄される博士たちの話が切ないし笑えるし残酷で、短いながらもとても濃厚で面白かった。 -
アイザック・アシモフ「われはロボット」読了。生成AIが発展してドラえもんのようなロボットができるといいなと思う。そんな事を思いながらロボット工学の三原則で知られる本短編集を読んだ。キャルヴィン博士の回顧録として展開されロボットの進歩に応じ人間との関わりが深まっていく流れからこれからの未来に想像が膨らんだ。特に最後の“災厄のとき”が強く印象に残った。
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言わずと知れたSFの古典作品。短編連作形式。
かろうじて文字が読めるようになった幼少期に、祖父母の家の書斎で読んで以来の再読。よくわからないが面白かった、ロボットが好きだという記憶だけあり、このたび実際に再読したところ一作目の「ロビィ」以外全くなにも覚えていなかったため、改めてこんな作品だったかと新鮮な気持ちになった。
簡素で装飾が少ない骨のような文体だが、その骨組みがこの上なく面白い傑作である。
本書は1950年に刊行された作品であり、解説(瀬名秀明)によると既に発表済みの短編いくつかを単行本化にあたって編纂した経緯があるとのことで、執筆年はさらに古い。よって作中に見られる技術内容にはさすがに時代を感じる。同SFジャンルの名作であるジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」などは半世紀近く経った今でも陳腐化しない学問の描写が見事な作品であり、そういったものと比べるとフワフワ感は否めない(星を継ぐものは本書の30年後に刊行されているため執筆当時の科学技術を取り巻く環境がそもそも異なるが)。
しかし本書の主題は科学技術ではなく人間そのものである。そこが不朽の名作たる所以だろうなと思う。ロボットと人間はどう違うのか、ロボットは「人間」といえるのか等、思考実験をペロ舐めするのが好きなタイプなので登場キャラクターの見解を追うのは本当に楽しかった。
わくわくする読み物でありロボットに好意を抱くようになったきっかけである「ロビィ」は自分にとって今でも特別な作品だが、「迷子のロボット」や「証拠」は大人になった今だからこそ面白さがわかる気がする。本書におけるロボットはピュアで真面目で傲慢でユーモラスでよく気が狂う。この描き方も幼少期の自分にはよくわからなかっただろうなと思うと、再読して本当によかった。解説にある「(読み手と)共に育ってゆく小説」とは言い得て妙である。