利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-18 競馬シリーズ)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150707187

感想・レビュー・書評

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  • 競馬シリーズ18作目。

    「利腕」というタイトルで気が付くべきだった。
    ミステリーファンとしては。
    障害競馬の元チャンピオンにして、
    左腕が義手の探偵ハレーが戻ってきた!

    言い訳をさせてもらえば、
    この競馬シリーズで今まで主人公が同じ作品は皆無だったので、
    全く予想していなかった。

    前作「大穴」の最後では、
    探偵社を買い取る話になっていたはずだったが、
    社長が急死、甥がしゃしゃり出てきて一探偵に戻っていた。

    元妻に知らない間に詐欺の片棒を担がせた男を探し、
    本命馬が大きなレースで惨敗し、しかも調子を悪くする原因を調査し、
    ジョッキィ・クラブの保安部次長を調べ、
    と大忙し。

    元妻の言動に傷つけられたり、
    利腕を奪われる恐怖に打ちのめされるハレーは
    かなり痛ましい。

    馬を調子を悪くする原因が、
    豚の病気のワクチンを作るのに馬を利用していた際に
    突然変異で発生した菌で、
    不活性化したものが研究所だけに存在したという設定は面白かった。

    それと、
    手掛かりを求めて気球の船長に会いに行ったはずが、
    追われて気球に乗り込みレースに参加してしまうところも面白かった。

  • かつて花形騎手だったシッド。だがレースで事故にあい左手が義手になった。今は相棒のチコと競馬界まわりの探偵稼業をしている。レースに勝つこと、それが第一の目標だったシッド、家庭はその次、それがもとで妻とも離婚してしまった。冷静さと頑強さ、ちょっとフィリップ・マーロウの雰囲気がする。

    今回は、競走馬4頭の体調と成績がどうもおかしいと、かつて自分を育ててくれた調教師の妻、競馬シンジケートを持つ人物、当の競馬界の調査委員長から、調査を依頼され、おまけにかつての妻が詐欺に手を貸す羽目になってしまった、とそちらの調査も依頼される。馬の方は驚くべき事実が・・  妻の方は、だまされた男の正体を突き止める。その間、熱気球に乗るはめになったり、ドラマにしたらさぞおもしろいのでは?という場面が盛りだくさん。

    ディック・フランシス、漢字二文字の題名は前から知っていたが、「海外ミステリ・ハンドブック」で”かっこいいヒーロー”の部門であがっていたので初めて読んでみた。これは1979年発表で今から40年前の時間感覚で粛々と物語は進む。訳文がいい。競馬シリーズでは第4作目。「大穴」の続編とも言える作とあり、そちらも読んでみたい。

    ☆早川海外ミステリハンドブック2015:かっこいいヒーロー&アンチ・ヒーロー

    1979発表
    1981.1.31初版(単行本) 図書館

  • 40年くらい前の作品ですよ
    すごっ

    ぜんぜん今読んでも面白いんだけど
    やっぱりノスタルジックな想いが少し乗っかっている気もします
    冷静に考えるとやっぱり今の時代には合ってないのかなと思ったりもして

    というのは、かっこいい男の基準がやっぱりちょっと違うような気がします
    石のような精神力で何ものにも屈しないヒーロー
    本編の主人公シッド・ハレーも一度は敵の脅しに屈しそうになりますが、自分の心と会話を交わすうちに精神的な復活を遂げます

    今ならきっと自分の弱さを認めつつ、ときには仲間を頼ったりもしながら強さを身に着けていくみたいなヒーロー像のほうが受け入れやすいのかなって思います

    それにしても我が本棚ながら、凄いバラエティにとんだ本棚になってきたなー

  • サスペンスあり冒険ありのエンタメ性十分な作品だが、翻訳に難あり。残念。楽しめなかった。

  • まさかのシイド・ハレー続編!「大穴」から読まないとダメ!

  • この、ディック・フランシスさんの小説のすごいところは、
    中盤とかで、主人公が死ぬ訳ないのに
    本当にハラハラしてしまうところ。

    今回も、「こんな真ん中辺りで、シッドが死ぬ訳ないじゃない!」と
    自分に言い聞かせるほど、
    もう、緊張したり心配したりしてしまった。

    「利腕」はディック・フランシスさんの作品中、
    同じ主人公が登場する珍しいもの。

    それだけ、ディックさんも
    シッド・ハレーに思い入れがあったのかな。

    シッド・ハレーは競馬の騎手であったが、
    レース中の事故で片腕を失う大けがをし引退、

    今は探偵(!)として働いている。

    相棒のチコが良い味だしているね!

    今まで読んだ、どの作品もそうだけど、
    主人公が決してスーパーマンじゃない、
    弱音もはいたり、怖気づいたり、
    でも乗り越えて活躍するってところが、
    とてもかっこいい!

    シリーズ中の最高傑作と言われるだけあって
    読んでいる間中、「良い小説!」と
    にんまり嬉しくなってくる、楽しい作品。

    読み終わってしまって、なんだか寂しくなるほどだ。

    まだまだ読んでいない二文字の題名の作品がたくさんあるから
    探して読んでみよう。

  • 「大穴」に続けて15年ぶりに再読。フランシスはこれが最高到達点だと思う。

  • 時間があれば。

  • シッドハレーは 武器や武術を使うわけでもないが、悪人を追い詰めていく。ヒーローではないし、口には出さないだけで 結構 ビビリ なところも共感できる

    「大穴」「敵手」も読んでみたい

  • 大穴に続きシッドハレーもの2作目。今回は失った左手に義手をつけ、探偵業も板につき順調な出だしだ。だが元妻の詐欺事件や昔の知り合いからの依頼等、複数の事件を追っているうちに、自負心を粉々にされる場面になってしまう。その時の葛藤がとてもリアルで読んでいて苦しい。結局は立ち直るわけだが、その過程に特別なきっかけがあるのでなく、苦しみもがいた末に絞り出した勇気であることに感動する。格好いいだけの主人公は嘘臭いが、作者は格好良く生きるために努力する主人公の姿をきちんと描いていて、好感が持てる。面白かった。

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