ビター・メモリー 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 2-16)

  • 早川書房
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本棚登録 : 89
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150753665

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  • 探偵ウォーショースキーの11作目。

    ロティの過去のお話。

    はじまりは、死亡保険金が払われず葬式が差し止められたこと。
    その欧米をまたにかける保険会社には、
    昔、痛い目に遭わせてしまったラルフがいるので、
    助けてもらうことにするヴィク。
    (正直、ラルフの名前だけでは思い出せなかったが、
    肩を撃たれたという話で思い出した。
    「サマータイム・ブルース」だった)

    一方、催眠で記憶を取り戻したと主張するユダヤ人の男性が、
    ロティたちの周囲をうろつきはじめ、
    振り回されるが、ロティはその訳を語ろうとしない。

    (下巻へ)

  • シカゴの女私立探偵V.I.ウォーショースキーのシリーズ、第十弾。
    2001年の発表。
    2002年にCWAのダイヤモンド・ダガー(巨匠賞)、2011年には、MWAのグランドマスター賞を受賞しています。

    ヴィクの恋人モレルはジャーナリスト。
    アフガン行きが決まり、危険な取材になることを心配しつつ、別れを惜しむ日々。
    黒人労働者サマーズの家庭で、保険請求が断られた不審な事情の調査を依頼される。
    ところが代理店の男性が殺されてしまう。

    折しも保険会社や銀行に対して、ユダヤ人や黒人の損害賠償の抗議行動が起きていた。
    ホロコーストについて話し合う会議で、テレビに出ていた男性ポール・ラドブーカが、催眠療法で記憶を取り戻したと、幼い頃の悲劇を語っていた。
    それを見たロティの恋人マックスと、友人のカールは顔色を変える。
    二人ともかってヨーロッパから逃れてきたのだ。
    その男性ポールが突然マックスの家に押しかけてきて、いつも冷静なロティが失神してしまう。

    見るからに情緒不安定なポールを、我が物のように誇らしげにしているセラピストのリーアに不審を抱くヴィク。
    ポールはマックスを身内と思いこんでしまった様子。

    ロティは、高名な外科の女医。ヴィクの親友で、母親代わりのような存在でもある。
    ロティの独白から始まり、これが数回入って、次第に過去が明らかになっていく。
    もとはオーストリアの名家の出だったが、ナチスの手で幼い頃にすべてを奪われたのだ。
    少女時代に特異な境遇にあった痛み。医師として人生を築き上げていった気丈なロティの核の部分が、丁寧に描かれています。

    忙しい最中にもモレルとの別れを惜しみつつ…
    多難な事件の渦中で、胸の痛む思いをするヴィクだったが…
    苦しみのあまり何も語ろうとしないロティは、ついに行方をくらましてしまう。
    事件との関連を解きほぐしながら、ロティを助けるために、少しずつ事情を探っていく。
    ロティのほうも、ヴィクの苦しみに気づく。
    大事な人に寄り添う気持ちが感動的。
    2012年1月6日初登録。

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