- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150753665
感想・レビュー・書評
-
探偵ウォーショースキーの11作目。
ロティの過去のお話。
はじまりは、死亡保険金が払われず葬式が差し止められたこと。
その欧米をまたにかける保険会社には、
昔、痛い目に遭わせてしまったラルフがいるので、
助けてもらうことにするヴィク。
(正直、ラルフの名前だけでは思い出せなかったが、
肩を撃たれたという話で思い出した。
「サマータイム・ブルース」だった)
一方、催眠で記憶を取り戻したと主張するユダヤ人の男性が、
ロティたちの周囲をうろつきはじめ、
振り回されるが、ロティはその訳を語ろうとしない。
(下巻へ)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シカゴの女私立探偵V.I.ウォーショースキーのシリーズ、第十弾。
2001年の発表。
2002年にCWAのダイヤモンド・ダガー(巨匠賞)、2011年には、MWAのグランドマスター賞を受賞しています。
ヴィクの恋人モレルはジャーナリスト。
アフガン行きが決まり、危険な取材になることを心配しつつ、別れを惜しむ日々。
黒人労働者サマーズの家庭で、保険請求が断られた不審な事情の調査を依頼される。
ところが代理店の男性が殺されてしまう。
折しも保険会社や銀行に対して、ユダヤ人や黒人の損害賠償の抗議行動が起きていた。
ホロコーストについて話し合う会議で、テレビに出ていた男性ポール・ラドブーカが、催眠療法で記憶を取り戻したと、幼い頃の悲劇を語っていた。
それを見たロティの恋人マックスと、友人のカールは顔色を変える。
二人ともかってヨーロッパから逃れてきたのだ。
その男性ポールが突然マックスの家に押しかけてきて、いつも冷静なロティが失神してしまう。
見るからに情緒不安定なポールを、我が物のように誇らしげにしているセラピストのリーアに不審を抱くヴィク。
ポールはマックスを身内と思いこんでしまった様子。
ロティは、高名な外科の女医。ヴィクの親友で、母親代わりのような存在でもある。
ロティの独白から始まり、これが数回入って、次第に過去が明らかになっていく。
もとはオーストリアの名家の出だったが、ナチスの手で幼い頃にすべてを奪われたのだ。
少女時代に特異な境遇にあった痛み。医師として人生を築き上げていった気丈なロティの核の部分が、丁寧に描かれています。
忙しい最中にもモレルとの別れを惜しみつつ…
多難な事件の渦中で、胸の痛む思いをするヴィクだったが…
苦しみのあまり何も語ろうとしないロティは、ついに行方をくらましてしまう。
事件との関連を解きほぐしながら、ロティを助けるために、少しずつ事情を探っていく。
ロティのほうも、ヴィクの苦しみに気づく。
大事な人に寄り添う気持ちが感動的。
2012年1月6日初登録。