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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784151200700
作品紹介・あらすじ
アメリカ北東部にある小さな港町クロズビー。一見何も起こらない町の暮らしだが、人々の心にはまれに嵐も吹き荒れて、いつまでも癒えない傷痕を残していく――。住人のひとりオリーヴ・キタリッジは、繊細で、気分屋で、傍若無人。その言動が生む波紋は、ときに激しく、ときにひそやかに周囲に広がっていく。
人生の苦しみや喜び、後悔や希望を静かな筆致で描き上げ、ピュリッツァー賞に輝いた連作短篇集。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
人生の苦しみや喜びを静かに描く連作短篇集で、主人公オリーヴ・キタリッジを中心に、アメリカの小さな港町の人々の生活が織りなされます。オリーヴは気分屋で傍若無人な中年女性ですが、彼女の存在が他の登場人物に...
感想・レビュー・書評
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アメリカの小さな港町に住むオリーブ・キタリッジという“つよつよ”の中年女性と他の町人たちの暮らしと人生を描いた連作短編集。オリーブでない人が主人公の場合も、通りすがりだったり、主人公の回想など色々な形でオリーブが絡んできて、そこは(出た!)(ここにいたんだ!)などと思ってちょっと面白かったです。
全体を通じて感じたのは、どんなに上手くいかなくても、悲しくても、苦しくても、人生は続いていくし生きて暮らしていかなくちゃならないってこと。
この作品はピュリッツァー賞を受賞したそうです。この賞を受賞する文学がどんなものか良く知りませんが、リアリティっていうことであれば納得できるかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「オリーヴ・キタリッジの生活」(エリザベス・ストラウト:小川高義 訳)を読んだ。
約13年ぶりの再読。 続編があることに気がついて改めて読み直す。
やっぱり好きだな、これ。
とにかくじんわりと沁みてきてしみじみと噛みしめる傑作。
まったく作者のくせに主人公のオリーヴ・キタリッジに対して容赦なく手厳しいのである。(笑)
でもやっぱり眼差しは優しいかな。 -
なんだかしみじみとすごくよかった。
最初、ふんふん、小さな町の普通の人々の暮らしを描いた静かで淡々としたお話なんだ、海外小説の短編によくある感じだな、描写が淡々としていてすてき、いいね、という感じで読んでいたらば、真ん中あたりでいきなり大きな事件が起きて、そこからはもう、わーっと一気に加速して夢中で読んだ感じ。
どの話もせつなさにあふれていて、せつないばっかりかもっていうくらいでかなり身につまされて、途中すごく暗い気分にもなって、しかも主人公のオリーブはかなり変な中年(最後は老年)女性で、こんなふうになったら嫌かも、とか思っていたのに、読み終わったらば、オリーブのたくましさを尊敬するような気持ちになっていて、この小説大好きだ!と思っていて、なんだか、小説の魔法、とでもいうものににかけられたような、不思議とさえ思えるような気分になった。
解説で井上荒野さんが「おためごかしがない」と書いているけれども、そのとおり。いかにも小説らしい?奇跡とかハッピーなこととかは起きなくて、だれもかれもにせつないことばかりあって、だれもかれもものすごく孤独。時間はどこにいったのかっていうくらい速くすぎさって。希望があるんだかないんだかって感じで。
でも、人生ってそういうものだとかしみじみ思ったり。これも井上さんの言葉を借りれば、人生にはそういうことがただ「起きる」ものだから。 -
最近、いろんなおばあちゃん小説が日本でも多く出版され、評価もされている。それらの小説が評される時、必ず「原型」として出現し比較される「オリーヴ・キタリッジの生活」。きっと読んだら大好きになる、と確信を持って満を持して読む。
期待を裏切らなかった!
オリーヴがどんどん母と重なってくる、と同時に自分とも重なってくる。
「セキュリティ」が一番好き。
つかみかける幸せの気分はすぐにどこかに飛び立ってしまう。息子とその妻への遠慮と本音が同時にオリーヴの心にあらわれる。
軽くあしらわれ傷ついて怒り、でも同時に自分が求められる母親ではもはやないことに諦念しているダブルバインドの鬱屈。
「振り返った息子がすっきりした顔をしているので、オリーヴも頑張って歩いた。実は疲れている。年を取れば、朝昼晩と、ほっつき歩いているわけにはいかなかなる。そういう時期が来るのだということが、若い人にはわからない。」p372
いつぞやの、母と私たち家族の散歩を思い出して胸が苦しくなる。
「あるとき虫歯の穴を詰めてもらって、医者のやわらかい手の先でそっと顎の位置を変えられたら、こんなにやさしいことがあったのかと切なくなり、うぐっと呑み込んだような声が出て、目に涙が、あふれてきた。」
こんな孤独!いつか私にもやってくるのだろうか。
なんと言ってもこのシーン。
自分の胸にアイスクリームのシミを見た時のオリーヴ。そのシミを指摘しなかった息子たちへの怒りと自分の老いの自覚。
それを物分かり良く自戒したりしないのが、オリーヴの魅力だ。いつもぷりぷり怒っている(笑)そして、怒って帰ってしまう!予定調和を裏切るのがオリーヴ。
「川」では二代目ボンクラ共和党大統領を「知能に欠ける」と言い切って腐すオリーヴ。ステキ!
続編もすぐに読もっと。
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オリーヴという女性が40代から70代になるまでの、田舎町の物語である。
最初、オリーヴの夫が密かに恋したアルバイト、デニーズの不幸……夫が死に、慰めに飼った猫をひき殺してしまう展開が驚いた。
そんな度重なる不幸。それも時間と人との出会いがやがて解決していく。
オリーヴの人を傷つける発言は、強盗に遭遇する場面や長男との別れにも書かれていて、また、いろんな人が実は心の中で別の恋をしていたり、人は最後までわからない、でもちょっとだけわかる、そして分かる頃にはもう時間はだいぶ過ぎてしまって、いつだって分かるときにはタイムオーバーしてるものなのだというのが、ゆっくりと描かれている。
静かで重厚で、強盗場面はやや唐突だが、オリーヴという、よくたまにいるむかつくおばさんの三十年を書いた、良い作品だと思う。オリーヴみたいなおばさんはたいてい主役扱いでなく、困ったさん扱いされるのであるが、この本では、一番真ん中に座っている。
たぶん、著者のお母さんか、散々迷惑被った近所のおばさんとかをモデルにしてるんじゃないかなぁとか思った。そしてオリーヴタイプの人が、どんな風にものごとを考えているのか、どんな風に過ごしているのかとか克明によくわかる。しまいには、「絶対に近所に引っ越してきて欲しくないけれど、でも愛すべきおばはん」と思えるようになってるから、この本はほんと見事なもんだと思う。 -
2009年度ピュリッツァー賞・小説部門受賞作。
タイトルに名前のある女性
オリーヴ・キタリッジは元数学教師。
気難しい性格で、
歯に衣着せぬその物言いはいたって辛辣です。
でも、この連作短編小説は
必ずしも彼女を中心に据えた物語ではありませんし、
常に彼女の目線で語られているわけでもありません。
主役であることもあれば、
ときに脇に回ったり、
お話によっては
ちょこっと名前だけ出てくることもあります。
舞台はアメリカのメイン州クロスビーという港町。
おそらく住人のだれもが顔見知りという、
小さな町であることが想像できます。
この静かな田舎町で暮らす人々の
ささやかな人生模様が描かれているのですが、
登場するのはごく普通の人たち。
とくべつな人生を歩んでいる人などではありません。
人は生まれ、
出逢いと別れを繰り返しながら、
小さな喜びや大きな悲しみ、
どうにもならない寂しさなんかを
ひとり抱えこみ、
やがて老いて、死んでいく。
そんな普通の人々の
普通の日々の物語が胸に沁みます。
まるで人間のいとなみの縮図をみるようでした。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2 -
オリーブが自分の母親とそっくりで読んでいて苦々しかった。
悪気は無いだろうが人を傷つける、それなのに愛情深い面がある。
唐突な場面転換や誰が誰だか途中でわからなくなって、読むのがイヤになった。
しかし、結局読了。
それは心にジワリと響く作品だったから。
読後、今後出会うであろう中高年の迷いや心の揺れなどをおおらかに肯定できるような気がした。 -
単行本が出た時に1読しているのだけれど、いくら探してもない。どこにもない。近々の読書会のために、文庫で買い直して2読め。
オリーヴの怒りっぷりや毒舌が堂に入っていて、時々吹いてしまう。70年生きていれば、そりゃいろいろあるよね。いいことやいい人ばかり、いい読後感の話ばかりじゃない。ヘンリーが倒れた後も、悲嘆に暮れて泣くというより、こういうことは起こること、と淡々とやるべきことをやるのがよい。
『チューリップ』『旅のバスケット』など結構重いが、オリーヴのキャラが、重さだけに注視させない。 -
暮らしの中でオリーブのことがふと頭によぎる。オリーブみたいに、ここは傍若無人でも構わないんちゃうか。オリーブみたいに、ここは気配りしてもええんちゃうか。じわじわと影響力のあるオリーブ。連作短編の中で描かれている、人生でオリーブと一瞬でも交錯する登場人物のひとりになったかのよう。続編俄然楽しみ。
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この間、丸善OAZOで、なんとなく購入した。
この本、買って良かったなあ~。
日常って概ね淡々としているけれど、
心がかき乱されることが起こる、
ひっくり返るようなことがある、
それらはすべて「他者とのつながり」の中で起きる、
と言うのが、今一度、よくよくわかった。
つまり、誰かに起きたことの影響を受けている、とか
自分に起きたことの誰かの反応にまた影響を受けるとか、
そう言う感じ。
オリーヴ・キタリッジと言う女性の
40代から70代になるまでの、色々。
お話によって主人公になったり、脇役で出てきたり。
気が強い人がよくやる手口、
「機嫌の悪さで他人を動かそうとする」やり方、
私も気を付けてはいるけど、まだまだよくやってるな。
何かがあってある人に関わろうとする、
それがその人を思っての場合、
ただの好奇心、お説教をしたいだけ、
自分の話を聞いてもらいたいから、
自分の幸せを確認したい、
などなど、
人それぞれ、でも世界ってこんな感じで
誰が偉くて良い人で、誰が悪い人、
と言うのでは無く、
自分がどう思ってどうしてるかだけなんだ、と思う。
この連作短篇集の中では、
「薬局」と「チューリップ」が特に良かった。 -
面白かったです。不思議なさびしさとおかしみがありました。オリーヴのことをはじめはあまり好きではありませんでしたが、読み進むにつれ、愛おしい人物になりました。オリーヴの夫のヘンリーが辛い。。人生について考えさせられました。何があっても、日々は続いていくものですね。
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読みにくかった。似たような名前の(ときには同じ苗字の)色んな人がどんどん出てきて、代わる代わる去って行くので視点が定まらず集中できないまま終わる。そして色んな出来事が語られないまま起きたことになっているので掴み辛い。最後に、主役とされるオリーヴ・キタリッジよりも夫のヘンリー・キタリッジの方が印象が強い。
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小さな港町の穏やかで幸福な日常。
その慎ましやかな生活が、少しずつずれ始め、不安が広がっていく。
その中心にいつもいる女、オリーヴ・キタリッジをめぐる長い物語。
短編が心地良く重なり積み上げる物語性は圧巻。 -
アメリカ北東部にある小さな港町
クロズビー。一見何も起こらなそうな町。
この町にすむ住人のひとりオリーヴ・キタリッジを中心に町の住人の悲喜こもごもを描く連作短編集。オリーヴはそれぞれのお話のメインキャラだったり、サブキャラだったり、通りの向こうで佇むモブだったりする。しかしどの物語にも登場する。
「チューリップ」って話が特にお気に入り。年を取ること、一人になること、パートナーの病気、親の子離れ、子育ての結果、境遇が似ている人との同じ傷の弄くりあい、どうしようもないことへのどうしようもない怒り・失望・諦め……等々……この小説の要素が全て詰まってる話やと思う。「チューリップ」、「薬局」、「上げ潮」、「小さな破裂」、「飢える」「川」辺りを読むとこの本がどういうものか大体は分かると思う。思わず、もー素直じゃないんだから~って言いたくなる。ラストの「川」に関してはこういう話で全体を〆られるというところに作者の筆の素晴らしさがあると思う。(どういうお話かは読んでいただければと思う。)とはいえ沁みるお話ばかりなので是非是非。 -
最初は少しとっつきにくいというかオリーヴに対してあんまり良い印象を持てなかったんだけど読み進めていくうちにオリーヴの人となりが分かっていって、気難しいというか扱いにくい性格なのは変わりないけどなんだか愛おしく感じるようになった。
歳を取ることを過剰に美化するでも逆に悲観するでもなく、歳を取るってこんなもんなんだろうなっていうリアルな描写が印象に残った。
老いていくうちに悲しいことも嫌なことも沢山あるけど希望があればなんとなく生きていける。
息子との関係に関してはオリーヴが少し可哀想になってしまったけど、息子視点の話はなかったからもし息子視点で色々見たら息子の側に付きたくなるのかもしれない。 -
邦題と表紙絵から想像していた爽やかさは薄く、代わりに毒気がそこそこ。でも市井の人々への愛おしさを感じさせる描きぶりで、追うのが嫌にならなかった。
閉じてから冒頭「薬局」に戻ると泣けてくる。
またクロズビーの人たちに会いに来る、と思う。 -
あれ? 続編はつけてるのに、なんでこっちは登録してなかったんだ?
とにかく続編の前日譚でwピュリッツァー賞に輝く傑作。
小さな町で、頑固な変わり者のオリーヴと、周りのいろんな人たちが日常生活を送りながら出会う出来事や心の変化が淡々と描かれる短編集。何度でも読み返したい。 -
ストーリーがないような短編の羅列。なのに、すごく面白かった。素晴らしい作品だった。
特に未亡人になっていく過程とかグッとくる。
蓮っぱな言葉遣いがすごく好き。
しかし、これ読むと、結婚しなくていいや、って気になるな。 -
明確な問いや、明確な答えが与えられるわけではない。不安にもなるし希望も抱ける。最高だった。
80
わけのわからない、めちゃくちゃな世の中だ。こんなに彼女は生きようとする。夢中でしがみつくではないか。
101
まあ、人生、こんなものだろう。わかることがあるとしたら、とうに手遅れになってからわかる。
231
そう言う混乱状態が、また(さらに疲れてしまうのだが)かっかと怒りたくなるようなことも、若い人を待ち構えている。それを通り過ぎるまでには、さんざん人を責めて、責めて、責めまくり、それで疲れたりもする。
269
そう言えば、と思い出す日々がある。まだ人生の盛りだった中年の夫婦として、ヘンリーと手を繋いで帰っていった。ああいう瞬間には、静かな幸福を味わうという知恵が働いただろうか。おそらく、わかっていなかった。たいていの人間は、人生の途中では、いま生きているということがわからない。
322
「あの日に言われたこと忘れないわ。自分が飢えてるのをこわがってはいけない。飢えをこわがったら、そのへんのおバカさんと同じになる、って」
447
よくわからない。この世界は何なのだ。まだオリーブは世を去ろうとは思わない。
エリザベス・ストラウトの作品
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