シタフォードの秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300769

作品紹介・あらすじ

雪に覆われ、下界と遮断されたシタフォード村の山荘。そこに集まった隣人たちが退屈しのぎに降霊会を試みる。そこへ現われた霊魂は、はるかふもとの村に住む老大佐の殺害を予言した!駆けつけると、大佐は撲殺されており、しかも殺害時刻はまさにあの降霊会の最中だったのだ…絶妙のトリックが冴える会心作。

感想・レビュー・書評

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  • 雪の山荘での降霊会で死を予言された大佐が同時刻にふもとの村で殺害されていた。逮捕された甥の婚約者エミリーと新聞記者チャールズが体当たり的な真犯人探しをする。結末はあっけない感じだったが、エミリーの奮闘ぶりが楽しかった。

  • ノン・シリーズ。

    雪深いシタフォード村の山荘で行われた降霊会。そこで“降りてきた霊魂”が、山荘の持ち主ではるかふもとの村に住んでいるトリヴェリアン大佐の死を告げます。
    そして、その同時刻に予言されたとおり、大佐が本当に殺害されていて・・。
    ナラコット警部が捜査にあたり、殺された日に大佐の家を訪問していた大佐の甥・ジェイムズ(ジム)が容疑者として逮捕されてしまいます。
    そこで立ち上がったのが、ジムの婚約者・エミリー。
    クリスティーのノンシリーズによく登場する、魅力にあふれたアクティブ女子で、新聞記者のチャールズと共に(というか彼を丸め込んで)、真相解明に乗り出します。
    シタフォードの村人達から情報を引き出す為、愛想を振りまくエミリーですが、利用価値がないワイアット大尉に対しては塩対応なのが笑えます。
    山荘の借主のウィリット母娘も明らかに訳アリですし、他にも色々怪しい人達の人間模様も、謎解きと併せて楽しめます。
    で、真相ですが、ラストで一気にというか、あっけなく明かされる感じです。ちょっと殺人の動機が弱いかな、とも思いましたが、積もり積もったものがあったのかもしれないですね。
    そして、本書の最大の謎(?)が、美人で頭が良くて魅力的なエミリーが何で、だめんずのジムを選んだのか?だと思いますが、エミリー曰く“あたしが世話を焼かなければ・・”との事でして、まぁそんなものなのですかねー。

  • クリスティーの作品、やっぱり好きだなぁ。

    実に好ましいミステリだと思いました。

    クリスティーの「らしさ」が多く出ている作品だとも思いますし。

    良かったです。

  • ダートムアを舞台に、登場人物がアーサー・コナン・ドイルに言及するなど、バスカヴィル家の犬を始めとするシャーロック・ホームズ作品へのオマージュ(脱獄騒動、赤の他人の男女が血縁のふりをする、消えたブーツ、ヴァイオレットという名の女性他)が散りばめられた楽しさのある作品。クリスティ作品の中でも特に登場人物が多いほうと思われる。重婚問題などは無理に入れたかったのか回収しきれていない印象で若干散らかっているがトリックはシンプルでストンと落ちた感じ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    雪に覆われ、下界と遮断されたシタフォード村の山荘。そこに集まった隣人たちが退屈しのぎに降霊会を試みる。そこへ現われた霊魂は、はるかふもとの村に住む老大佐の殺害を予言した!駆けつけると、大佐は撲殺されており、しかも殺害時刻はまさにあの降霊会の最中だったのだ…絶妙のトリックが冴える会心作。

    なんか似たような作品他にもあった気がする...けど、なるほど完全犯罪とはかくも忙しいものなのだな。

    降霊会の恐怖と殺人との恐怖が奇妙にリンクする、こう言うちょっとオカルトチックな作品はクリスティお得意ですね^^

    エミリーと言う若く美しい女性が大活躍する作品でもあります。

    こう言う「若く美しい活発な女性が探偵役」と言うのも、村社会の実は複雑な人間関係もクリスティお得意ですし、途中のドタバタな感じもなんだか微笑ましい作品でした。

  • 語り手が途中で交代したのが気になった…。

  •  クリスティは作中人物に息を吹き込むのがとても上手で、今作でも年寄りの元軍人は偏屈で頑固に、おしゃべりに取り憑かれた女性は騒々しく、そして若くて力に溢れたエネルギッシュな女性とまるで自分自身がその世界に居住し、彼らとコミュニケーションをとっている感覚にさせられる。
     今作では特に冒頭から登場する殺害された大佐の友人バーナビー少佐は性格などからして自分に投影できてしまう部分もあり、読み進めるのが楽しかった。
     探偵役として、逮捕されたフィアンセを救い出すために奮闘する(警察とのやりとりも古典であればこそ楽しめる設定だ)エミリーと今回の事件のスクープを狙いつつエミリーに巻き込まれる(可哀想なやつだ(笑))チャールズが選ばれているが、シタフォード村中がエミリーに惹かれて味方してしまう様子は魅力的な女探偵として楽しく没頭する事ができた。
     イギリスも雪深い地域が多く、てっきり「雪の山荘」ものかと思ったがそうではなく、しかし豪雪であるからこその作品である。更には筆者得意の「降霊術」的なゲームにより、全く別の場所にいる人物の殺人を告げるというストーリーは魅力的だ。降霊術の助言をうけは豪雪、更に吹雪の中、10キロ以上ある友人の家に安否を確認しにいくバーナビー。友人宅に到着しそかに異変を感じ、地元の警察、医師と共に友人の死体を発見する。一種のありきたりな展開だ。
     構成として幾つかの不思議な部分を散りばめており、冬の豪雪の期間にシタフォード荘を借りた母娘。殺害された大佐の妹の子供三人の所在。ロッジを借りている一人で人付き合いを避けるデューク。近くの施設から逃げだした脱獄犯。エミリーとチャールズの関係の行方。様々な要素を散りばめ、少しずつほぐされていく快感を得る事ができる。
     以下ネタバレになるが、犯人には目星はついていたが動機と機会が難しい。バーナビーが懸賞で賞金を当てている事はチャールズの会話から知る事ができ、殺害されている大佐が他人の名前で懸賞に応募している事も付人の証言から読み解ける。遺言について、犯人への特殊な贈与はなく、この時点で動機の考え方を整理出来ないと犯人に繋げられない。また、今回最大のトリックとしてスキーを使っての時間短縮は素直に面白いと認めるものだ(日本の作品でも同様のトリックを見た記憶がありそうだ)
    探偵役の二人は魅力的で特にエミリーは主人公の様に花のある人物だ。作品の設定上、彼女が探偵役とは気が付かなかったがとても精力的で読んでいて気持ちがいい人だ。最後、みんなが懸念している様に周りから見れば結ばれるべきはチャールズでありジェイムズでは無いだろうと言われているが、おそらく読者の総意だろう(笑)しかし、意外にこの様なカップルが上手くいく、そして認められていくのだろうと想像している。続編を読んでみたかった。

  • 冬のある午後、シタフォード荘で降霊会が開かれます。そこで得られたメッセージは、現在別の場所に住んでいるシタフォード荘の持ち主が殺されたというもの…。その後、本当に遺体が発見され、死亡推定時刻は降霊会があった頃、とされるのでした。

    雪に閉ざされた山荘、降霊会、なんだかおどろおどろしい感じなんですけど、そうでもなく。むしろ明るい印象の話です。

    エミリーが面白い。もう少し早くから登場してても、と思うんですけど。
    彼女を中心にしなかったせいか、面白いけどなんとなく掴みどころのないキャラのようにも思えて、でもそこも含めて面白さなのかなあ、とか。

  • 江戸川乱歩がアガサ・クリスティ作品の中から推した8作に入っていたので読んでみた。
    読んだあとになってみればそんなトリックもあるよなと思うが、物語途中では怪しい人が複数いて自分は犯人にたどり着かなかった。

  • 犯人もトリックもいつもながらのアガサ・クリスティの作品という印象。
    本作でいうと、犯人はある意味予想通り(他の作品と設定が似通っている部分があるので)だったのだが、なぜやったのか、が全然わからかった。しかし最後まで読むと、あー、なるほど、ヒントに全然気づいていなかっただけなんだな、とある意味納得。
    ミステリーとしてどうか、と考えると、誰がやったのか、となぜやったのか、がきれいな形で融合している部分が良いのだと思う。アガサ・クリスティファンなら読もう。

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