終わりなき道 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 24-8)

  • 早川書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151767081

感想・レビュー・書評

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  • ジョン・ハート『終わりなき道 下』ハヤカワ文庫。

    ハードなミステリー。途中で連続殺人鬼の正体が解ったのだが、その動機、どんな結末が待ち受けているのかが気になり、一気読みだった。

    登場人物の誰もが恐ろしい程の痛い目に会い、これだけ悲惨な仕打ちを受ける小説はかつてあったろうか。この世の中の全ての不幸を登場人物が一手に背負っているのではないかと思うほどだ。

    少女監禁犯に18発もの銃弾を浴びせ、拷問の挙げ句に殺害したとされる女性刑事のエリザベス・フランシス・ブラックの真実と悲惨な過去……エリザベスが尊敬していた元警察官のエイドリアン・ウォールの真実……明らかになる連続殺人事件……全ての真実が明らかになるが……そして、終わりなき道が始まる。

  • 連続殺人の犯人は中ほどでわかる。
    しかし最早、それだけでは入り組んでしまった事件と人間関係を解きほぐすことはできない。
    事件は加速度を増し、エリザベスが捕らわれ、エイドリアンは罠と知りながら誰にも助けを求めることができず、ひとり彼女を救出に向かう。

    うん、ストーリーとしては面白かった。
    でもその解決はどうだろう。
    エリザベスもエイドリアンも、自信の冤罪を証明することを放棄したというか、証明しようがどうしようが、一度地に落ちた名前が再び元の輝きを取り戻すことはないと見切ってしまっているところが、哀しい。
    彼らはそれでも大人だから、大人の判断としてその道を選んだことは仕方がないと思う。
    けれども、チャニングは?ギデオンは?
    そして彼らの新しい生活を支える生活基盤も、私は納得できない。

    とはいえ、単純な正義が、彼らの心についた傷を癒せるものではないことはわかる。
    正解は何なのかはわからない。
    わかるのは、一連の事件に巻き込まれることによって、彼らはそれぞれ家族を失い、神への信仰と警察への信頼を失ってしまったこと。
    これは、日本人が考えるよりもアメリカ人にとっては衝撃的なことなのかもしれないなあと思った。

  • 「わたしが望んでいるのは堕胎をしたりうそをついたりする前の娘だ。おまえは、わたしの言うことを聞き、言いつけに従いさえすればよかったのに、わたしから娘を取りあげた。そんなことさえなければ、わたしたち一家も教会も昔のままでいられたのに」彼は娘に呼吸をさせてやった。
    エリザベスは息を切らしながら、かすれた声を出した。「わたしが取りあげたんじゃない。あなたが殺したのよ」
    「そんなことはしていない」
    「したでしょうに。ここで。この祭壇で」父はぴんとこないようだった。きっと、わからないのだろう。少女だったエリザベスを葬ったのは、レイプでも堕胎でもない。目の前にいる父だった。父に裏切られたからだ。なんとも皮肉な話だ。愛する娘を殺した父が、それを取り戻すために十二人もの女性を殺したとは。

    いやでも最後キャロル(ベケットの奥さん)の存在が1番怖~てゾクッとしたな… いや本人が怖い人間とかそういうのじゃないんですけど… 彼女を庇いたいがために起こした行動が元で多くの人間の運命が狂わされたのに本人は何も知らずに(本当に何も知らないのかな…)無邪気に笑ってる感じが・・・

  • 図書館で借りた本。
    エイドリアンが出所して間もなく、再び殺人が行われた。今度もエイドリアンの仕業?エリザベスはチャニングを守るため、誰を信じていいのか分からなくなっていた。そんな時、協会の隠し部屋から9人もの女性の遺体が見つかるが、エイドリアン投獄中の遺体もあり、誤認逮捕も考えられる。誰が味方か敵か?話にどんどん引き込まれて、一気読み。

  • 繋がる事件、衝撃の結末
    家族の崩壊
    犯罪被害者の心理
    新しい家族の出発

    過去を克服しようと、未来へ新しい道を歩み始める。
    重く辛い中の一筋の光明、その先に輝く光があることを信じたい。

  • エイドリアンの出所後間もなく、女性の絞殺体が発見された。しかも、かつて彼が殺人を犯したとされる同じ教会の同じ祭壇でだ。これは連続殺人なのか?疑惑の目がエイドリアンに集まる。エリザベスは停職中ながら、彼の無実を証明すべく無謀な捜査を進めるが…。様々な秘密を抱えた女と男の道はやがてひとつに繋がり、邪悪な真実が明かされる!アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)二冠作家が放つ、渾身の傑作!

    この決着の付け方はどうなのだろう。つっこむのは野暮だとは思うが。

  • 途中までこの小説のテーマが何か今ひとつわからなかった。
    正義なのか?真実を究明することなのか?
    この筆者らしくやはりテーマは「家族」だった。

    家族の崩壊と再生。
    これを様々な対立軸と謎解きも含め、ラストに向かって見事に収斂していく。

    さすがの一言。

  • ちょっと中盤しんどかったけど、さすがの幕引き。

  • (上巻より)

    あとは、老弁護士が現役復帰して活躍し、
    主人公を助け、
    最後には思い残すことなく死ねる、と言っていたのが印象的。

    一応ハッピーエンドなのだが、
    貧富に関わらず悪い親から離れ、
    他人同士で砂漠で暮らすという、
    おとぎ話のようなラストには驚いた。

  • やっぱりジョン・ハート!!めちゃくちゃ面白かった!!

    いつも通り最後は涙が止まらず…。

    終わってしまうのが悔しくて、下巻は3回ぐらい読んでしまった。

    ひとを信じるという難しさ、大切さ、たくさんのドラマがキレイに集約されて読み応え抜群でした!!

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著者プロフィール

1965年、ノース・カロライナ州生まれ。ミステリ界の「新帝王」と呼ばれる。2006年に北米最高のミステリ賞であるアメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀新人賞候補作『キングの死』で華々しくデビュー。その後、2007年発表の第二長篇『川は静かに流れ』で、同賞の最優秀長篇賞に輝いた。2009年の第三長篇『ラスト・チャイルド』は、エドガー賞最優秀長篇賞および英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞をダブル受賞。エドガー賞最優秀長篇賞を二年連続で受賞した唯一の作家となる
『終わりなき道 下 ハヤカワ・ミステリ文庫』より

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