いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学

  • 早川書房
3.78
  • (33)
  • (45)
  • (40)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 568
感想 : 57
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095244

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 何事も常にマージン(余裕スペース)が必要

  • 経済学者と心理学者が共著した行動経済学の本。
    欠乏は心を占拠し、その対象のことをいつも頭のどこかで考えることになる。心の中の一部が占拠されることで処理能力が落ちる。処理能力が落ちるとへまをする。これは著者によるとバックグラウンドで開いているプログラムのせいで処理速度が落ちたパソコンと同じ状態らしい。
    そして欠乏は新たな欠乏を生み出し、深みにはまっていく。
    その負の連鎖を裁ち切るには「想定外」に対応する時間やお金をあらかじめ「計画内」にいれておくといいらしい。本の中ではこれはスラックという言葉で表現される。

    負の連鎖を人間の意志の力で断ち切るのは難しいので、外的な仕組みを作ることが大切なのだそうだ。

  • 2022/04/24 読了
    #読書記録
    #rv読書記録

    時間に追われる人、あるいはそれに限らずなにかに追われ苦しんでいる人には、例えば金銭や時間といった問題だけでなく、処理能力においても問題が発生しているという事実を、明確なデータとともにしめしている。

    仕事でもあったなと感じる場面も想像でき、逆に言えばあらゆる人に読んで欲しいと思える。再読価値あり…かな。

    読んでる最中、途中適当に読んで理解がかなり薄い所がある。まさに"欠乏"状態に陥っていた。理由の一つが図書館への返却期限。まさに"欠乏"による処理能力の低下が起こった一例か…

    おそらく今後も同じことに直面するんだろうなぁ。。。人間は愚かだ。

  • 欠乏マインドセットの指摘。
    期限やストレスのメリットに対して、欠乏となる不足感によるマインドワンダリング(別の集中)やマルチタスクのようなジャグリングによる欠乏を紹介。
    特に貧困は貧困ループに陥りやすいマインドセットになることがよくわかる。
    豊かさとは何か?となったときに、人間の自信過剰に気を払って
    計画やリマインダを効果的に扱い、真の豊かさを手に入れる設計が必要だ感じた。
    ループは習慣なので、今やっている習慣が悪循環になってないかは定期的に確保する客観視の時間は必要だろう。
    仕事でもプライベートでも余白となるスラックを用意しておきたい。

  • 集中とトンネリング
     時間がなくなると、会議では中間軌道修正がおこり、肝心なところに集中し、より具体的な進展がある

    残された時間がほとんどない、と感じると、彼らは毎日を最大限に活用しようとした

    欠乏がさまざまな時間尺度で人の注意を引きつける

    トンネリング
     トンネル内のものは見えるが、外のものは何も見えなくなる視野狭窄状態

    ‼️集中は有益だが、もっと重要かもしれないことがトンネルの外に押し出されてほったらかしになる

    ‼️マルチタスクは代償を伴う、運転中の電話、食事会議

    処理能力への負荷=欠乏
     線路沿いの生徒は、他と比べ、学力が落ちた
    人の気を散らすものは外から来るとは限らない、住宅ローン等

    ‼️バックグラウンドで沢山のプログラムを開いていれば、ブラウザーはもたつく

    貧困は能力を低下させる。
    彼らの持って生まれた能力が低いわけではなく、知性の一部が欠乏によって占拠される

    ダイエット中、成績悪い

    ‼️欠乏とは、重要な心配事が連続発生している状態

    人の豊かさは気にしないでいられるものの数に比例する。

    洗濯用洗剤メーカー
    小さいキャップは満杯まで注ぐので満足する。
    大きいキャップは少なく感じるので、沢山消費してしまう

    人は目先の利益を過大評価して、将来の利益をおろそかにする

    ジャグリング
     緊急の課題を曲芸のように次から次へと処理する最悪状態

    ‼️欠乏の罠から抜け出すには計画を立てる必要があるが、計画は重要だが緊急ではないのでマインドセットが難しい

    ‼️部下の火消しを手伝うことができれば、新たな処理能力を生み出すことになる

    組織における欠乏への対処
     セントジョンズ医療センター、手術室はいつもいっぱい
    解決策は、手術室を1つ使わずに開けておくこと
    計画外の手術がいつも計画を狂わせていたが、これにより対処できるようになった

    貧困層が貯金をしない理由
     貯金は重要だが、緊急ではない

    リマインダーメールを送るだけで、貯金は6%増えた

    ‼️欠乏は往々にして豊かさのもとで生まれる
    無駄に使われたたくさんの時間の元に、
    余裕があった時に下手なお金の使い方をしたせいで

  • 一般的に時間がないのは、
    ・運動不足だから
    ・テレビの見過ぎだから
    ・スマホ中毒だから
    と誰もが知る理由が挙げられてる。

    しかし本書は行動経済学の観点から〃貧乏=欠乏〃が原因だと提唱している。

    お金がないから生活が苦しく、稼ぐことに目がくらみ長時間働いて体を酷使する。

    もしくはお金のこと以外に目が向かず、借金や宝くじなどの短期的な利益に手を出す。

    もし心に余裕があれば、広い目で客観視でき、本当に必要な行動が見えてくる。

    しかし貧乏人は欠落しているものに意識が持っていかれ、冷静な判断が下さず、結果的に解決には至らない、だから貧乏から抜け出せない。

    そういう意味で成功者らは貧乏=欠乏に縛られなかったとも言える。

    自由な心でなんで挑戦できるのも、欠乏を抱えていない証拠だからだ。

    行動経済学を基にしてるので、ノウハウ本より信用できるだろう。

  • 時間・金銭の欠乏と認知能力の低下との関連を考察し,これに対する提案を試みた内容.何かを有効に活用しようと考え,行動すること自体による負担は,確かに見落とされがちであるし,回数としては少なくてもうまくいくことが望ましい.欠乏状態を脱却する鍵は,その人を取り巻くもののちょっとした組み換えや,ちょっとした積み重ねであり,それは決して負担をしいるものではないこともあるが,当人はそれに気づいていないか,気づいていても不可能と思っているために,うまくいかなくなる.そこに対して,本人の意識しない,あるいは逆に意識を強いる形で,そうした組み換えや積み重ねを行わせることで,より楽な方向へ歩むことができると説く.結語にあった豊かさの中での慢心に似た心理に対する考察も今後ぜひ刊行してほしい.

  • トンネリング、ジャグリングはとてもイメージしやすく、自分の感覚が定義された気持ちになった。スラックの重要性を再認識した。手術室の話は調整コストの大きさや負荷の偏りの無駄が認識できた。

  • lifehack

  • 『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』中島聡 著 参考文献

全57件中 11 - 20件を表示

センディル・ムッライナタンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×