- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152095244
感想・レビュー・書評
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時間の欠乏と貧困は、それを生じる環境、仕組み仕掛けに囚われているから起こる。単純にマインドセットを変えれば済むという話ではない。
これはの人は、視野狭窄であるトンネリング、次から次の問題には翻弄されるジャグリングに見舞われる。それを回避するには、スラック、つまり「余裕」を持たせることである。
その「余裕がない」が当人の言い訳であるが、トンネリングの人は置かれた状況を是としているので改善方法に気付かない。深夜までフルに使っても手術をこなせない病院での例では緊急用の手術室を一つ開けるという手法をとったが、関係者は全員反対したという。
結局のところ、本書は万能薬ではない。しかしながら問題を解くためのヒントは十分である。改善を為すには問題の本質を見極め、関係者の反対にあっても断行しなければならない。そして一番重要なのは大局的な視点である。
私も昔テンパった時に助けて貰ったのだが、細かく分類して、余っているリソースにディスパッチしていくのがやはり効率が良かった。一つの業務にはスキルレスのものや、他の人の方が圧倒的に早いという場合は多いからである。
現在仕事で絶賛ジャグリング中であるが、良いタイミングでこの本に出会えた。感謝である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2015.7.30 329 欠乏
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・欠乏が欠乏を呼ぶ
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時間的、金銭的な欠乏状態になると、トンネリング効果で色々なものが見えなくなる。それに陥らないためには、余裕が必要なんだけど、余裕があるときに対策を打っておかないとダメ、と。
また、処理能力は一日の中でも波があるので、スケジュールはそれも考慮に入れて立てていくことが重要である、と。
この本は、適当なタイミングで読み返したりしてみたい。 -
カネと違って時間は人類平等に与えられるものである。だから欠乏するという事は論理的にはありえない。そう感じるのは使い方を間違えているから。結果悪循環に陥る。問題はその修正ができるか否か。
我々は有効期限が24時間の生きる権利というクーポンを毎日与えられる。このクーポンが明日与えられる保障はどこにもない。そしていつか与えられなくなる日が必ずやってくる。この事が理解できずに無期限のクーポンが与えれていると勘違いしていると、時間の浪費をする。そして死ぬ間際に後悔する。欠乏と浪費は表裏一体である。
行動経済学で時間を語るのは無理があり、論旨にまとまりがない印象。本書ではにわとりとたまごの話が繰り返されているだけのような気もする。 -
忙しいと「思考が占拠」されるとの筆者の主張は、「忙」の文字は「心を亡くす」という意味との説明と類似しているように思えた。
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実用的な行動経済学の本。
持っているものがほしいものより少ないとき、人は不幸になる。
時間やお金など、欠乏が引き起こす諸問題と解決策を探ります。 -
時間がないことやお金がないことを欠乏状態として捉え、欠乏時の問題やその対策について考察している。自分自身、それらを同列に捉えたことなど無かったため、新たな観点を得ながら楽しく読むことができた。
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人が何故スケジュールを守れなかったり、貧困から抜け出せなかったり、そんなつもりは無かったのに他人を傷つけてしまうのか、「欠乏」という概念を用いて、豊富な実験結果と共に示されている。
「欠乏」のメカニズムや、それをどう回避できる可能性があるかまで示唆があり、大変有益な内容だった。
この本で示されていることを応用できれば、仕事や生活の成功率も改善されるのではないかと思う。自分の状態を一歩引いて観察したり、人の行動を推測してマネジメントするなど活用の幅はとても広そうだと感じた。
人間であるなら一度は読むべき本。