彼女たちの部屋

制作 : 髙崎 順子 
  • 早川書房
3.86
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本棚登録 : 688
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099389

感想・レビュー・書評

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  • 簡潔な文で映像が浮かぶ。女性を、というのがやや鼻につくけど、自己再生と周りの人を助ける、というテーマを一気に読ませるスートリー仕立てはなかなかです。

  • SL 2023.3.16-2023.3.18
    パリの女性会館はおろか、救世軍のこともほとんど知らなかった。100年前から社会から排除された女性たちに屋根を与えようとして奮闘した人たちがいた。それは現在に続く闘い。そしてこれからも終わることのない闘いだということがある意味哀しい。
    自分にできること、あるはずだけどできていないことに恥入るばかり。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50241623

  • 三つ編みより小説っぽい感じ。
    読みやすさは三つ編み、考えさせられるのはこちら。
    女性の生きにくさを考えさせられるが、この人の書くお話より事実に興味が湧いた。知らねば。と思わされる本。この本事態は星二つ。

  • 現在のパリで困難を抱える女性が身を寄せる女性会館の様子と、100年前のパリで会館設立に尽力する様子を交互に描く一作。
    抱える困難は違っても、連帯できる。時代や立場が隔たっていても手を差し伸べる勇気は、変わらない。

  • 著者デビュー作の"三つ編み"で
    インドの不可触民である女性が、自分の娘にその仕事をさせたくなくて逃げる話と、
    イタリアで家族経営の仕事(村の人々の髪をカツラにする)を継ごうとしている若い女性
    そしてカナダで乳ガンを宣告されるシングルマザー
    の三人の生き方がそれぞれ描かれながら、つながっていく話でした


    この"彼女たちの部屋"は、
    著者がたまたま通りかかって知った「女性会館」から、その施設の創設に尽力した実在の人物ブランシュ(1920年代)
    と、
    現代の女性ソレーヌ 弁護士でバリバリ仕事をしていたはずが、ある判決が終わったところでクライアントが目の前で飛び降り自殺してしまう
    それからうつ状態に...何もしない生活を続けている彼女に医師はなにかすることをすすめる。ボランティアとか。
    文章を書くことが好きだった彼女は、人の代わりに代筆する という言葉に惹かれ、ついたところは上記の「女性会館」
    生活保護を受けている人たちや、外国から逃れてきた人など生活に困窮した女性たちの生活の場。

    ここでいろいろな文を読んだり書いたりするうちに少しずつ打ち解け、そこでまた事件が起き......

    いろいろな環境の人がいます。
    路上生活を何年もしていたから部屋でゆっくり寝られない人や、
    アフリカの風習で女性に対し酷いことをすること
    (なんと、女性器切除!という慣習…)から逃れるためにフランスにやって来た人
    母親から逃れるためにパリに来て独り立ちしようとしたけどうまく行かず路上生活する若い女の子

    1920年代に、困窮した女性や子供のための大きな施設を作るために資金調達に奔走する話と、
    現在の女性の保護と独り立ちへの手助けが、交互に綴られていきます。

  • 勇気づけられました。出会えて良かったと感じる本です。

  • 『三つ編み』や『あなたの教室(仮)』が面白かったので、こちらも読んでみた。夏休みということもあり一日で読了。

    巻末の解説、今回も参考になった!解説も含めて良いと思える本は珍しいかも。コロンバニの三作もと同じ編集者さんで、編集さんの力かなと思う。

    見て見ぬふりをしたり、あるいは「私のすることはほんの些細なことで『焼石に水』にもならない」と思ってしまうが、しかし、貧困や差別に対し、私ができることがあると、思わせてくれる小説だった。

    ソレーヌは支援に対する褒め言葉やお礼も期待せず、王室からの手紙を渡した時の反応に面白さを感るようになっていく。ボランティアとは本来そういうものなんだな、と感じた。

    レオナール。コロンバニが描く男性は、今回も魅力的。離婚後血縁のない養父母は、子どもに会う権利がない、というのは初めて知った。今後解決されてほしい課題。

    ソレーヌが手紙を書くとき感じた感覚「他者の命を吹き込まれたような、何かにのりうつられたような感覚。書いているのは自分ではない。誰かに背後から文面を囁かれているかのよう。繰り出されるフレーズは曇りなく明快で、それが閃光を放って続々と連なっていく。偉大な何者か、不可視の女神に操られ、言葉がわき出てくる。」は、著者コロンバニが小説を書くときに感じる感覚なのだろうな、と思った。
    同時に、言葉が捕まえられない感覚も、彼女自身が感じるのだろう。

    「つまり実生活とはこういうものだーー小難しい恐竜の名前に詳しくなって、綴りの間違った愛情の言葉をため込むこと。」という一節が最もお気に入り。

  • クライアントの死をきっかけに、堰をきったように抑圧されてきた思いや、恋人との別れ、周囲からのプレッシャーなどに押し潰されそうになる主人公ソレーヌが、女性会館での人々との交流を通して、他人の価値観よりも自分の思いに正直になっていく様子が描かれていた。
    物語が終盤にさしかかるにつれて、パラレルに語られてきた女性会館の創設者ブランシュと重なる部分が増えていき、最後にはブランシュが女性たちに手を差し伸べたように、ソレーヌもリリーに手を差し伸べた姿に心を打たれた。

    パリという世界が憧れるような素敵な街の片隅で、世界中から集まった貧困や差別と闘いながらお互い支え合って生きていく女性たちが実際にいること、その背景に存在する人々の努力や想いに驚き、感銘を受けた。

  • 『三つ編み』が良かったので。読みやすい淡々とした文体は好みだが、『三つ編み』ほどの衝撃はなかった。

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著者プロフィール

レティシア・コロンバニ(Lætitia Colombani)
1976年、フランス・ボルドー生まれの映画監督・脚本家・作家・役者。刊行前から16言語で翻訳権が売れて話題をあつめた初の著作『三つ編み』は、2017年春に刊行されベストセラーとなり、フランスで85万部を突破、32言語で翻訳され、邦訳もされた。2019年5月15日に2作目の小説"Les Victorieuses"を刊行し、こちらも翻訳が待たれる。

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