彼女たちの部屋

制作 : 髙崎 順子 
  • 早川書房
3.86
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本棚登録 : 688
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099389

感想・レビュー・書評

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  • その時の姿形で目の前の人を判断しがちだけど、人間一人一人に目には見えない物語があることを思い出させてくれた。

    ソレーヌが立ち直ってゆく様子も良かったな。


    『傷ついた者の魅力、倒れ、再起した者が持つ魅力がある。』

    この一文が好き。

  • この本を通して、色々なことを知れた。
    女性器切除のことも名前は知っていたけれど、具体的なイメージを持てていなかった。
    言葉を失うような経験を持つ人間が、この世界にはまだまだ沢山いる。

    恵まれたことに、私はソレーヌ側の人間。
    今年からPLANに寄付をし始めたけれど、お金を差し出すだけでなく、もう少し深く関わっていきたいな、とこの本を読んで思う。
    闘いは終わっていない。

  • クライアントの自殺により心を病んでしまったエリート弁護士の主人公ソレーヌが、自身のセラピーとして「女性会館」で代筆ボランティアをしながらその女性たちと、自分と気持ちを通わせていくというストーリー。
    実在する「女性会館」に集まる女性たちは、貧困・暴力・性犯罪などに苦しみ逃げてきた、弱い立場にいる者たち。
    手紙を代筆するにあたり彼女たちの人生を知り、想像を絶せる苦難と向き合うソレーヌの気持ちの動き、"勝ち組"のソレーヌもまた彼女自身の苦しみがありそれに向き合っていく姿、女性たちとソレーヌの間にある"格差"にも気づきながら互いに心を通わせていくところに心を揺さぶられた。

  • 人は生きている限り、希望を持つ権利がある。

    ここに生まれてきたのに、
    ここに居場所がなくて一体どうするというのだろう。

    一人でも多くの人に屋根を。
    あたたかな居場所を。
    いつだって、たった一人の孤独で生命は生まれないのだから。

    愛は知られずにして、人を終わらせてしまう。
    愛の不在、それが凶器と成り変わる。
    そこに手を伸ばすのが「死」だけなんてやり切れない。

    愛を知らす。
    空気が当たり前のようにあって息ができるように、
    愛の存在を知らす。

    「生きていく」というその強さ。
    ページをめくるたびにそんな風が生み出される。

    それはこの作品とともに、多くの人と巻き起こしたい、新たな希望の風だ。

  • 2021/01/15予約

    半年待ちで楽しみに読んだ本。
    100年前のパリと現在のパリ。
    女性の立場も弱かったであろうその時代に、倒れるまで頑張り、貧困女性を救うため一生を捧げた女性がいた。

  • 映像化向きの本だなーと少し鼻白んでしまうところはあるけど,すごく良い話だった。三つ編みと同じくすごく好き。
    しかし弁護士って,こういう話の主人公にされやすい職業なのかな。

  • 鎮魂と再生。
    自助共助の心と生きる力を与えてくれる。
    よい本だった。

  • 良くも悪くもリーダブルでシンプル。フェミニズム文学的なメッセージには共感するが、「元キャリア女性が、困難な立場の女性のための施設で自分を取り戻していく」とは、「持てる者」の視線から見た話としていささか単純だ。「三つ編み」が3つの世界、こちらは2つの世界を行き来する。その関係も前作よりわかりやすい。

  • さらっとすぐ読めた。落ち込んでる時に少し元気もらえる。

  • 原題 Les vitorieuses
    by Laetitia Colombani

    ソレーヌ40歳 パリの有名法律事務所の有能な弁護士
    恋人ジェイミーとの失恋
    そしてクライアントが裁判所で自殺する現場に居合わせる
    鬱状態に陥る

    すべて完璧だった人生が崩れる、自分自身も
    リハビリの1つとして、困窮した生活保護を受ける女性たちの住む施設で代書人としてボランティアを始める

    1920年代、ブランシュ・ペイロン(1867〜1933)は周囲の反対を押し切り、救世軍の闘士となり、夫アルバンとともに資金調達に奔走する
    念願の女性会館(パリ北東11区)を建てる

    ホームレス女性
    施設と里親家庭のたらい回しで育った元麻薬依存者
    名前を変えて生きるトランスジェンダー
    母の束縛から家出した若い女性
    性器切除から逃れてきた母娘
    アフガニスタン、旧ユーゴスラヴィアから逃げてきた人

    現代の女性問題と女性会館を建てた時代の1人の女性か織り込まれた素晴らしい作品

    第12回新井賞 新井見枝香 

    https://www.hmv.co.jp/news/article/1907031036/

    エクリヴァン・ピュブリック 代書人
    公衆のため、みんなのための書き手

    人)ピエール・ラビ
    フランスの作家で、有機農業を実践する農民思想家
    ハチドリ運動創始者

    生きる者は戦う者、それは
    確たる計画に魂と頭を満たす者。
    高い企てに向かって険しい峰に登る者。
    至高の目的に心奪われ考えながら歩く者。
    懲罰詩集 第四部九無題より
    ヴィクトル・ユゴー

    あたえよ!いつか現世につきはなされる。
    施しがあの世でおまえの富となる。
    あたえよ!情けをかけてもらった!と言われるように。
    嵐に凍える貧者から、
    宴のそばで飢える貧乏人から、
    邸(パレ)の敷居で恨めしげに見られぬように
    秋の木の葉 三十二「貧者のために」ユゴー

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著者プロフィール

レティシア・コロンバニ(Lætitia Colombani)
1976年、フランス・ボルドー生まれの映画監督・脚本家・作家・役者。刊行前から16言語で翻訳権が売れて話題をあつめた初の著作『三つ編み』は、2017年春に刊行されベストセラーとなり、フランスで85万部を突破、32言語で翻訳され、邦訳もされた。2019年5月15日に2作目の小説"Les Victorieuses"を刊行し、こちらも翻訳が待たれる。

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