- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153350328
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
美味しいとかなしい
-
紙の動物園に続き、ハードSFな設定と、琴線に触れてくる情感にあふれたストーリーのバランスがとても好き
-
最新の技術・知見を目の前にして、そこからどのような人間の物語があり得るのか、という発想の翼。この飛翔能力と構成力が人並み外れており、決して新しくはないのに引き込まれる。
「重荷は常に汝とともに」と「残されし者」が著者推薦作というのは中国っぽさというかオリエンタリズムばかり評価されることに対する反発が著者の中にあるのだろうか。
「レギュラー」は、訳者あとがきでマイクル・コナリーと評されたが、自分はジェフリー・ディーヴァーのように感じた。
そして藤井太洋の解説に見られる、ワクワクするようなSF作家同士の交流とインスパイア。 -
日本オリジナル短編集第2弾。
解説の藤井さんが気になる。読む。 -
前作「紙の動物園」からなのだけど、この人は解釈というのを一つのテーマにしているように感じる。
同じ出来事でも、極端に言えば悲劇と取る人も喜劇と取る人もいる。
「紙の動物園」は移民二世のセンチメンタリズムでそこには差別もあるという感想を見かけ、確かにあの主人公は母に対して差別も絡んだ感傷を抱いていたと思うのだけど、作者はそれまで冷静に見通して、母の目から見た彼女の人生との対比を書いていたと思う。
今作で、よりそのことを感じた。
というこの私の感想も、一つの解釈なわけだけど。
一番好きなのは「状態変化」。
-
この人の描く世界で示される素直さ・正しさはときどき居心地が悪いくらいなのだけれど、それなのにそわそわしたり先が心配で一気に読みすすめられなかったり、ハッピーエンドに安心したり、はからずも童心に帰ってしまったか。SFとしてとても新しいかというと違うんだろうけれど、家族のドラマを混ぜてくるのが上手だなあと思う。
「ループの中で」「状態変化」「上級読者のための比較認知科学絵本」がとくに好きだった。 -
卓越。
どうも私は ”ガジェットと家族関係” テーマに惹かれたようで、「存在」「ループのなかで」が気に入った。
技術がどれだけ発達しても世の中や常識がどれだけ変化しても、”家族のせつなさ” のようなものは消えてなくならないような気がする。
短編にしておくのがもったいないような壮大な設定のものもあって、「草を結びて球を環をくわえん」など長編で読んでみたい。 -
おもしろかった。
ふだんあんまりSF読まないんですが、この作者の時間も、国境も大気圏もかるがると越えていく想像力が好き。
特に愉快だなぁと思って読んだのが、
「草を結びて球を銜えん」
「重荷は常に汝とともに」
「万味調和~軍神関羽のアメリカでの物語」 -
やはりケン・リュウ、いいですね。短編集ですが、どれもニヤリとさせられる作品ばかりで、違うテイストの物語をたくさん楽しめるお得な一冊です。