少年少女飛行倶楽部

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163281605

感想・レビュー・書評

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  • 新しくなさそうなのに新刊本コーナーに置いてあリ紛らわしい~佐田海月(みつき)は幼馴染みのジュジユこと大森樹絵里に誘われ飛行クラブに入部した。ジュジユがー目惚れした中村海星という野球部の2年生が怪我をして、幼馴染みの斎藤神に付き合って兼部しているからだ。でも飛ぶ予定も見込みもない。1年生に課せられた職場体験に2年の神部長が出ざるを得ず、海月と噂好きの皮肉屋イライザとー緒に小さな佐川スーパーに出た時、部はスタートラインに立った。野菜を小分けする台に使っていたのは熱気球のゴンドラで使用許可は貰えたが、球皮の修理に数万かかる。1年の女子で母が小説家である・仲居朋(るなるな)が持って来た本に付いている応募券を1年の餅田球児がネットで高く売ってくれた。足らない分は“夏休みペット預り”で稼ぎ、テニス部をしくじったイライザも加わった。部長が飛びたい理由を海月は、三才上の姉・天使(エンゼ)にあると推測している。いざ実際に飛ばそうという時、障害となったのは「危険だ」という、今まで何もしなかった顧問の立木信長だったが、今まで役に立ったことがなかった神部長が、全責任は自分が取ると言い切った。早朝の校庭で係留飛行が始まったが、現れなかった・るなるなから、両親に反対されて監禁され、マンション最上の21階から縄梯子虹使って20階へ降リて脱出しようとして宙吊リになっているとSOSが入り、係留ローブを解いて救出に向かう~胸突坂から飛ぶ夢をよく見ていたのを思い出した。何かの願望(現実逃避?)と聞いた気がする。ピーターパンも飛ぶよな。ありそうで、あり得ない、でもひょっとしたら・という明るいお話でした。最近のキラキラネームで月と書いてルナと読ませるのを見聞きしたんだろうね。じゃあ、私は「ルナルナ」子だよ・ガハハって感じかと想像した

  • 2016.6.20

  • 飛行俱楽部の活動内容
     空を飛ぶことを目的とする。

    クラブ活動が必修の中学校に進学した『海月』は、幼馴染に誘われて、人数不足で目下申請中の『飛行俱楽部』に話を聞きにいくことになった。
    そこで待っていたのは、ものすごく偉そうで変人の二年生で部長で・・・。


    明るく爽やかでハラハラドキドキ、さらにはほろ苦さも併せ持つ、青春小説の王道。
    自力で飛ぶこと目指す(ピーターパンがベスト)へんてこな飛行俱楽部。こんな部を一人で立ち上げるくらいの変人である部長に、集まってくるのも癖のある人物ばかり。しかも名前が珍名。主人公の『海月(くらげと書いてみづき)』と彼女に甘えっぱなしで手のかかる『樹絵理(ジュエリー)』、ジュエリーが一目ぼれした部長の唯一(だと思われる)の友人『海星(ヒトデと書いてカイセー』、高所平気症というこの部には危険な『朋(ルナルナ)』等々。
    この話には名前も重要。名前とは大抵は親の願いが詰め込まれているもので、親から子へ送られる最初のプレゼントと言われているけど、呪いでもあったりする。
    甲子園に行きたかった両親が叶わなかった夢を託した『球児』君。運動が苦手で期待に応えられないプレシャーやら罪悪感やらで野球やりたくないんだけど言えなくって。そんな彼を助けてくれるのが野球好きなんだけど肘故障しちゃって、親はあまり手助けしてくれる余裕のない海星だったりするのがまた切なくて。
    でも一番切ないのは、変人部長の名前の由来。障害のある姉『天使(エンゼ)』と『神(ジン)』。神は天使を守護する存在・・・。先行きに不安を抱える子を持つ親の気持ちは多少分かるけど、この発想は無かったわ。なんだかショックで、部長が可哀想(この表現は使いたくないけど)で、何よりそう思われることが不愉快な彼がさらに可哀想で・・・。「僕は僕の意思で、自分の為に空を飛んではいけないんだろうか」という言葉が痛かった。
    もちろん、切ないだけじゃなく、全体的には明るく楽しい話で、読み終わりは元気をもらえる感じです。中高生には勿論だけど、これから親になる人達にもお勧めです。

  • ムスメからのおすすめ本
    奇人変人が大量発生するなか、じれったい初恋が本人の気づかないうちに進行する青春学園小説
    飛行したい!気持ちの強い自分のツボにハマった本でした。

  • 幼馴染の樹絵里(じゅえり。ジュジュと呼ばれている)が片思いの先輩がいる部活に、一緒に入部しようと言う。その部活は「飛行クラブ」

    主人公・佐田海星(みづき。だけど海星でクラゲと読むのでくーちゃんと呼ばれている)は、完全依存型の樹絵里をもてあましつつも、飛行クラブに引っ張られてゆく。

    しかし飛行クラブは、2年の先輩が二人だけの、まだ正式な部活ではない。部長の斎藤神(じん。カミサマ)が空を飛びたい、という強い思いと、あまりのマイペースのため出来たような部活なのだ。

    副部長は中村海星(かいせい。ヒトデとも読む珍名)だが、野球部との兼部。腕の故障で、野球部でも活動休止を余儀なくされている上に、カミサマ部長と幼馴染のため名を連ねている。ジュジュの片思いの相手で、名前以外は普通にいい人。

    さて、この4人で部員を集め、予算0円で、飛行の活動をしなくてはならない。

    誰もがマイペースで考えなしの中、海月は、なんとか空を飛ぶことを実現しようと奔走する。

    青春空飛び小説!
    爽やか!いいなー。高所平気症!でも、運が悪いのはカンベンですね。

  • キラキラネームの中学生たちが、自力で飛ぶために悪戦苦闘し、気球に乗って飛ぶまで。

    海月(くらげ)・樹絵里(ジュエリー)・天使(エンゼ)・神(じん)・海星(ひとで)…なんか頭痛くなりそう。

    しかも、完全依存体質の樹絵里がひたすらにムカついて、「そういえばこんなやついるよな」と思いながらむかむかしてました。

    中学生ってもうちょっと大人だと思ったんだけど。

  • 飛ぶってなんだ?と言ったところから試行錯誤をするところは,人類の飛行史に似ている??中学生生活ならではの「らしさ」の描写もあり,爽やかさも.

  • ジュニア小説と呼びたい感じ。親が子につける名前には祈りと同時に縛りもあるという点になるほどと感じた。でもこの作品に出てくる親は基本的にいい人達ばかりでよかった。神とか樹絵理とか今時はキラキラネームにすら入らないね。くーちゃんママのキャラがナイス。

  • 最後の二人の展開が、甘酸っぱすぎてときめいてしまって、内容が見事に飛びました。なんなのかわいすぎる。ベタだけど、ベタなのが、よい。

  • 明るくていい。満足。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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