- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163733500
感想・レビュー・書評
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直近一年間で読んだ一番読み応えがあった本。主に以下の二つを学んだ。選択肢の数は必ずしも利益に直結しない。それでも人は無意識的に選択肢を広げようとするあまり、選択から得られる利益を失い、本当に大事な選択を疎かにしてしまう。人は何か行動を起こすとき、自動システムと塾慮システムという二つの思考が働き、塾慮システムに委ねたほうが良い選択できるにも関わらず、我々は自動システムを基に判断することが有る。目先に利益ではなく、長期的な視野で判断する時は特に、自動システムに邪魔されないように日頃から訓練が必要だ。
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選択の不確実性と矛盾を豊富なデータによって明らかにする事により、最良な選択をする方法はないというのが結論になっているような気がした。選択肢の多い少ないは関係ないし、論理的か直感・経験かも関係ないし、自分で選択したか否かも関係がない。ここまで色々事例を出されると、物事を迷ったり真剣に考えるのがバカバカしくなってくる。過去に対しても未来に対しても。でも無数の選択によって自分というものが形成されていくという事実に変わりはない。この点が著者の言う「選択の力」なのだろうが、なんとも不思議で謎めいており、正直わからなくなったし、考える必要もない気がしてきた。
究極的には正しい選択も間違った選択もなく、結局は如何にして自己を正当化し、自分の選択は正しかったと後付的に意味づけたり、論理づけたりして、最終的に「思い込める」か否かの問題であり、その能力や方法を身につけるしかないのだろう。選択を科学するより、こっちに注力する方が生産的で価値がある。人生、勘違いしたまま死ねるのが一番幸福なんだなという事にあらためて気付かされた。(と、ここでも選択し、自分を正当化するという無限ループ?) -
様々な観点から「選択」という行為を検証、考察している興味深い内容だった。
組織の仕組みを考える際にも、自分自身の意思決定について考える際にも役に立ちそうな要素が数多くあった。
数多くの選択肢が必ずしもポジティブに働くとは限らないというのは特に納得。ノイズとなり得るような選択肢をいかに排除し、選択の単純化を図れるかという点がミソ。
それにしても選択権の有無や所在によってここまで明確に行動が変わってくるのは純粋に面白いなー。 -
これまでの自分の人生を振り返ってみると、確かに転機であったという選択はいくつか心当たりがあります。
しかしながら、この本を読むまで選択について特に意識を向けたことはありませんでした。
占いについては、未来をみることで何らかの選択をあきらめなければならなくなるというのは、聞かなければ知らずに済んだことも聞いてしまったことで心が影響され、ひいては選択に影響を与えるというように、自分なりに理解しました。他方、自分に都合の良い結果を信じることは,自分の人生をより良い方向へ動かす原動力になるかもしれません。
非常に興味深い内容で,心に残るフレーズもありましたが,
全体的には著者の選択に関する考察をメリハリなく述べている印象で(一応テーマ毎に分かれているのですが),ではこの本を読んで,今後の自分の選択にどう活かしていくかということは掴み辛かったです。
同じ著者の「選択日記」の方が,人生の役に立つかもしれないので,
本屋さんでのぞいてみるつもりです。 -
読みながら、よりよい選択とは?を考え続けさせられる。選択の対象を研究すること、また、信頼できる専門家の意見を聞くこと。この点は大変共感した。また、限られた選択肢を覚悟して受け入れ(覚悟なくして受け入れざるを得ない状況もままあるのだが)、生きていく(選択を続けていく)こと。人生ってこの繰り返しなのか。こう考えると、自分の人生が、ずいぶん違った見え方がする、気がする。
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選択肢が多いと、その中から一つを選び取ることが難しくなるという「ジャムの実験」で有名な(有名になり過ぎたと言ってもいい)、シーナ女史の著書。でも、この本を読むまで彼女が盲目だということは知りませんでした。
「選択する」という行為について考察したこの本では、「選ぶ余地があることは好いことだ」という資本主義的な側にいる著者が、選択のメリットを滔々と述べている…訳ではありません。時には選べることで心身に過度の負担を強いることもあると証明し、読者自身に考えさせるようなテーマを投げかけ、問いかけを続けています。じっくり読んで考えていくべき内容と言えるでしょう。
訳書として不満だったのが、なぜ日本語版のタイトルを「選択の科学」と訳したのか、ということ。原著のタイトルは「The Art of Choosing」で、著者が最後に触れているように「選択とは煎じ詰めれば芸術であるとも言えるもの」という理念がきちんと表現されています。それを「科学」としてしまったことで、著者の真意が捻じ曲げられてしまったような気もします。ビジネス書として売るために、日本の読者の琴線に触れそうな「科学」という言葉を安直に選んだのであれば、つまらないことをしてくれたな、という感じです。これだけ骨のある本であれば、タイトルで小細工をしなくてもそれなりに売れただろう、という感があります。 -
最初の方はもやもやしながら読んでいたけど、後半はよかった。
同じような内容の話はこれまでにも聞いたことがあったけど、この本では、それが多角的な視点で書かれていて、知識の幅がひろがった。
この手の本にしては、新しく得るものが多かった。
流行りにのったような二番煎じの本ではなく、著者がしっかりと研究していることがベースになっていて説得力もあった。また著者の実生活の話題も取り入れているところが現実味あってよかった。 -
昔行ってた美容室はいたりつくせりで、シャンプーするにもマッサージつきやトリートメントつきやオプションが選べ、シャンプーの種類(香り)も選ぶ。カラー待ち時間中の飲み物もちょっとしたメニューが出てくるほど。行くたび、あれにしようかこれにしようかわくわくしてた。さて、入間に越してから通うようになった美容室。ここにはオプションもなくシャンプーの種類を選ぶこともない。飲み物もすっとコーヒーが出てくる(最近はメニューがあるが)あれ?っと思ったけど、かえって選択しないことがこんなに気楽なのかと思い知らされる。わくわくは楽しいけど、あれやこれやと思いを巡らせるのは実は面倒なときもある。髪を切る、少なくとも気分も軽くなる場であるから煩わしいことはないにこしたことない。選択しないって楽なんだなあと思ってたところに出会ったこの本。同じことを考えてる人がいた!ととっても嬉しくなって読んだのである。最初は、もちろん選択することのメリットから。まるで「7つの習慣」の第一の習慣を裏付けるような話で読むタイミングもよかった。中盤になって、過剰な選択肢は逆効果、自分の体験に近い話。終盤は、端的に言えば選択のデメリットについてふれている。良くできた本だと思う。読みごたえあった。相方が読みたがってたので急いで読んだが、これも興味深いひととき。