望郷

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163819006

感想・レビュー・書評

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  • 最後にオチのある短編が6つ.瀬戸内海の白綱島(因島のようだが)を背景にした物語.どれも少しぞっとしたりほろっとしたりするものだが,「みかんの花」の隠れた真実が次第に明らかになる過程が楽しめる.「雲の糸」は成功した歌手として島に呼ばれたヒロタカが真知子おばさんに真実を教えてもらい,母の苦労を偲ぶ,みんな上手く作られた話ばかりで楽しめた.

  • 2015.11.07読了

  • さすがの湊さん。
    短編集だからか、あっという間に読めました。
    意表を突かれたり
    考えさせられたりしました。
    人生って色々ありますね

  • 架空の島、白綱島を故郷に持つ人々の現在と過去を描いた短編集。一発目から暗い。望郷と言う題名からは全く予想だにしないミステリーの様な展開。予備知識なしに読むといきなり殺人の話になって吃驚します。2作目以降も似たような展開。ようするにみんな何かしら白綱島で暗い過去を背負って今を生きている。乗り越えて生きている人、妥協して生きている人、過去に振り回されて生きている人、人生いろいろ、と言う短編集でした。どれも暗くて後味悪し、読後感不快。ストーリーテリングとしては素晴らしいんでしょうけど、読まなくてもいい話。

  • 瀬戸内の白綱島を故郷にもつ人々を主人公にした短編集。
    「望郷」というタイトルから郷愁漂う話かと思ったら、きな臭い事件が起きていたり、島ならではの村社会を描いていたりで、印象としては暗くて閉塞感が漂う小説でした。
    何となく読んでいて息苦しくなり重い感じになりました。

    「みかんの花」
    25年前に男と出奔した姉が作家となり、島に帰ってきた。
    島の閉幕式に来賓として挨拶をするために招かれて-。
    姉は何故25年前に家族を捨てたのか。
    妹は彼女なりの推測をし、真相が姉により語られる。

    真相はこうかと思いきや、まだその奥に真相が隠されていて-という話でしたが、短編だけにさらっと書かれていてそれほどの驚きはありませんでした。

    「海の星」
    小学生の頃に父親が失踪したという経験をもつ男性。
    その頃、母と自分に関わっていた男性の娘からハガキが届く。
    そして、それを機に父の失踪の真相を知ることとなる。

    「夢の国」
    一家を縛る祖母の存在のせいで東京ドリームランドに行くという夢をかなえられなかった女性。
    彼女は大人になり、家族と念願の東京ドリームランドに行き、そこで当時のことを追憶する。

    夢はいつか叶えば-と思うけど、賞味期限のある夢というのもあると思う。
    それによく自己啓発本に書いてあることだけど、問題をクリアしてないとそれは別の形で同じように自分の前に表れるたりもするのかもしれない。
    これはそんな事を考えさせられる、ちょっと皮肉な話だった。

    「雲の糸」
    歌手になり成功をおさめた男性が島の同級生から会社の記念パーティーに出席してくれと強引に頼まれる。
    嫌々出席した彼はそこで当時のつらかった経験を思いだし、無神経な島の人間により散々な目に合う。

    これは読んでいて腹が立ってくる話でした。
    自分がいじめてきた人間に悪いと思うどころか、厚顔無恥に頼み事をしてきて、しかもそれを当然と思う人々。
    ある意味田舎者らしい嫌らしさが嫌らしく描かれていると思う。

    あとの2話「石の十字架」「光の航路」は読んだ後、すぐに内容を忘れました。
    それくらい印象薄い話だったけど、どちらも他の話と似たような雰囲気の話でした。

  • 2015/9/18

    じわわわーん。
    様々な想いを抱える白綱島島民たちの短編集。

    重松清のようなじんわりしんみりな雰囲気に涙腺が...となったらさすがの湊かなえスパイスでゾワッと。
    良い。

  • 狭い世界の閉塞感。テーマはありがちな感じで新鮮さはないけどするする読めた。本当は広い世界にもどこにだって閉塞感はあるけれど。

  • ⑧/193

  • 湊かなえの短編集。
    湊作品はやはり根底に暗いものがあったり、読後感が悪いものが多いが、短編集なこともあり、スッと読める作品。
    島特有の閉塞感や狭い世界での話で嫌なところもあるが、すごくリアリティを感じた。
    どれも刺さる表現はあったが、海の星と石の十字架、光の航路には救われる思いを感じた。こういう話も書けるんだなぁとしみじみ。

  • 平成27年7月19日開始
    平成27年8月9日完了

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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