晴れの日には 藍千堂菓子噺

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 237
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904733

作品紹介・あらすじ

晴太郎が恋をした!? 江戸の菓子所「藍千堂」シリーズ第2弾穏やかで実直、菓子づくりのことばかり考えている兄・晴太郎が惚れたのは、訳ありの女画師だった。店を守るため、弟・幸次郎は兄を止めるのだが――。煉羊羹に柏餅、金平糖など、晴太郎が工夫を凝らして丁寧に作り上げる季節のお菓子も色を添える、江戸人情小説。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ晴太郎よかったねぇ!!
    悪者、思ったよりあっさり引いてくれてよかったです。ほっとしました。息子達がしっかりしていて良かった。

    それにしてもじいじがいっぱいいて笑ってしまった。微笑ましすぎる。おじちゃんもすぐ骨抜きになるなぁこりゃ。じぃじズが過保護になりゃしないか少しばかり心配ですが笑、続刊がますます楽しみです。

  • シリーズ新刊が出たらしいので、その前に復習を兼ねて再読しようとしたら間違えて第二作を読んでしまった。第一作も借りているので読まねば。

    父の死後、叔父に店を追い出された晴太郎・幸次郎兄弟。かつて世話になった茂市を頼り、三人で上菓子屋〈藍千堂〉を盛り立てていく。
    『菓子作りしか能のない』晴太郎と『根っからの職人気質』の茂市、しっかり者で『算盤勘定や商い』はおまかせの幸次郎の三人のバランスは良い。
    お店のラインナップも上菓子だけでなく四文菓子と言われる手ごろなものまで色々。
    確か第一作は実家であり追い出された後は叔父が切り盛りする『百瀬屋』に何かと意地悪される話だったように記憶しているが、今回は晴太郎の恋の話。

    これまで菓子一筋だったらしい晴太郎が29歳にして初めて恋をしたのはシングルマザーの佐菜。一人娘さちは6歳の可愛いさかりで晴太郎にも懐いている。見た目にはお似合いの二人なのだが、佐菜は訳ありの女性で周囲は反対するのだが、一度こうと決めた晴太郎は引かない。

    初読の時はそれほど気にならなかったのだが、読み返すと晴太郎の自己中心的でゴリ押しな印象が残ってしまう。
    佐菜・さち母子には罪はないし、晴太郎が恋するのも分かるのだがその為に周囲を巻き込んで不幸にして良いという理由はない。特に茂市は晴太郎・幸次郎兄弟が頼ってきたときに店主の座を晴太郎に譲ってまでして二人を助けてくれたのだ。その〈藍千堂〉を潰してしまうことになってしまったら。
    幸次郎や定町廻り同心・岡に慎重にしろと言われて一度は受け入れた晴太郎だが、一度火が付いた恋心は止まらない。そして佐菜も晴太郎らに迷惑を掛けられないと突っ走ろうとする。
    幸次郎から見れば胃が痛くなるような、ハラハラさせられっぱなしの兄なのだろう。だが一見冷たそうで現実主義な幸次郎は、晴太郎を一番理解し甘やかしている人間でもある。

    結果的には大団円となるのだが、上手く行きすぎな感じも否めない。だが晴太郎・幸次郎の亡き両親のなれそめや彼らが繋いでくれた縁が分かり、それが今回晴太郎を助けてくれたのだと思えば受け入れられる。
    同心・岡、父の友人・伊勢屋総左衛門、医師で常連客・久利庵、旗本・松沢家の人々、おろく一家…晴太郎・幸次郎兄弟にはたくさんの味方がいることを知った作品でもあった。

    ※シリーズ作品一覧
    ★はレビュー投稿あり
    ①「甘いもんでもおひとつ」
    ②「晴れの日には」★
    ③「あなたのためなら」★

  • 晴太郎が訳ありの女画師に恋をしてー。
    江戸の菓子所「藍千堂」シリーズ2作目。

    店をも危うくする恋愛相手ゆえに幸次郎や茂市は反対するのですが、晴太郎は全く言うこと聞かない。延いては弟や恩人の生活まで危うくするのに…何考えてんだろ。
    前作がすごく良かったのですが、今作は晴太郎の意固地っぷりに若干イライラ。終わり良ければ総て良しなんでしょうが、そこの過程が微妙にモヤっとする読後。

  • 自分の思いは届かない。辛かったけれど、清々しくもあったのが、不思議だった。

  • 初出 2011年、16年「オール讀物」の2話と、それに続く書き下ろし3話で、2016年に単行本化されたシリーズ第2作。

    叱った日に長男が事故死したことで屈託を抱える足袋職人が七回忌の法要の菓子を茂市に注文に来るが、晴太郎が茂市のものだった店の主になっていることに難癖をつけて二人に競わせる。晴太郎は亡くなった長男の好みを調べて足袋職人の屈託を解く。

    菓子馬鹿の晴太郎の恋がストーリーの中心。
    贔屓にしてくれる旗本松沢家の初節句の祝いの柏餅を、晴太郎が出向いて大量に作ることになり、手伝いに来ていた絵師で子連れの佐奈に出会って惹かれるが、事情を知っている若奥方も、同心の岡も猛反対する。
    その岡が逼塞させられたのは奉行所を実質的に牛耳る悪徳年番与力に逆らったからだが、以前上菓子屋を裏工作に使って見捨てた年番与力が次の菓子屋を探していて、しかも佐奈の前の夫だった。佐奈は娘を奪われないように町中で隠れるように生きてきたが、晴太郎とのことで嗅ぎつけられる。
    晴太郎は娘は自分の子だと言うのを元御殿医の町医者が助け、年番与力の悪事が露見して失脚して事なきを得、晴太郎は本当に娘の父親になる。
    ラストシーンは泣かされるが、こういう人情話が好き。
    ついでに和菓子好きの身には菓子の工夫がたまらない。

  • お匙殿といわれてた久利庵先生が大好きな茂市の羊羹は、どんな味なのか食べてみたいです。晴太郎、幸次郎の二親おしのと清右衛門を傍で見守り続け、自分の味をつくった羊羹です。あっさりとしながらコクのある美味しい水羊羹を想像しました。
    ホッコリするいいお話でした。お正月に読むのに良かった。

  • 菓子づくりのことばかり考えている兄・晴太郎が惚れたのは、子供のいる訳ありの女画師だった。店を守るため、弟・幸次郎は兄を止めるのだが…藍千堂シリーズ第二弾。「羊羹比べ」「母と似た女」「青の星川」「思い出話」「ひいなの祝い」収録。

    「あなたのためなら」を読もうとしたら二作目を読みそこなっていたことに気づいて慌てて読みました。やはりこのシリーズ大好きです。頼りないけど、優しい晴太郎としっかり者の幸次郎。そして兄弟二人を見守る茂市っつあんがまた良い…

    晴太郎の性根がわかっているからこそ、大切な藍千堂が危くするとわかっている、訳ありな親子への想いの為にみんなが協力を惜しまない…人情満載で読み終わった後「あ~いい話だ…」と言いたくなってしまう。

    一巻目の装幀がとても凝っていて好きだったのですが、なくなってしまっていて残念…

  • いやー、面白い。
    しつこくないし、くどくない。
    読んだあとに嫌なものが残らない。
    続き出ないかなぁ。

  • 前作『甘いもんでもおひとつ』を読んでから4年もたってましたので、どういう話の流れで終わってたっけ?と忘れているところもあったのですが、楽しくおいしく読めました。とっても大雑把に言うと晴太郎の恋の話なんですが、一筋縄ではいかない所縁のある女性で…。晴太郎の人柄なんでしょうけど、みんなが晴太郎のために一生懸命になるんです。もちろん本人も一生懸命ですよ。あったかいな。今回もいろんなおいしそうなお菓子が出てきたんですが、味噌餡の柏餅がおいしそうだなと思ってたら、前作の感想も同じように書いてました。今回は章ごとの扉が千代紙みたいなのじゃなくて残念でした。

  • シリーズものとは知らず

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著者プロフィール

作家

「2022年 『鯖猫長屋ふしぎ草紙(十) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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