十二人の死にたい子どもたち

著者 :
  • 文藝春秋
3.26
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本棚登録 : 1931
感想 : 298
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905419

作品紹介・あらすじ

廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。建物に入り、金庫をあけると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にとり、「集いの場」へおもむく決まりだった。
初対面同士の子どもたちの目的は、みなで安楽死をすること。十二人が集まり、すんなり「実行」できるはずだった。しかし、「集いの場」に用意されていたベッドには、すでに一人の少年が横たわっていた――。
彼は一体誰なのか。自殺か、他殺か。このまま「実行」してもよいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、子どもたちは多数決を取る。不測の事態を前に、議論し、互いを観察し、状況から謎を推理していく。彼らが辿り着く結論は。そして、この集いの本当の目的は――。

性格も価値観も育った環境も違う十二人がぶつけ合う、それぞれの死にたい理由。俊英・冲方丁が描く、思春期の煌めきと切なさが詰まった傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/12/19読了
    #このミス作品57冊目

    廃業した病院に12人の子どもが集う。
    しかし集まった部屋のベッドには
    13人目の見知らぬ少年が横たわる。
    簡単に死を選ぶ子どもたちは
    悩みや思いをぶつける相手に不足
    しているんだろうなあ。

  • 安楽死をするために集いに集まった12人の子。集まった場所に、すでに横たわっている子がいたことから、話し合いが始まる。それぞれの思惑の中、推理とともに、各自の理由も明らかになっていく。
    節の変わり目で、視点となる子が変わり、その内面が語られたり、他の子への見方も視点が変えられ、おかしな点を気づかせてくれたりする。それぞれがどういった意図や背景でそう考えるのかという点も類推していくのはおもしろい。なので、自分的には、すでに横たわっていた子=ゼロ番を連れてきたのが誰かという推理視点より、それぞれの心象を描いていく話という視点で読み進めた。
    各自の心境はうまく配置されていて、話はわかるけど、それほどではないとか、誤解に基づくとか、理解し難いとか、それぞれのパターンがある。繰り返される話し合いの中で、それぞれ心情が変わって行く感じがあるが、そこは心情ではなく、主に行為や他の人へのセリフだったりしていると思う。
    なぜ横たわっていたかという謎解きは、時間軸なども絡み、ちょっと理解がおいつかないところがあったが、それは説明不足ではなく、自分の理解力でしょう。
    オチのあたりの心情はもう少し詳しくてもいいかなと思った。オチに向かっていく雰囲気はよく出ているのですが。
    全体としてどう展開していくか興味を持って読んでいくことができて、よかったです。

  • 終わりが良かった。
    色んな環境の下で、色んなことを考えるのが当たり前だけれども、受け入れる事が出来れば、前を向けると思いました。

  • タイトルからして、なんだかオドロオドロしいものだと
    思い、どんな話かなーとワクワクしながら読んだよー!!

    自殺願望のある12人の子どもたち。
    それぞれ、ネットでテストを受けて、受かった人が
    廃屋となった病院に集まる。
    12人だけのはずなのに、なぜか先に一人が死んでいて…。
    いったいこの人は誰なのか…。
    そして、誰が連れてきたのか…。
    死ぬ前に、それぞれが考え始める。

    12人も登場人物がいるから、分かりにくいかなーと
    思ったけど、それぞれの視点で話をすすめてくれて、
    結果、私は分かりやすかったなぁー。

    個人的には、もっといやーーな感じで終わるのを
    期待してしまった…。
    なんか、私的にはハッピーエンドに思えたよ。
    いや、ハッピーではないかもしれないけどさぁー。
    だから、途中までは☆5なんだけど、
    ☆4にしましたー。

    んんー、映画を見てみたいな!!
    映像になったときに、どんな感じか見てみたいー。

  • 結末が気になり一気に読みました。
    本で読むより映画を見た方が分かりやすいと思います。

  • この方の本は初読みです!


    どういう展開になっていくのかドキドキしながら読んでいきました。ちょっと長くないか?って思う所もあったが最後まで読めた(^^) 1人ずつにスポットが当たる感じもまぁ良かった!


    バットエンドになったら嫌だなぁって思ってたけど、胸くそ悪く終わったわけじゃなかったので良かったかな?生きているってことを実感してね〜って思った>_<

  • 集団自殺するために集まった子どもたちりいろんなタイプがいて、参加者と一緒にイライラしながら読み進めたけど、ラストに向けてスルスルと糸が解けていく感じが気持ちいい。
    子どもが死にたくなるような社会への諦めと希望が両方ある。

  • 作者自身がテレビで語っていたように、物語の最後に希望があった(そのコメントが無ければ、手に取ってなかった)

    物語が限定された空間で繰り広げられてるので、物凄い閉塞感。途中まで読んで眠ると、毎度悪夢を見てしまい困るほど。
    ある出来事の検証の為に瞬間的に外に出たり屋上に出たりする度に、私もメンバーと一緒に新鮮な空気を吸い込んでいる気分だった。その分、ラストの開放感、爽快感が際立つ。そして読後はグッスリ寝られた。
    予想以上に物語に併せて追体験してしまった、、それだけ私には影響力が強かった。

    集いに集まったメンバーひとりひとりが、これまで自分の本当の気持ちをぶつける場が無く、まさに自分自身の心の中、という閉塞的な空間でグルグル思考し続けた結果が自殺。こころが痛い。

    ただ皮肉にも、最期の場で、集いに参加した個々の理由を聴いてる内に、それこそひとりひとりの心が動いていくのは本当に面白い。最初はお互いの理由は否定しない、尊重すべき、というより、理由はどうでもいいから早く実行したい、という意見が大半だった。ただ、ひとは話を聴くとどうしても自分の意見を言いたくなるもの。自分の理由こそ正当性が高い、と思ってるからだろう。自分と相容れない理由の人と一緒に"実行"したくない、なんて考えてしまうのもわからなくない。

    でもそういった、対立、衝突をも含んだ、心を交わす場こそ大切なのでは。相手の意見を尊重する、否定しちゃダメ、というアサーティブな姿勢より、まず議論の場を作る、議論を続けることが大切なのでは、と思えた。
    だってこの話では、それでみんなのこころが動いてるから。

    ネットのほうが自由に意見が言えるようで、受け取る側の理解が表層的だったり、意図しないポイントで非難されたりと、閉塞感あるんじゃないかな。この集いに参加したメンバーの年代考えると、ネットが普及して交際範囲が増えてるようで、生の付き合いしにくくなってるのかと少し切なくなる。

    自分の気持ちが受け入れられなくてもいい、批判されてもいい、吐きだす場が無いことが、人にとって一番辛いことなのかもしれない。

    最後、シンジロウを心の頼りに、みんなが帰っていくのを見て、心が温かくなった。そして、管理人サトシとアンリの会話が心に残る。サトシも絶対に"実行したくない"訳でもないのがミソ。アンリの対決宣言、でもいいよね。議論し尽くすことに意味がある。自分の考えを見直す大切な時間。
    自殺はダメ、与えられた命を自から投げ出すのはダメ、なんてモラルを言われても、死に取り憑かれた人には響かないだろうから。

    人と話すこと、わかってもらえなくてもそういう場があること、それがどんなに大切か、深く理解できた気がする一冊だった。
    理解できなくてもいい。非難しても否定してもいい。無関心が一番の罪だ。

  • 登場人物が多くて背景がつかみにくく、読み始めから読むことを断念したくなってしまいました。残念ですが入り込めませんでした。

  • 久しぶりの読書、初の冲方丁作品。
    初めは登場人物が多く把握が大変だったが、段々とキャラが立って来るので、中盤以降は難無く読めた。
    タイトルはこんなだが、結末はなんか救いのある感じで良かった。救いの無い女性もいたが。。。
    サトシは皆を思いとどまらせるために会を開いてるのかと思ったが、そうじゃないんやなぁ。
    それぞれの死にたくなる気持ちを抱えた彼らの話を聞いていると、いたたまれなくなる。
    でも似たような境遇の子って少なからずいるんだろうと思う、たまたま私が出会ってきてないと言うだけで。
    そんな子たちに今後もし出会ったら、私はちゃんと手を差し伸べられるだろうか。

  • 正直に、私の読書感で言えば、「退屈」です。

    久しぶりの「冲方丁」作品。
    死に向かっていく12人の子供達の話。だろうと思って手に取りました。
    謎と呼べる謎なのか?謎のための謎なのか?
    ミステリーってカテゴリには入らない感じ。
    最後に救われますが、物語は退屈でした。

  • この本が言いたいことを言うと、ネタバレになりそうなのであえて書きません。
    ただ、まだ人生の半分も、4分の1も生きていないのに、みんな色々なことを考えていて、疲れちゃうよね……。

  • 著者初の現代長編ミステリーと言うことで、話題になっていたので読んでみた。12人の中学生・高校生が廃墟となった病院に集い、安楽死をするはずだったが、そこには一つの遺体らしきものがあり、その存在を巡って、12人は議論を始めることになる。推理物としては、一昔前の本格的な雰囲気もあり、中盤までは面白かったんだけど、12人のキャラを公平に扱うためか、視点が次々と変わったりしているうちにくどさを感じてしまった。14~16歳に登場人物の年齢を設定してる割には、しっかりし過ぎだし、個人的にはラストも想定通りで納得いかない。

  • 2022.4.26読了
    3.5
    セイジのジャイアン感、マイの破壊力がすごい。
    ラストの謎解きはぼんやりしている感じがしたけど、それはそれでいいのかな。
    その後の12人を知りたいような気もします。

  • 死にたい、って思いつめた12人が集まる。
    誰にも話せない、閉じられた世界から踏み出すと、新答えが転がっている。死ぬ気で踏み出した結果で何かを拾う。ラストまでどこに向かうかわからない。

  • 話の流れ、キャラは良かったし続きが気になってどんどん読んで行ったけど、真相のゼロ番がどんな風に運ばれて行ったかとか文章での説明がわかりにくくて読み飛ばしてしまった。。

  • タイトルに惹かれて購入。
    “死”に向かうというゴールがありながらも話し合いの中で“生”を感じさせられるのが何とも不思議な感覚だった。

  • それなりに楽しめたけど、謎自体がどうでもいいというか、謎のための謎であり、パズルめいた面白さ以上のものは僕には感じにくかった。

  • 2016年下半期直木賞候補作品(読了時)
    廃院した病院に集まってきた十二人の子どもたち。彼らの目的は、「集いの場」で集団自殺すること。ところが用意されたベッドの1つに、既に子どもが横たわっていた。彼は他殺と考えられる。自分たちはこのまま自殺をするべきか、犯人を捜すべきか?子どもたちは議論を続けるが、果たして結論は・・・
    犯人探しをしながら互いの胸のうちや生活環境などが明らかになる。自ら死を選ぶ理由はそれぞれだが、そこにどこまで他人が介入できるのか?ミステリーとなっているものの安楽死など、生命の倫理観を問いかける作品。

  • う〰ん そもそも何でそんなに話し合うのかがわからない

  • ううーん、読みづらかった。
    12人の死にたい子ども達が集まったら13人目が眠っていた・・・そこで話し合いがもたれるのだけど、12人のキャラに魅力も感じられないし、途中かなり読み飛ばしてしまった。

  • 約400ページある長編ミステリー、ではあるが、最後の最後まで個人的な山場は来ずに飽き飽きしながら読み進めるも、オチはまぁ一応あったのでひとまず。これは映像化して見た方がいい作品かも。湊かなえの後だったので、かなり物足りなさが。

  • 楽しかった。
    他の著書も読みたい

  • 冲方丁作品は初めてでした。
    映画化されてると知り 手にしたものの 正直 自分には合わない…。
    ずっと話し合いが続き 特に刺激とかなく 物語の盛り上がり的なのがなく 淡々と読み進み 終わった感じ。
    期待し過ぎたかなぁ…。

    映画化されたものは一応 見るつもりです。

  • ミステリー小説。
    Twitterで死にたいと検索するとこの作品の劇場版公式アカウントがよく表示されるので前から気になっていた作品。
    映画は見てないけど映画化されてるんだから絶対面白いはずだと思って読んでみたけどつまらなくはないけど面白くもなかった。
    まず前置きが長く感じたし、あらすじにあるように12人で自殺しようと集まったら会場には先客がいて、なんで13人いるのか、その謎を解いていく話…なんだけどほんとに12人でそのことについて話し合ってるだけで400ページも使っている。あらすじ以上の展開があると思っていたらほんとにあらすじだけで説明し尽くされている話だった。
    あとタイトルが死にたい子どもたちというくらいだから死にたい理由とかもっと深くつっこんだ話があるかと思っていたけどそれぞれの死にたい理由はさらっとしかかかれてない。そして最後には誰も死なない。なんだか盛り上がるところがないまま読み終わった感じだった。読後感は悪くなかったけど…。
    この人の作品はもう読まなくてもいいかなと思った。初めて読んだけど。売れっ子みたいだけどなんで売れてるのかこの本を読んだだけではわからなかった。

  • 正直に言うと「頑張って」読み終えた本でした。
    登場人物も多く、病院内の構造も多くて複雑でどこに誰がいたのか考えながら読むのが苦痛でした。ミステリは大好きですが、真相について考える楽しさより誰が誰でどの背景かを考えるのが大変。それぞれの自殺に対する動機も釈然としない感じだし、私には合いませんでした。

  • 廃病院に自殺をするために集う12人の子供たち。全員がネットでの質問によるテストを受け、参加の意志を示した上で参加したはずだったが、そこには誰も知らない1人の少年が既に死んでいてー。
    ホラーチックかと思っていたが、推理小説っぽくて読みやすかった。何より、12人全員に個性があるところも良い。
    最終的には全員生きることを選択してその場を去っていくのも、読後感としては悪くなかったが、全員がその判断になるにはもう少し心理描写や、決定的な理由があった方が良かったと思う。
    なんにせよ、推理の内容も、子供たちと一緒に自分も謎解きをしている気分になれて面白かったので、高評価だ。

  • みんな死ななくてよかった!
    死にたくてみんな来たのには最終的には生まれてきたことには後悔してない?的なことを言ってて、ちょっと嬉しかった。
    シンジロウスゴイ。
    てか3回も開いてるのによくサトシ死んでないなって思った。
    話し合いをもう1回みんなでちゃんとするだけで揉めることもあるけど最終的にみんな死なないっていう選択になるのがなんかすごい。
    途中、全然話進まないなと思ったところもあったけど、面白かった!!

  • 第三者から見ると「そんなことで死ぬの!?」と驚くような理由で死を選ぶ人もいる。けれど自分が10代のときもそんな感じだったから、むしろリアリティを感じて面白い。
    結末のアドレスを交換する場面に希望を見つけた。今日は生きたいと思っても、明日は死にたくなるかもしれない。けれど、同じ経験をした人とつながっていればきっと大丈夫。素直にそう思えた

  • ネットで集まった自殺願望の12人の子どもたち。集まった病院のベットには、13人目のベットに横たわる少年がいて、それがきっかけで、計画が狂いはじめる。

    冲方さんの作品は時代小説ばかりでしたので、現代小説、しかも重いテーマは少し、新鮮でした。12人のこどもたちの死にたい理由はひとそれぞれ。サトシやケンイチ、アンリと言った論理的なタイプもいれば、天然、計算高いこどもたちもいる。いじめにはじまり病気を苦にしてという子どもまで。最終的に生まれてこない権利にまで話は進む。
    生きたい理由と死にたい理由はひとそれぞれ。いつの時代も生きにくい世の中だと思うけど、生を全うしたいですね。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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