出版大崩壊 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607983

感想・レビュー・書評

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  • 感想はハテナのブログに書きました。何も知らずに読んで、後半のすごい展開にびっくりした。

  • 電子・紙の書籍の展望について分かりやすく持論を展開。すごく納得できる内容だが、だんだんテンション上がってきたのか過激な表現に。とても現実的。

  • このような本を出版してしまえた事がまさに業界の崩壊を証明している。某大手出版社が出版を中止したのは当たり前だ。著者自身の自慢話までは許せても、読者を小馬鹿にしたような記述は到底容認出来ない。そんな奢った出版社はとっとと崩壊した方が社会のためだと思う。
    この本を読むなら、10年前に出版された同名の小林一博著『出版大崩壊』を読んだ方がよい。

  • 昨年2010年は電子書籍元年だそうです。キンドルを始め、携帯電話でも手軽に紙でなく画面を通して本を読むことができるようになりました。

    毎日仕事でモニターを見続けている私にとっては、読書時間までも画面を見続けることは目に負担がかかりすぎるので、あまり興味を持ちませんでした。

    しかし昨年購入したキンドルについていえば、電子インクが優れているのか白黒モニターのせいかわかりませんが、目が疲れにくいのは実感しました。

    また、最近妻から「自炊」という「本のデータを電子化するサービス」があるのを知りました。これはPDFファイルと、OCRファイルまで作成するものがあるそうですが、そうすれば私のこのレビューもかなり時間が短縮できるのではと思った次第です。

    この本では電子書籍が進むべき3つの方向性(p96)が示されていていましたが、ここ数年で私の読書スタイルも変わりそうな予感を味わいました。

    この本は長年、出版社で編集者をされていた山田氏が、電子書籍の進展が出版会社に及ぼす影響を書いたものです。禁断の書と言われたように、出版会社の将来は変身をしない限り暗いと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・電子出版より懸念されるのは、1)再販制に守られてきた日本の書籍流通制度の崩壊が進む(=中抜き:紙、印刷、流通業者不要)、2)出版社の価格決定力を失う、3)著者が出版社を通さずに著作家法に基づいて電子出版をする、である(p37)

    ・今の若者は昔世代よりもはるかに大量の文字情報にネットを通じて接している、活字離れではなく、起こっているのは「紙離れ」である(p58)

    ・どんな産業でも売り上げが落ちれば、生産調整に入るものだが、出版産業は再販制度に守られて、逆に自転車操業を加速(出版数の増加、3.8万@1989→8万@2009)させた(p80)

    ・2001年には2万店以上あった書店は、2009年には1.5765万店に減少した、2009年5月には講談社、集英社、小学館の大手3社と大日本印刷がブックオフの株を取得した、ブックオフも最近は本が売れなくなった(p91)

    ・今後の電子出版の方向性は、1)紙の本の電子化、2)映像、音楽を組み込んで新しい電子書籍(村上龍の歌うクジラ)、3)自費出版モデル、である、既存出版社は2)のみが将来ビジネスと考えられるが、村上龍はそれは「できない」とした(p96)

    ・日本の電子書籍市場はアメリカよりも大きい600億円相場であるが、携帯電話向けが8割以上を占める特殊なものであるが、さらに特殊なのは、そのほとんどがマンガ(それもBL:ボーイズラブ、TL:ティーンズラブ)である(p108)

    ・自炊の便利さは、本棚をなくすことが可能、古本も新刊として甦らせることが可能、デジタルデータであり永久保存可能、OCR処理をすれば検索可能、である(p129)

    ・最近の画期的なスキャン新技術として、裁断不要で本をめくるだけで高速スキャン可能というもの、1秒間に500枚の画像を撮影して、250ページを1分で撮影可能(p136)

    ・出版社が持っているのは著作権ではなく、複製権を持つものからその権利を譲り受けて、それを出版する権利=出版権(著作権79条)である(p146)

    ・現行著作権法では、出版社は電子書籍をつくれないことになっている、アマゾンが著者の許諾を得て電子書籍化の権利を得てしまえば、出版社は「中抜き」可能(p147)

    ・出版社は、流通・販売以外のすべての経費を定価の60-70%に設定、著者の印税が10%、取次:20%、書店:10%の配分である、アマゾン等は30%を設定している(p177)

    ・アマゾンは印税を70%としているが、ダウンロード通信費用は著者負担、紙バージョンがある場合は電子書籍の価格は本の80%以内、販売価格は2.9-9.9ドルの範囲設定という条件がある(p197)

    ・人口1億2700万人の日本人口に対して、経済動向等の本の読者は最大で400万人(旧帝大、私立大の卒業生は20万人、20万人x40年x0.5(男))、1万部売るには400人に一人に買ってもらう必要がある(p212)

    ・音楽業界を今のように苦境に追いやったのは、アップルが音楽配信を始めて、1曲単位(150円)で販売されるようになったこと(p220)

    ・日本のアニメ作品を支えている監督等はすべて40代以降で、彼らは20代から活躍して生き残ってきた人々だが、現在は20代の人材はほとんどいない(p228)

    ・現在は、労働史上初めて、ホワイトカラーがブルーカラーよりも長時間働く時代であり、所得の多い人が低所得者よりもたくさn働いている(p252)

    2011/4/3作成

  • 既存の出版業界は崩壊に向かっている。もちろんその通り。しかも結構な勢いで。
    だからといって電子書籍の時代がくるっていう気がイマイチしないのは何故?
    電子書籍業界の危うさを赤裸々に語り改めて出版業界を絶望に叩き落とす一冊。

  • これから出版業界はどうなるのか!
    しばらくは、明るさは見えてこない気配。

  • どこら辺が出版NGだったのだろうか、それが気になる。売り文句かもしれないが、そこまでの衝撃はないと言っていい。
    ただ、携帯電話端末のアプリで売れているのが、BLやエロ系ばかりで、それを周りからも見えやすい大画面のiPadのアプリとしても売れないだろうという記述には、なるほどなぁと思わされた。

  • デジタル化=人減らし。でも僕らはその流れから逃れられずに、進んでいかなければならないのか? 業界総崩れな現状を著者の体験と数字から指摘。電子書籍は消耗戦だったのね。素人のゴミがあふれかえって、文化的暗黒時代がやってくる、っていうのも可能性が高いかも。
    アルビン・トフラーがネットがすすむと非科学的な吟味されていない駄知識が蔓延し、知的暗黒時代へ突入する可能性を示唆してたことを思い出す。

  • 私は紙の本が好きです。電子書籍は、既存の紙の本の単なる電子化に留まらず、音声や動画などのコンテンツと連動することで様々な可能性が見いだせる。それはすごい発送だし感心するけど、日本の企業が紙の本の質感的な部分を再現しようとした電子機器を作ろうとする気持ちもわかる。

  • 電子書籍の否定的な評論。電子書籍も通常の書籍もどちらも崩壊してしまうような内容だった。やはり紙媒体の書籍は今後衰退してしまうと思われるが私自身、紙の書籍が好きだし残していきたい。だが、電子書籍のスペースを取らずに収納や持ち運びはやっぱり魅力的だと思いながら読んでいた。そして、今後出版社がどのように電子書籍に対応しどんな変貌を遂げるのかとても気になった1冊でした。

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著者プロフィール

1952年、神奈川県横浜市に生まれる。立教大学文学部を卒業後、光文社に入社。「光文社ペーパーバックス」を創刊し、編集長を務めた後、2010年からフリーランスになり、国際政治・経済・ビジネスの分野で取材・執筆活動を展開中。
著書には『出版大崩壊』『資産フライト』(以上、文春新書)、『本当は怖いソーシャルメディア』(小学館新書)、『「中国の夢」は100年たっても実現しない』(PHP研究所)、『円安亡国』(文春新書)、『地方創生の罠』(イースト新書)、『永久属国論』(さくら舎)、翻訳書に『ロシアン・ゴッドファーザー』(リム出版)などがある。

「2018年 『東京「近未来」年表』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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