希望の国のエクソダス (文春文庫 む 11-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167190057

感想・レビュー・書評

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  • 初 村上龍。なかなか良かった。日本を憂い警告してる。近未来を具体的に描写してる。

  • 国会証人喚問で質問している議員に対して中学生が「委員長、質問者を変えて下さい。コミュニケーションできません」と言うあたりが笑えるけどかなりマジメなポイント。

  • 1410 危機感の無さ。日本人の国民性を的確に表現してると思った。自分は希望を持って生きてるだろうか?と考えさせられました。

  • 2001年に中学2年生ということは、
    なんとつまり私はポンちゃんや中村君と同級生ということになる!
    私は、ポンちゃんや中村君と同じように必死だったと思うけど、こんなに大きな視点で自分の危機感を感じていたわけではなかったし、彼らの感覚から言えば、今の既成の枠組みの中で、どう自分が自由に生きられるかということを足掻いていたように思う。

    経済の話に私はまったく疎くて、何を言ってるのかさっぱり分からない箇所があったが、そんなことは分からなくても読めちゃいました。
    要するに、世界を動かしたり、世界の人が一喜一憂するその経済みたいなものにポンちゃんたちが一枚噛んでた感が伝わったので、それで良かった気がするけど、分かったらもっと面白かったのかな。

    今の日本に対して不満を持っているのは私も同じで、
    でも私もその他の大人と同じように、何をしていいか分からないし、何が違うのか分からないし、すなわち口で文句を言うだけになってしまう。
    かっこわるいって分かってるけど、それしかできてない。
    この本読んで、そこが悔しいと思った。

    ポンちゃんたちが何か国を動かすようなことをしてくれるのじゃないかというとき、一番ページをくるくるめくりたくなった。
    先が読めない、どうなるのかな…。というあの感じが好き。

    ポンちゃんたちの切実な目と、欲望の眼差しは何が違うのだろう。
    それは生きるという欲望なのではないのだろうか、結局のところ。

    それがなくて、どうしてポンちゃんたちはあそこまで行けたのだろう。彼らを動かすものは、何なんだろう。感情とか、欲望とか、そういうものじゃないのなら、なんなんだろう。

    「僕らが憎んだ大人とちっとも変わらない大人にしかなれないと思ったわけなんです」

    少年はいずれ青年になり、そして大人になる。
    永遠に子どもでいることはできない。
    なぜだかよくわからないけど、子どものうちにあった聖性はうすれてしまって、とにかく大人になる。
    素敵な大人がどんなものだか知らないけど、ポンちゃんたちは自分たちが嫌だと思っていた大人になりたくはなかった。

    その欲望は生きる欲望とはやはり違うのか。
    ポンちゃんは、敗戦後の日本でとうもろこしを作ってたあの少女とはやっぱり違うんだと思う。

    日本に希望があるのかないのかってことは
    すなわち日本に生きる個人の中に希望があるのかないのかってことで、
    この国に希望がないと言い放ったポンちゃんたちは、日本に希望がないと思っていたけど、本当は彼らの中に希望がなかっただけなのじゃないだろうか。
    希望を作り出したくて、日本を良いものにしようと(結局日本じゃないものを作ろうと)していたわけだけど、
    彼ら個人の中に「希望」が無い限り、その国もこの国も希望のあるものにはならないんじゃないのか。

    彼らの中に欲望がないのはそういうことだ。
    個人の問題を、社会に希望を持たせることで昇華させようとがんばったのだ。

    それで結局ポンちゃんたちに希望が芽生えるなら、私はそれで幸せだと思う。
    でも、そうでないなら、少しかわいそうだな。

  • 面白かった!

    的確。

  • 村上龍の作品だから、もっとなにか救いのない展開になるのかと思ったら、むしろさわやか系じゃないですか。予想外。
    でも、ややこしい経済の話がよく出てきてわけわからんかったなぁ。

  • 2001年に将来のことを予測しながら書かれた小説。
    インターネットにおける商売の予測が非常にすばらしい。
    中学校へ行かないことを決めた子どもたちがインターネットを通じてお金を稼ぎ、自立した生活を送るもの。希望のない社会を希望のある社会にしたいという思いがあって始まったことだが、結局希望が作り出せたのかはわからない。
    地域通貨は国を作るきっかけとなりうる。ただ、結局市場の中に入らざるをえなくなりそう。
    懐石料理の良さについて話している部分が面白かった。懐石料理は他の料理と違って、一口二口で1品を食べ終わることができ、1回の食事でこれほどの種類を出す食事は他の国にはない。

  • 希望だけがない国。緩やかに死んでいく国。
    格差はどんどん酷くなり、優秀な人材はこぞって国外へエクソダスし、約80万人の中学生が学校へ通うのをやめた国。
    2002年秋、中学生たちは無能な大人のせいで破綻する日本からエクソダスすることを宣言する。

  • 中学生が現状の教育制度を覆す革命を起こす。
    本質がどこにあるのか。若者がなすべきこととはなんなのか。最終的に何が正しいのかを言わず終わるところからも、よく考えさせられる本。

  • 「この国(日本)には希望がない」と言い、学校を捨てる中学生たち。彼らは自分たちの考えで、大人に頼らず、個々のスキルと発想を基に、全世界が注目する一大帝国をつくります。
    このことをあなたはどう思いますか?
    私たちは、そもそも、なぜ学校に行かなければならないのでしょうか?
    この本を読んで一緒に考えてみませんか?

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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