街場のアメリカ論 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 739
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167773687

作品紹介・あらすじ

私たちが「アメリカの圧倒的な力」と思いなしているものの一部は明らかに私たちが作り出した仮象である-誰ひとりアメリカ問題の専門家がいない大学院の演習での内田氏の講義と聴講生たちとの対話をベースに、日米関係、ファースト・フード、戦争経験、児童虐待、キリスト教などからアメリカを読み解く画期的な論考。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカという国は独特だなあ。どう考えても礼讃できるような国ではないよなあ…と疑問を抱いて久しい。でもそういうことあんまり言えない。
    その上、わたしは日本でその国の言語を教える人になろうとしている不思議。英語=アメリカでは決してないのだけれど。

    もっと事実を反映した、クールなアメリカ観を持たなくてはいけないなと思う。

    「第6章 子供嫌いの文化―児童虐待の話」は最近読んだ中で1番怖いと思う文章だった。「子どもはかわいい」と思えない文化ってどうなっているの。ぞっとする。弱者にやさしくなれない社会は破綻するのが目に見えている。
    「第4章 上が変でも大丈夫―アメリカの統治システム」はすごく腑に落ちて、納得できること自体危ういのかもしれないけど、人間は間違うということを、勘定に入れた方がいいのかどうか、わたしはまだ判断しかねる。

    勉強になりました。これからもっと考えよ。

  • 相変わらず論理的で、具体的でわかりやすい。
    でも、個人的にアメリカ論に興味がないとわかった。

  • 著者が2003年に大学院で行った演習をベースとして、2005年に刊行された書。

    「歴史学と系譜学――日米関係の話」、「ジャンクで何か問題でも?――ファースト・フード」、「哀しみのスーパースター――アメリカン・コミック」、「上が変でも大丈夫――アメリカの統治システム」、「成功の蹉跌――戦争体験の話」、「子供嫌いの文化――児童虐待の話」、「コピーキャッツ――シリアル・キラーの話」、「アメリカン・ボディ――アメリカ人の身体と性」、「福音の呪い――キリスト教の話」、「メンバーズ・オンリー――社会関係資本の話」、「涙の訴訟社会――裁判の話」の11章から成っている。

    秀逸だと思ったのは、アメリカン・コミックと日本のヒーローものアニメに関する話。

    著者は、アメリカン・コミックのヒーローは、「例外なく特殊な能力を持つ白人男性」で、普段は「市民的な偽装生活を送ることを余儀なくされ」、活躍しても「どういうわけか必ず誤解されて、メディアからバッシングを受け」、かわいい女性が一旦「ヒーローに対して懐疑的になる」もののその「無私の美しい心を知り」励ましてくれる、というワンパターンを見せるが、これはアメリカ市民が国際社会に対して抱いている本音の不満の表出だと分析する。「悪を倒して、世界に平和をもたらしたのに誰も感謝してくれない、というアメリカのサイレント・マジョリティの切なる声」が「スーパーヒーローのこうむる無理解と受難という説話原型に繰り返し回帰してくる」のだと。

    一方、日本のヒーローアニメの典型は、「無垢な子供しか操縦できない巨大ロボット」、「巨大でメカニカルな「モンスター」は無垢な「心が入っているときだけ正しく機能し、「心」を失うと暴走してしまう」というもので、「ここには戦後日本人が幻想的な仕方で処理しなければならなかった二つの「ねじれ」が入り交じっている」、という。すなわち、「自衛隊(軍国主義的なもの)と憲法九条(戦後民主主義的なもの)の「ねじれ」」と「アメリカと日本の「ねじれ」を「物語的に解決するのが「巨大ロボット」説話群」だと。

    こんな見方、初めて接したのでとても新鮮。ややこじつけっぽいところもあるけれど、ヒーロー物の屈折したストーリーのベースに、それぞれの社会が潜在的に抱えている不満や鬱屈があるという指摘は真相をついているんだろうなあ。

    アメリカの統治システムは、「人間はしばしば選択を誤る」というリアルな人間観の下、「むしろ統治者には徳や才がない方が(被統治者と同程度である方が)デモクラシーはスムーズに機能する」、「多数の愚者が支配するシステム」の方が「少数の賢者が支配するシステム」よりもよい、という思想の下で構築されたものだという。そして、「いかにして愚鈍で無能な統治者が社会にもたらすネガティブな効果を最小化するかに焦点化」し、大衆と意見が合わなくなった時は統治者を追い払えるよう「統治者を変えるときの手続きを簡便に」しているのだと。こうしてみると、アメリカの統治システムはもともとポピュリズムを肯定していることがよく分かし、、トランプ氏のような過激な大統領が登場する理由にも納得できる。

    アメリカの低所得層の人々に肥満が多い理由について、彼らが自己管理の出来ないルーズな人達だと見るのは間違いで、「豊かな文化資本を享受できない社会階層の怒り」を表現するために敢えて「豊かな文化資本を享受できない社会階層にステレオタイプなふるまいを演じてみせ」ている、と解釈するのは、(本人が自覚しているわけではなく、そのように振る舞わざるをえにい空気が醸成されてしまっている、ということなんだろうけれども)にさすがに穿った見方なんじゃないかなあ。低所得者層にだって痩せている人が大勢居ることだし。

    本書は、アレクシス・ド・トクヴィルを想定読者として書いたものだという。今日のアメリカ論として十分に通用するという約180年前の名著「アメリカにおけるデモクラシーについて」、読んでみたくなった。

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  • 久しぶりに内田本を。

    アレクシス・ド・トクヴィルに献呈するという
    記載から始まっているので、いつもの内田節
    と違うのかな?と思ったけれど、そんなものは
    杞憂に過ぎなかった(笑)。
    ページをめくるそばから、いつもの内田節が
    さく裂!

    のっけから、この本を書くに至った経緯の中で、
    こうおっしゃる。

    “私はもともと仏文学者であって(今ではその
    名乗りもかなり怪しいが)、アメリカ史にも
    アメリカ政治にもアメリカ文化にもまったくの
    門外漢である。非専門家であるがゆえに、どの
    ような法外な仮説をたてて検証しようとも、誰
    からも「学者としていかがなものか」という
    隠微な(あるいは明確な)圧力をかけられる心配
    がない。”
    “この立場はアメリカを論じる場合には、単に
    「気楽」というのを超えて、積極的に有利な立場
    ではないかと思い至ったのである。”

    この割り切り(と言うか、開き直り?)ぶりが、
    ある一定の読者層をとらえて離さない理由の一つ
    なのはまちがいない。

    そして、この一冊は、うんうんと頷くことよりは
    「うわー、そう来たかぁ!」と思うことが多かった。
    そのうちの一つが、アメコミを題材にした第3章で
    展開したアメリカン・ヒーローが象徴するものと、
    日本のヒーローのそれとの比較。
    そんなのアリ?と思いつつ、最後は納得してしまう。
    また内田マジックにやられた。


    そう言えば、偶然にも昨日(5月29日)の朝日新聞
    土曜版beに、内田センセイの凛々しい姿が。

  • 街場シリーズの中でも比較的話題になった本。なるほど。

    [more]<blockquote>
    P36 「原因」という言葉が使ってある時は注意が必要ですよ。「原因」という言葉を人が使うのは,「原因」がよくわからない時だけなんですから。

    P38 「わかる」ようになるためには自分で「わからないこと」を経験して,ほとほと「困る」ことが必要なんです。【中略】自力で考えるためには歴史上のランドマークになる出来事とその年号を覚えることがまず必要です。

    P57 系譜学的思考は、現在から過去に向かって遡行しながら,その都度の「分岐点」をチェックして,「どうしてこの出来事は起きなかったのだろう?」というふうに考えてみることです。

    P61 私たちの前に広がる未来が可塑的であるのと同じように,過去のすべての時点で未来は可塑的であったということ- 過去についてのある種の想像力(それは未来についての想像力と同室のものだと思います)

    P83 アメコミの衰退は,アメリカというとても文化的自由度の高い社会で,どんなふうにして一つのジャンルが死滅するかを示すとてもよい研究材料だと思います。

    P110 (アメリカの統治について)いかにして賢明で有徳な政治家に統治を託すかではなく,いかにして愚鈍で無能な統治者が社会にもたらすネガティブな効果を最小化するかに焦点化されているのです。

    P117 アメリカの建国の父たちは「アメリカが今よりよい国になる」ための制度を整備することより「アメリカが今より悪い国にならない」ための制度を整備することに腐心したからです。

    P158 フェミニズムは、欧米の文化に「女嫌い(misogyny)の伝統が伏流していることは正しく指摘してきました。でも「子供嫌い(pedophobia)」の文化の社会学的意味について考察する人があまりおられません。

    P203 彼の地では「わかりやすい表現」を使わないとメッセージが相手に届かないのです。
    ある種の社会的意見を表明するためには,「社会的意見の表明方法」としてあらかじめ登録済みのものを使用することしかできない。

    P231 絶対にリークが許されないようなものでも,メンバーズ・オンリーの「クラブ」では共有可能で,その希少な情報を巧妙に利用することで,クラブのメンバーたちはそれぞれの組織で影響力を拡大してゆきそれによってさらに良質のインサイダー情報へのアクセス権を得るということになります。</blockquote>

  • 32

  • 子供嫌いの文化
    西漸思想
    愚者による統治
    福音主義
    今読んでも色褪せてないアメリカ論

  • 2017/08/26

  • 新書文庫

  • 最近多作すぎて、読むのが追いつかないが、信頼してる書き手だ。

    トクヴィルも読んでみよう。

  • 日本のナショナル・アイデンティティは、「アメリカにとって自分は何者であるのか」という問いをめぐって構築されてきたという観点から、日米関係について考察をおこなっています。さらに、ファスト・フードや戦争、児童虐待、訴訟社会、キリスト教といったテーマを取り上げ、アメリカという国家のあり方を解き明かそうとしています。

    いつから内田樹は岸田秀になってしまったのか、と言いたくなるような、精神分析的な観点からのアメリカ社会の考察が展開されています。個々の議論ではおもしろいところも多々あったのですが、全体の枠組みについていけないところもあります。これまで著者に対して共感するところも多かっただけに、ちょっと残念です。

  • 楽しかったではあるけど、推論推論の組み合わせで話が構成されているから、たまに読んでいて大丈夫かなと不安になる。 でもアメリカでは、何故あんなにも太っている人が多いのか。何故ハリウッド映画は、子供嫌いを演出をしているのか、面白い答えを示していると思う。 しかし、アメリカは独特な国だな。てか、変な訴訟が多すぎる。。

  • 単にアメリカの文化、習俗を解説する本ではなかった。現代日本を知るための他者としてのアメリカ。アメリカなくして現代の日本はない。アメリカという国を具に観ていくことでこの日本をより深く知る。そのためのアメリカ論。
    そういう理路に根差した本だった。
    内田先生の炯眼が光る。
    合点のいくアメリカの捉え方。そしてそれはそのまま日本という国のあり方の理解、再認識に繋がっていく。

  • ファストフードやアメコミ、統治システム、サイコ(シリアルキラー)などなど、いつものレヴィナスではなく、トクヴィルというフランス貴族の「アメリカにおけるデモクラシーについて」という著作をもとに書いたアメリカ論。トクヴィルの著作は19世紀のものにもかかわらず、底から読み取れるアメリカという国の本質がほとんど建国当初から変わっていない事に驚き。

  • 内田先生の本は定期的に読むんですが、何を期待してるかと言うと、
    コンテンツではなくマナーなんですよね。
    話の内容もさることながら、ものの考え方を学ぼうということです。
    ものの書き方や、悪口の言い方なんかもけっこう学べます。

    で、今回のアメリカ論なんですが、元ネタは2003年の授業だとか。
    10年経った今でも十分にリーダブルでした。
    つまり、本質にかかわる記述が、分かりやすく書かれているということです。

    と言う訳で、今回はコンテンツ的にも収穫大ということで、星4つでございます。

  • かつて盲信的なハードロック少年だった私にとって、アメリカの原初的なイメージは「ハードロック王国」です。
    私がハマったのはモトリー・クルー、ガンズアンドローゼズ、メタリカ、ハードロックではないですがレニー・クラヴィッツほかいろいろ。
    日本人が逆立ちしたってかなわないハードロック王国。
    もちろん、軍事力も経済力も超一流。こんなことは自明過ぎて、誰も言わないほどに強大な国、アメリカ。特に冷戦終結後は、史上に冠絶する超大国として世界に君臨しました。
    「しました」と過去形で書いたのは、近年の凋落ぶりが著しいからですね。
    自動車の都・デトロイトの財政破綻に象徴されるように自動車産業の衰退は著しいですし、財政面でも機能不全が目立っています。良くも悪くも中国の存在感が増すことで相対的に国際的地位は低下しているのが現状ではないでしょうか。
    国力が減退してくると、それまで目立たなかった負の部分が露わになってくるもの。
    「この国、本当に大丈夫か?」と私が割と真剣に心配し始めたのは、堤未果著「ルポ貧困大国アメリカ」(岩波新書)を読んで以降ですから、5年前ですか。
    それまでわが国の「宗主国」であるアメリカの病的な実相を正面から取り上げた著作は珍しかったですから(だからこそあれだけ売れたのでしょう)、注目して読みました。
    こういう本が出版されて受け入れられること自体、アメリカという国の没落を物語っているような気がします。日本人にアメリカに対する疑念が芽生えていたのでしょう。
    読後の私の率直な感想は「あ、やっぱり、おかしい、この国」でした。
    でも、アメリカって、そもそもどんな国なのだろう。私は今まで真剣に考えたことはありませんでした。
    その疑問に明快に答えてくれるのが本書です(前置きが長くなりました)。
    大著「アメリカにおけるデモクラシーについて」を170年前に著したアレクシス・ド・トクヴィルを援用しながら、アメリカという国の本質をむき出しにします。
    アメリカがかくも好戦的なのは何ゆえか。内田先生はアメリカの歴史を紐解きながら、「戦争しないことよりも戦争に勝つことの方が同盟者を増やすうえでは効率的である」(P130)というアメリカ人が採用しているロジックを摘出してみせます。
    アンドリュー・ジャクソンやジョージ・W・ブッシュなど、しばしば無能な大統領を選んでしまうのは、「アメリカの建国の父たちは、『アメリカが今よりよい国になる』ための制度を整備することより、『アメリカが今より悪い国にならない』ための制度を整備することに腐心したからです。(中略)建国の父たちは『多数の愚者が支配するシステム』の方が『少数の賢者が支配するシステム』よりもアメリカ建国時の初期条件を保持し続けるためには有効であろうと判断したのです」(P117~118)などという指摘には膝を打ちました。
    アメリカ人が、「指を切り落とすとか、角を生やすとか、猫になってひげを生やすとか、蛇になって舌を真ん中からスプリットタンにしちゃう」(P198)など、常識的な日本人には理解できない奇行に及ぶのは、「身体を道具」だと考えているから。ワークアウトに熱心なのも、ドーピングへの抵抗が希薄なのも「身体を道具」だと信じて疑わないからでしょう。
    困ったものです。
    アメリカの政治、文化、社会構造に対して全編、辛辣な批判を加えていますが、どれも説得力に富んでいて頷けます。
    しかも、どうして私がこれまでアメリカという国の本質について考えてこなかったのか、その理由まで明らかにしてくれます。最後の最後、「文庫版のためのあとがき」にはこう書かれています。
    「その理由はやはり先の大戦での敗戦経験があまりに壊滅的だったからでしょう。あまりに徹底的に敗北したために、日本人は眼を上げて相手を見つめることさえできなくなってしまった」(P271)
    アメリカを理解しようとしなかったのは、どうやら私だけではなさそうで安心しました。
    本邦の指導層にもぜひ読んでほしい1冊です。そして問うてみたい。「本当にこの国についていって大丈夫ですか?」と。

  • 根本的に考えてみるというのは楽しいことだなあ。なるほどなあということがいっぱいあった。

  • 内田先生がアメリカや中国(中国論はまだ読んでないけど)についても、鋭い考察を繰り広げることができるのは、視野の広さもあるけれど、専門分野に対する切り込みの深さもあるのだろうなあ。本当にいつもすごいと思ってしまうし、納得させられっぱなしだ。

  • さすが内田先生。 暴力や戦争といったアメリカ社会の典型的な論点について、独特の切り口から掘り下げている。 

    時間をあけて再読したい。

  • 「理念先行」「子ども嫌い」「アメリカ人の自己像は少年」(最後のは町山智浩曰く)
    あとはアレクシ・ド・トクヴィル、すげー。

  • 読み応えあった。なるほど‼な見方だった。

  • 本屋さんを探してついに発見。
    表紙の星を区切ったようなデザインが好みのセンスです。

    ・日米関係の考察
    ・ファーストフードとスローフード
    ・アメリカの戦争に関する考察
    ・児童虐待とその背景
    ・キリスト教のアメリカにおける在り方
    に関しての、著者なりの考察が述べられています。

    内田さんの本の素敵なところは、その問題について基礎知識のない人間にも分かりやすく、背景や推移を明示してくれるところです。
    基礎なくして応用なしなので、根本を(たとえそれが一意見だったとしても)〇〇で~と示してくれるのは助かります。
    個人的に、アメリカ憲法の構造に対する自説や、訴訟大国としてのアメリカの内情への批判についてなるほどと思いました。
    こういう本を読んでいると教養の重要性をひしひしと感じますね。

  • ■書名

    書名:街場のアメリカ論
    著者:内田 樹

    ■概要

    私たちが「アメリカの圧倒的な力」と思いなしているものの一部は
    明らかに私たちが作り出した仮象である―誰ひとりアメリカ問題の
    専門家がいない大学院の演習での内田氏の講義と聴講生たちとの対
    話をベースに、日米関係、ファースト・フード、戦争経験、児童虐
    待、キリスト教などからアメリカを読み解く画期的な論考。
    (From amazon)

    ■感想

    久しぶりの内田さんの本です。

    この本は、フランス人の政治思想家トクヴィルが読んでも理解出来
    るような本という位置づけで書いた、アメリカ論です。

    つまり、誰が(この世にいない人が)読んでもある程度理解出来るよう
    にアメリカの普遍的事項について考察した本となっています。

    実際、ここに書いてある事が普遍的な事か否かは私には分かりません
    でした。しかしながら、他の本と重複する部分もありますが、相変
    わらず、面白い考察だと思います。

    一部では、根拠が無く断言している個所があったり、ん?それは本
    当か?と思うような個所もありましたが、一つの意見として読めば
    楽しめる本だと思います。

    まだ読んでいない、他の街場シリーズも読んでみたいと思います。

    ■気になった点

    ・原因というのは原因が分からない時だけ人間の脳裏に浮かぶ概念
     なんです。

    ・歴史について他人の意見をそのまま鵜呑みにするという事は、知性
     の活動を放棄する事だと思います。

    ・歴史的な出来事の意味を理解するためには、「なぜ、この出来事は
     起きたのか」だけでなく、「なぜ、この出来事は起きたのに、他の
     出来事は起きなかったのか」という問いも同時に必要なんです。

    ・機能的文化からイノベーションは生まれません。

    ・「そこに何かあった」ということを信じさせる最も効果的な方法
     は「それはもうなくなった」と告げる事です。

    ・アメリカ人はわずかの軍功を過大評価する。

    ・一度うまくいったやり方を人間はなかなか改められない。

    ・自然災害で一時的に無秩序になると、たちまちレイプや略奪が行
     われるということは、近代市民社会として倫理的成熟に達して
     いないという事です。

    ・親族が死んだとき、もっと愛情をそそぐべきであったかと自責を
     覚えるのは無意識であれ、その人の死を願っていたからである。

    ・情報をリークすることよりもしないことから大きな利益を得る人
     間は、情報をリークしません。

    ・制度改革とは制度がうまくいってない時にしか必要ない。

  • 「アメリカの映画やドラマに出てくる子どもは(性格が)かわいくない」とか「アメリカは身体加工への抵抗がきわめて希薄な国である」とか、読みながら、なんか分かる~と実感することばかり。
    アメリカは、イギリスからピュアなものだけを持ってきてポンと出来上がった新しい国なんだ、ということを改めて認識。イギリスで歴史を積み上げて作り上げたものをポンと持ってきてできた理想の国・アメリカがだんだんいびつに歪んでゆく様が、出来上がった原子力の技術をポンと持ってきて破綻しかかっている日本の原子力発電に妙に重なっている気がする…。コワイコワイ。新しいことも大切だと思うけど、やっぱり積み重ねられてきたものも大事しないと、ということを感じました。

  • 内田樹氏は言う
    『アメリカのような国は アメリカ以前には存在しなかった』

    ウェルズは アメリカ以前を 『身分の社会』
    アメリカ以後を 『契約の社会』と呼んだ。

    たしかに アメリカの前に アメリカのような国はなかった。
    歴史がない というのは 起源に戻るとしたら
    独立宣言 しかないという アメリカの強みは
    あらゆる形で 発揮される。

    そのために アメリカは 権力の集中を 制度的に
    許さない。人間の悪があることを認め それを刷り込んでいる。

    日本は どうも 違った国のカタチを作り上げている。
    そして 中国は いかに権力を 集中させるかで
    国を統治しようとしている。

    日本という国は 首相が わずかな期間で 交代していく
    というシステムは 日本的なよさといえる。
    権力者の賞味期限が短い。
    しかし、田中角栄のように 首相が逮捕されてしまう
    というのは 明らかに もう少し違った ところに
    権力者がいるということになる。

    アメリカは 演劇的戦争・・・
    物語を作り上げて 戦争を仕掛け、戦争することで
    同盟国を増やしていく・・・・

    しかし、テロリストネットワークには
    今のアメリカの 演劇的な戦争が 通用しない。

    アメリカの母親の生態
    子供が邪魔 子供が嫌い・・・・という 状況と
    その育った子供が シリアルキラー になる
    ということが・・・・アメリカの深層部 だとおもった。

    なぜ そのような 子供が嫌い・・・
    になるか?は 食生活の問題だろうか?
    内陸部の ミネラルがない食生活が 大きく影響している。

    中国においても 同じような現象が見られる。
    子供たちが おじいちゃんおばあちゃんにあずけ 育てられて
    親たちは 働きに 出かける。

    なにか 薄ら寒くなる 状況が アメリカにはある。

    エドゲインの持つ現実は
    かなしいほど・・・つらい。
    母親を崇拝し 母親がいなくなることで
    孤独感にさいなまされ・・・暴走を始める。
    自分の中に 悪魔が 舞い降りる。

    その悪魔は ニンゲンをニンゲンと思わない。

  • 内田樹先生の好評のシリーズ
    アメリカというものを冷静な視点で分析しています。
    アメリカというよりも、アメリカ人か。かの地の人々が何を考えているかその思考を非常に分かりやすく解説。
    日本人にとって非常に近い他人であるアメリカ人だからこそ、我々がアメリカを見る際に感情のフィルターを抜くことは困難。それを取り払って見事に目を開いてくれました。

  • おもしろかった。ただ、アメリカに住みたくはなくなった。。。。wと、多少の私的な感情がやや気になる。

  • (以下引用)
    このような条項が入っているのは独立戦争のときにアメリカには正規軍が整備されていなかったことが理由にあります。国家的独立を守るためには市民全員が武装しなければ間に合わないという状況的要請があって、市民の武装はむしろ国家の側から懇請されたのです。その結果、アメリカでは二億二千二百万の銃が民間に存在し、毎年二万人が銃で殺されるという銃大国になっていますが、それはまた別の話です。(P.156)

    訴訟に至らないまでも、大学にクレームをつけてくる親の数は年々急増しています。これは大学人としての言い分ですが、それほどに大学の教育サービスの質が落ちたとは思いません。むしろ、トラブルが起きた時に、自分の責任はなかったことにして、声高に「責任者出てこい!」と怒鳴る人々が急増しているという印象を私は持っています。それは別に日本人が怒りっぽくなったとか、幼児的になったという単純な事実ではなく、そのようにふるまうことこそ「政治的に正しい」のであるという歪んだ思想がしだいしだいに私たちの社会にも浸透してきたことの効果ではないかと思われるのです。((P.258)

    いくさに敗れた国民の選ぶべき基本的なマインドセットは「臥薪嘗胆・捲土重来」です。古来そう決まっている。そのようなマインドセットを維持している限り、現実にそれほど軍事的・外交的に圧倒されていても、敗戦国民は戦勝国を「まっすぐ見つめる」ことができる。目をそらしたり、耳をふさいだり、記憶を改竄したりする必要がない。そのようなリアリズムの上にのみ「敵との歴史的和解」という「方便」も構想される。誇りある一国民国家として、対等の立場で敵国との「次の戦い」を放棄するという宣言に署名することができる。僕たち日本人にできないのはこのことです。アメリカに負けたときに、日本人は「次は勝つぞ」ということを国民的合意にすべきだった。それがどれだけ非現実的な夢想であっても、日本人同士の心の中では、そのことを確認しておくべきだった。そう思います。けれでも、あまりに徹底的に負けたために、戦争末期の指導層があまりにも無能だったため、「誇りある敗戦国民」という立場をとることさえできなかった。「次の戦争でアメリカに勝つにはどうしたらいいか」という問いの立て採用しなかった。(P.272)

    アメリカが没落し、西太平洋から撤退した後の日本は、このままでは「主人のいない従者」「本国のない属国」「宗主国のない植民地」になる可能性が高い。これは考えうる最悪の国のありようの1つです。そうならないためにも、改めてアメリカについて考えること、より厳密にはアメリカについて考えるときに日本人はどのような知性が不調になるのかについて考えることが要請されているとぼくは思います。(P.274)

  • 街場の中国論からアメリカ論を続けて読みました。数年前のアメリカ論ですが、今でも読んで損はない内容でした。

    アメリカンドリーム
    This is America

    アメリカのイメージっていつも強気で夢が叶うようで、自由で・・・そんなイメージのアメリカと、その中に囚われたアメリカ病が凄く納得できました。
    「アメリカは初めから夢の国である」という考えがまさに全てだと感じました。アメリカに対する期待はアメリカが出来てからずーーっと、(アメリカ人だってもそうじゃない人も)変わらないんだね。

    現状、覇権国家として、先進国として今までのアメリカのイメージが崩れてきた今だからこそ、この本の内容がすっとはいりやすい。

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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