『罪と罰』を読まない (文春文庫)

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 171
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913205

作品紹介・あらすじ

読まずに読む!ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことのない四人が、果敢かつ無謀に挑んだ「読まない」読書会。単行本刊行時に大きな反響を呼んだ前代未聞の試みに、岸本佐知子の「文庫版あとがき」矢部太郎の「解説マンガ」を加え、パワーアップして文庫化!「読む」愉しさが詰まってます。目次読まずに読む 吉田篤弘読まない! 未読座談会・其の一読むのかな… 未読座談会・其の二読んだりして… 未読座談会・其の三『罪と罰』登場人物紹介 三浦しをん記憶の謎と謎の影絵 吉田浩美『罪と罰』あらすじ 三浦しをん読んだ! 読後座談会読むのはじまり 三浦しをん読まないを読む、何度でも 岸本佐知子解説マンガ 矢部太郎

感想・レビュー・書評

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  • 読んでないのに、推理してどうするんだ。
    と思いながら、読む。
    もうねえ、『島耕作』とか『slam dunk』式とか、なぞらえ方から笑えるんですよ。
    (と思ったら私のレビューも『デスノート』になぞらえてんじゃん、怖!)

    ラスコーリニコフはきっとこういう理由で、お婆さんを殺したんだとか、ソーニャのことは単に見た目で選んだんだとか、小説のページをランダムに朗読しながら、わちゃわちゃしてるのが楽しい。
    あー。こういう会、ありだなー。

    で、結局のところは読むのですよ!(笑)

    その後、もう一度集まってわちゃわちゃするんだけど、ほぼ満場一致でスヴィドリガイロフ推しに変わってるところが笑える。
    最後に矢部太郎のあとがき漫画が挟まれていることも、訳分からんテイストに仕上がっている。
    (個人的には、吉田浩美が影絵影絵言うのを、影絵原理主義と言い表わした一コマが、非常に気に入っています)

    ただ、これが一冊として成立するのは、『罪と罰』が想像の斜め上を突っ切る作品だからなんじゃないかなと思う。
    一見、読んでたら格好よさげに見られ本で損してる所はあると思うけど、読んだら「ある意味」すげぇ本読んだな、ってなんか達成感があると思う。
    でも大人が読むより、中高生の方がきっと味わえる。

    そんなわけで、この本を『罪と罰』の横に配置して欲しい。
    相手は新潮と光文社だけど。
    この機会に文春でも新訳だしたら良いのでは、ちょっとライトな訳にしても面白いと思う。

  • 恥ずかしながら私自身も『罪と罰』を読んだことがありません。そもそもロシア文学は長ったらしい舌を噛みそうな登場人物の名前を覚えることを考えただけで億劫だし、しかも長編。絶対無理!一生読むことはないだろうと諦めていたのですが、この本はとても楽しく読めました。この勢いなら本家『罪と罰』も読めるかもしれない。

    4人の未読座談会は、自分も未読ゆえ参加している気分で読めました。4人の役割分担というかキャラクターもちょっと面白い。しをんさんはエッセイでもお馴染みの妄想暴走キャラで、突拍子もない妄想ストーリーを独自に展開するので随所で爆笑。ロシアについての基礎知識が『社長島耕作』なあたりも傑作。翻訳者の岸本佐知子さんは意外にもしをんさんの妄想に乗っかり一緒に暴走するタイプ、篤弘さんはやや冷静に軌道修正し、原作は未読だがNHKの番組で影絵を見たことがあるという浩美さんは時々ヒントを出す(しかしこれ実は記憶違いも多かったらしく、解説マンガの矢部太郎さんの「影絵原理主義」という言葉に爆笑してしまった)

    登場人物をラスコ、マメ、スベ等と省略するのは賢い覚え方だと思った。ロシア文学はほんと名前のハードル高いから・・・。未読座談会ののち、結局4名とも原作を読了、さらに読後の答え合わせ座談会が開催されるわけですが、こちらは脳内キャスティングに爆笑。松岡修造、ヴィゴ・モーテンセン、片岡愛之助、スティーヴ・ブシェミ・・・きっと私が読むときにはこのキャストを最初から思い浮かべてしまうんだろうな。

    「読まずに読む」という、すごく新しい試み、冒頭の篤弘さんのエッセイの言葉を借りれば「本を読まずに、本の内容を推しはかる」という「読んだことがない者だけが楽しめる遊び」。私自身も今まで読まずにきた甲斐があったというもの。この楽しい気分のまま、できれば『罪と罰』にチャレンジしたい。今読まなければ本当にもう一生読まなさそうなので・・・。

    ※収録
    読まずに読む(吉田篤弘)/読まない!(未読座談会・其の一)/読むのかな…(未読座談会・其の二)/読んだりして…(未読座談会・其の三)/『罪と罰』登場人物紹介(三浦しをん)/記憶の謎と謎の影絵(吉田浩美)/『罪と罰』あらすじ(三浦しをん)/読んだ!(読後座談会)/読むのはじまり(三浦しをん)/読まないを読む、何度でも(岸本佐知子)/解説マンガ(矢部太郎)

  • 『罪と罰』を読まないで「『罪と罰』を読まない」を読む!むしろ読まないで読んだ私のほうが読んで読まないを読んだ人よりも読めたのでは(嘘です)。文庫のあとがきと矢部太郎の漫画もお得で、「罪と罰を読まない」を読まないで文庫で読んだ私ってラッキー、みたいな…♪ まずは分かってたけど三浦しをんの三浦しをんらしさ笑、岸本さんと三浦さんの女子校のノリや、吉田夫妻が読んでない手塚治虫版で家で喧嘩になるのとか、この4人の組み合わせが良いのだと思う。絶対に拒否されると思うけど、ぜひ「カラマーゾフ」もやってほしい、、、

  • 名作「罪と罰」を読んでない4人で、「罪と罰」の読書会を開催、どんな内容なのか予想し合い、読んだ後に再度本当の読書会を開く、という内容。
    おっもしろーい!すぐ読み終えた。
    「罪と罰」(というかドストエフスキー)って読書好きとして読んでないとどうなのと思い、挑戦するも挫折のパターンがまあまあある本だと思う。自分もその一人。新潮文庫版上巻は買いました。挫折しました。でも心のどこかで「ここまで名作なのだから、何か得るものがあるはずで、それを見逃してるんではないのか」とずうっと気になってる。そんな本について、未読読書会を開いてくださるとは!未読読書会という発想がなかったけど、これが面白い。予想するって楽しいよね。自分も未読なので一緒に予想してました。未読読書会の後は皆さん実際読んで読書会してたけど、この本は登場人物表、あらすじと載せてあるので、一気に読みたかった私は本家「罪と罰」を読まず、4人の読後読書会も読んでしまいました。ああ、確かに「罪と罰」面白そうだなと思った。私の本の好みがこの本とは全く別なので、今すぐには読まないけど、いつかは読めるかもしれないと思わせてくれた本だった。
    私みたいに読んでない人はもちろん、読んだ人も4人の予想にツッコミ入れながら楽しく読めるんじゃないかと思う。
    最後にメモ。「島耕作」、すごすぎるよ!役に立ちすぎ!

  • 作家など4名が「罪と罰」を読んでいない状態で集まって、いくつかの断片情報から中身を推測する。そして、中断の後、読んで再度集まって感想を語り合うという何ともユニークな内容。実に楽しい。これは私自身が既に読み、何度も読み返しているが故の面白さかも知れないが…。4名が一致して副主人公スヴィドリガイロフに魅力を感じている!という点は流石に彼らがプロの文章書きであることを物語っているように感じる。ドスト、ラスコと言ってみたり、4名の好き放題の話し合いが成立し本になってしまうことに、変な感心!ただ、ソーニャへの理解が今一つだと感じたが、これは彼らのキリスト教への理解が不足しているためなのだろう!

  • 文豪・ドストエフスキーの代表作のひとつ、『罪と罰』。それを読んでいない4人が、未読のまま内容を推理し、その後、実際に読んでから再び語り合う。
    趣向としても面白いのだが、最初の座談会では誰も読んでいない筈なのに、けっこう鋭いところを突くこともある。案外、ミステリやサスペンスの作劇手法は、当時も今も変わっていないのかもしれない。
    読後座談会でも多くのページが割かれているが、ドストエフスキーは普通にエンターテインメントとして面白いのだ。この先、『罪と罰』だけでなく、『カラマーゾフの兄弟』『白痴』『悪霊』辺りも、同じ座談会をやって欲しい(しかしこの場合、同じドストエフスキーではなく、〝アンナ・カレーニナ〟や〝戦争と平和〟辺りにした方がいいのだろうか?)。

  • まずは目次を。
    (まえがき的な)
     読まずに読む 吉田篤弘
    (前段階、が本論)
     読まない! 未読座談会・其の一
     読むのかな… 未読座談会・其の二
     読んだりして… 未読座談会・其の三
    (インターバル)
     『罪と罰』登場人物紹介 三浦しをん
     記憶の謎と謎の影絵 吉田浩美
     『罪と罰』あらすじ 三浦しをん
    (読後)
     読んだ! 読後座談会
    (あとがき的な)
     読むのはじまり 三浦しをん
     読まないを読む、何度でも 岸本佐知子
     解説マンガ 矢部太郎

    完全に企画とタイトルの勝利。
    集められてきた読み巧者が、表面上はぐだぐだ駄話をするように、未読読書会をする。
    「ラズミーヒンって名前、馬っぽいよねー」とか「ロシアって島耕作ではこんな場所だったよ」「課長?」「いや社長」とか、もはや「うざ微笑ましい」レベルの。
    ただし「日本では江戸時代だから」とか読み巧者としての面目を保つ想像力の広げ方もする。
    ただし、ルールがなし崩しになっていく様子が、ゆるくていいという意見もあろうが個人的にはイライラを募らせた。
    冒頭と結末を訳すときに実はちょっと前後を読んじゃったんだよねー、とか、「影絵的にはねー」とか言っちゃうリアルウザ女や、「このへんで登場人物一覧表を渡してあげましょう」という立会人とか。グダグダすぎやんけ。
    と、こう書いたが、全体としてはもちろん面白い。
    実はそれぞれの強みが活かされているのも企画の勝利。
    岸本さんの英語からの翻訳、篤弘さんらしい(クラフト・エヴィング商會っぽい)昔の資料探索、そして三浦さんの妄想力!
    ラジオでよく声を聴いているが、あの語りでサービス精神満点で膨らませてくれるので、ありがたい。

    んで、実はやっぱり、読後感想会のほうがやはり面白い。
    あえてロシア文学者を入れない人選が、ここで効いている。
    当時のロシアの刑法ってどうだったんだろう、というのは誰しも気になるところだが、専門的な解説は不要なのだ。
    ラズミーヒンを松岡修造でキャスティングしたり、ラスコを「いきなり帰るマン」「一人にしといてくれマン」「ちょっと抜け作マン」と呼ぶあたり、読書の楽しみそのもの!

    まえがきとあとがきで触れられた「読んでいない状態から読んでいる」という考えは、奥泉光先生が「タイトルを読んだだけで読書だ」という意見と同じだ。

  • ある程度は予想していたことだったが
    それを遥かに越えて4人の「未読会」が自由で、
    声を出して笑いながら読んだ。

    わたしの「本を読む」体験も
    これから、より豊かでより自由なものになりそうだ。

  • 面白かったー!!
    みんなが話してる内容を読んでる間にわたしも罪と罰を読みたくなって、読んだあとの話に読めばよかったー!てなりつつ、あとがきに、読書の楽しみを再確認。読書は楽しい、そしてみんなで読むと話すとそれも楽しい。
    読み方感じ方にも、読書を楽しむ方法を教えてもらった。

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著者プロフィール

翻訳家。訳書にリディア・デイヴィス『話の終わり』『ほとんど記憶のない女』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、スティーブン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』など多数。編訳書に『変愛小説集』『楽しい夜』『居心地の悪い部屋』ほか、著書に『なんらかの事情』ほか。2007年、『ねにもつタイプ』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2019年 『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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