美しい距離 (文春文庫 や 51-2)

著者 : 山崎ナオコーラ

• 文藝春秋 (2020年1月4日発売)

感想・レビュー・書評

[nightmare5296さんの感想 · 2021年1月30日]

「悔いの無いように生きなさい」と言うけれど、最期のひと時ほど「かくあるべき」とまるで身の程を問われるようで。自分の人生の最期に弁えなければならない身の程ってなんだろう。
尊いものの前で嘘をつくのを出来ればやめて、感じるままを理想ってことにしたい。

人それぞれいろんな状態にいて、今の自分にはこういうことは出来ないんだなと諦めなきゃいけないこともあるだろうけど、それを他人に決められるのは絶対につまらないはずだから、僕も軽率に誰かにそれを言うのは今後は無しにしようと改めて思った。
職業上もそういう言葉は避ける。

自分の死後に希望を持とうとするとき、何かを残したい、特別な何かを残すことが出来たなら、繋ぐことが出来たならと考えていた。今もそう考える。
だけど最後のシーンの余韻の中でそれとは違う希望も抱くことができた。
ナオコーラさんはすでに美しい距離を目にしたんやな。すごいな。

[naomiさんの感想 · 2021年1月26日]

夫婦や生死について、新しい視点を提供してくれる作品でした。死ぬことに対する恐怖が、少しやわらいだ気がします。

[神戸国際大学情報センター（図書館）さんの感想 · 2020年7月29日]

https://bit.ly/335KGdw

[yh1965さんの感想 · 2020年6月16日]

淡々と書いてある。夫婦の在り方。

[kmkさんの感想 · 2020年6月10日]

2時間半で読了
ガンになった妻との日々を描いた作品。お涙頂戴的なドラマチックな展開は無く、静かに、淡々と、押し付けがましくない文章で、夫と妻と周りの人々との関係性を描いている。最後は染み渡っていくような静かな悲しみもありつつも、浄化されるような穏やかな気持ちになった。山崎ナオコーラ、好きかも。

[岐阜聖徳学園大学図書館さんの感想 · 2020年5月27日]

岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00602446

ある日、サンドウィッチ屋を営む妻が末期がんと診断された。
夫は仕事をしながら、看護のため病院へ通い詰めている。
病室を訪れるのは、妻の両親、仕事仲間、医療従事者たち。
医者が用意した人生ではなく、妻自身の人生をまっとうしてほしい――
がん患者が最期まで社会人でいられるのかを問う、新しい病院小説。(出版社HPより）

[ゆーさんの感想 · 2020年5月17日]

がんを患った妻を看取るお話。

[小鳥遊棗さんの感想 · 2020年4月22日]

主人公に共感できるところも、できないところもたくさんあった。
主人公が傲慢だと思うこともたくさんあったけど、
でもそれはもし自分が彼だったら多分同じように
「自分はこの人の配偶者で、家族で、誰よりも近い存在だから」という自分の中の前提のもと考えてしまうことかもしれない。

さっきまで生きていた人が、人に手を合わせられ、
敬語で話されるような、神様に近い存在になる。
でもそれは悪いことでは無いのだ、
距離が遠くなることも近くなることも、変動していくことが美しいのだ。
なんだか新しい視点が自分の中に生まれた気がする。

病気の人だって家に篭ったまま家族とだけ過ごすという選択以外をとってもいいじゃないか。
好きな人に会って、ただ会うだけでもいいじゃないか。
死を特別視しなくても、病気に勝とうとしなくてもいい。
誰かが作った物語を生きなくてもいい。

読書とはこういうものかもしれないし、それって人生も同じかもしれない。

[そさんの感想 · 2020年4月5日]

夫婦の距離。

父の骨を拾った後、母が出会った頃の父のことを語るのを初めて聞いた。愛おしそうに。

[kwrlogさんの感想 · 2020年3月28日]

2016/11/15：ハードカバー
2020/03/28：文春文庫

初読の際いたく感動して人に勧めまくった本作だけれども、改めて読み返すと結構気になる部分が多かった。
特に主人公のものの考え方というか捉え方みたいな部分にちょっと引っかかりができてしまい、その小骨がいつまでも刺さっている感じだった。
だけれども、全体として好きな小説であることに変わりはないし、良い小説だとは思う。

著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』（河出書房新社）、『論理と感性は相反しない』（講談社）、『長い終わりが始まる』（講談社）、『この世は二人組ではできあがらない』（新潮社）、『昼田とハッコウ』（講談社）などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」