- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198943233
感想・レビュー・書評
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親友が自分への裏切りの烙印を消すと言って、謎の死を遂げる。自分が親友を信じられなかったばかりに、泉は警察事務員だか、事件に向かって行く。
警察内部の知らなかった事実。ひとつひとつ真相に近づいていく。
その真相を知った時、泉のとった行動は。柚月先生の作品はいつも物語にどんどん引き込まれて行く。
それぞれ人物の心理描写が凄い。不条理な世の中、必ずしもスッキリとしない展開。でも主人公の泉の行動、決断には応援したくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
月下のサクラを先に読んでおり順序が逆になったが、刑事を志したモチベーションの成り立ちを振り返るように読めた。公安が悪者一辺倒だと更なる続編は厳しいか。新展開に期待。
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柚月裕子の小説は話の展開が興味深くすぐに引き込まれる。2015年2月に単行本、2018年3月文庫本。
県警で広報の職員で県民安全相談係の森口泉29歳が主人公。ストーカー殺人事件が所轄の不手際でクレームの電話対応に追われるところから物語は始まる。
ストーカーの被害を所轄署に何回も訴えていたのになおざりにされ、しかも署で慰安旅行に行っていたことが地元の新聞社にスクープされた結果のクレームだった。そしてその新聞社の泉の高校生時代からの親友だった女性記者津村千佳が殺された。親友はスクープ記事に裏があると調べ始めた矢先に殺された。泉は親友が殺された訳を調べ始める。
警察学校時代の同期で3歳年下の所轄署の刑事磯川俊一、泉の上司の県警広報の課長富樫隆幸、富樫の同期で県警捜査一課の課長梶山浩介、3人の協力で事件は解決に向かう。しかしながら事件には裏があり、警察の暗部があぶり出される。
最後のどんでん返しの真実は予想は出来たが、悪は悪でも正当化されるのか、その疑問に答えることなく終わり未消化感が残る。やはり続きの次回作があるようでそれを読むとスッキリすることを期待しよう。 -
事件発生も犯人の目星も含めて物語の展開が突然過ぎてイマイチ入り込めなかった。
また最後の公安云々の課題提起も何か素直に受け入れ難い。
検事ものは素晴らしい作品を書く柚月さんなので期待が大きかったのですが、本書は物足りなさを感じました。 -
柚月さんの警察小説でした。
何かしら不穏な空気を感じさせつつ進むストーリー。やはり最後はそうきたかと言う感じでした。
まだ続いていくのかなぁ。 -
警察の対応のまずさでストーカーに女性が殺された事件、実は警察は対応どころか、慰安旅行に行っていた。それがマスコミにすっぱ抜かれ、そして、主人公森口泉の友人、すっぱ抜いた新聞社に勤める千佳が殺される…。
骨組みはしっかりしていて、ハラハラしながら読めるけど、話の終わりがすっきりしないかんじとか、裏で暗躍した人の仕事の雑さとかが腑に落ちなくて、ちょっと残念だった。 -
警察の怠慢に端を発するストーカー殺人事件、特ダネスクープに通じる情報漏洩、真相を探る親友や鍵になる人物の相次ぐ死と一気に作中に引き込まれる。主人公の泉が警察職員であっても警察官でないってのが、最後に組織の巨大な闇を暴こうとも太刀打ちできぬ、そんなモヤモヤを容認させる。サクラは朽ちず。思えば不気味なイメージの公安にサクラの呼び名は合わぬ。でも、日本人は桜好きってわりに、客寄せの偽客のことをサクラと呼んだりするものね。泉さん、どうやら警察官となってこのたびのわだかまりを解かんと挑まれるようで。応援いたします。