朽ちないサクラ (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198943233

感想・レビュー・書評

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  • 親友が自分への裏切りの烙印を消すと言って、謎の死を遂げる。自分が親友を信じられなかったばかりに、泉は警察事務員だか、事件に向かって行く。
    警察内部の知らなかった事実。ひとつひとつ真相に近づいていく。
    その真相を知った時、泉のとった行動は。柚月先生の作品はいつも物語にどんどん引き込まれて行く。
    それぞれ人物の心理描写が凄い。不条理な世の中、必ずしもスッキリとしない展開。でも主人公の泉の行動、決断には応援したくなる。

  • 3.5というところか。

    言葉の端々で展開が読めてしまうところが少々残念。そして、黒幕をにおわせておきながら、その黒幕が明かされるまでも少し長く感じた。結局、白日のもとに晒されないところが、「朽ちない」に繋がっているのかなと推測した。

    重厚さは無く、割とサラッと読めるものであった。帯やあらすじを見る限りもっと重たいものかと覚悟して読んだのだが、重い作品が続いていた私にはとてもちょうど良かった。
    途中、「カルト教団」の存在に逃げてしまわないようにと祈りながら読んでいた。なるほど、公安を持ち出すには必要な存在だったというわけだ。動機不明、意味不明に展開していかなくて安心した。
    とは言え作中の公安には賛同はできない。

    シリーズとして続いているようなので、その足がかり、踏み台になっているとしたら、期待は膨らむ。

  • 月下のサクラを先に読んでおり順序が逆になったが、刑事を志したモチベーションの成り立ちを振り返るように読めた。公安が悪者一辺倒だと更なる続編は厳しいか。新展開に期待。

  • 久々の柚月作品、巻頭から立て続けにこれでもか~って感じで放り込まれた。

    いわゆる警察ミステリー作品で主人公は米崎県警広報広報課で働く森口泉。

    ①朝から鳴り止まない警察へのクレーム電話。
    ②再三に渡る相談の末、ようやくストーカーの被害届を受け取るも、正式受理は1週間後。
    ③被害届の受理から2日後に被害者である女子大生はストーカーに殺されてしまう。
    ④被害届の受理を引き延ばした理由を他の事件捜査が多忙だったと説明していたが、ストーカー事案を担当する課が自分たちの慰安旅行を優先していた。
    ⑤その事実を米崎新聞がスクープし、1面で報じた。
    ⑥犯人は事件から2日後に逮捕されるも、県警内で誰が慰安旅行の情報を米崎新聞にリークしたのか?腹の探り合いが始まった。
    ⑦新たな殺人事件が発生。
    ⑧被害者は米崎新聞の記者である津村千佳で、泉の高校の同級生。
    ⑨千佳は泉から慰安旅行の事実を聞かされており、泉の懇願により絶対に記事にしないと約束していた。
    ⑩その2日後に米崎新聞の単独スクープとして慰安旅行の内容が紙面を飾る。
    ⑪千佳は泉に秘密は漏らしていないと訴えるも、泉は千佳を信じることが出来ずにいる状況で千佳は殺されてしまう。

    いやぁ~詰め込みすぎでしょ(^^;

    もうこの辺りから完全に虜になっていました。

    千佳殺害の犯人を見つけるべく、平井中央署生活安全課の磯川と動き出す。

    その後に起こった第2の殺人(当初は自殺とみられていた)からカルト教団の関与が疑われるようになるも、カルト教団の情報を持つのは公安。

    お約束通り、通常の警察と公安で情報の共有が図られることはなく、独自操作を進める中で、とある仮説を導き出す。

    さて、ここからクライマックスですが、う~ん...なんか残っているページ数がビミョーって思っていたら、案の定ここからまさかの展開が...

    ページをめくる手が止まりませんでした。

    説明
    内容紹介
    第5回徳間文庫大賞受賞‼
    警察のあきれた怠慢のせいで
    ストーカー被害者は殺された!?
    警察不祥事のスクープ記事。新聞記者である親友に
    裏切られた……口止めした森口泉は愕然とする。
    情報漏洩の犯人探しで県警内部が揺れる中、親友が
    遺体となって発見された。警察広報職員の泉は、
    警察学校の同期・磯川刑事と独自に調査を始める。
    次第に核心に迫る二人の前にちらつく新たな不審の影。
    事件の裏には思いも寄らぬ醜い闇が潜んでいた……。
    (解説:村上貴史)
    内容(「BOOK」データベースより)
    警察のあきれた怠慢のせいでストーカー被害者は殺された!?警察不祥事のスクープ記事。新聞記者の親友に裏切られた…口止めした泉は愕然とする。情報漏洩の犯人探しで県警内部が揺れる中、親友が遺体で発見された。警察広報職員の泉は、警察学校の同期・磯川刑事と独自に調査を始める。次第に核心に迫る二人の前にちらつく新たな不審の影。事件には思いも寄らぬ醜い闇が潜んでいた。
    著者について
    1968年岩手県生まれ。
    2008年『臨床真理』で、
    第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し
    デビュー。2013年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、
    2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞
    (長編及び連作短編集部門)を受賞。
    同年『慈雨』で〈本の雑誌が選ぶ2016年度ベスト10〉
    第1位を獲得した。
    他の著書に『最後の証人』『検事の死命』
    『あしたの君へ』『合理的にあり得ない』
    『盤上の向日葵』などがある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    柚月/裕子
    1968年岩手県生まれ。2008年『臨床真理』で、第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。2013年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同年『慈雨』で“本の雑誌が選ぶ2016年度ベスト10”第1位を獲得した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 柚月裕子の小説は話の展開が興味深くすぐに引き込まれる。2015年2月に単行本、2018年3月文庫本。
    県警で広報の職員で県民安全相談係の森口泉29歳が主人公。ストーカー殺人事件が所轄の不手際でクレームの電話対応に追われるところから物語は始まる。
    ストーカーの被害を所轄署に何回も訴えていたのになおざりにされ、しかも署で慰安旅行に行っていたことが地元の新聞社にスクープされた結果のクレームだった。そしてその新聞社の泉の高校生時代からの親友だった女性記者津村千佳が殺された。親友はスクープ記事に裏があると調べ始めた矢先に殺された。泉は親友が殺された訳を調べ始める。
    警察学校時代の同期で3歳年下の所轄署の刑事磯川俊一、泉の上司の県警広報の課長富樫隆幸、富樫の同期で県警捜査一課の課長梶山浩介、3人の協力で事件は解決に向かう。しかしながら事件には裏があり、警察の暗部があぶり出される。
    最後のどんでん返しの真実は予想は出来たが、悪は悪でも正当化されるのか、その疑問に答えることなく終わり未消化感が残る。やはり続きの次回作があるようでそれを読むとスッキリすることを期待しよう。

  • 事件発生も犯人の目星も含めて物語の展開が突然過ぎてイマイチ入り込めなかった。
    また最後の公安云々の課題提起も何か素直に受け入れ難い。
    検事ものは素晴らしい作品を書く柚月さんなので期待が大きかったのですが、本書は物足りなさを感じました。

  • 柚月さんの警察小説でした。
    何かしら不穏な空気を感じさせつつ進むストーリー。やはり最後はそうきたかと言う感じでした。
    まだ続いていくのかなぁ。

  • ストーカー殺人事件が起こり、被害届を無視して慰安旅行に行っていた警察の怠慢とするスクープ記事がでる。情報をリークしたとして記者の親友を問い詰めた警察職員の女性。自分ではなく、裏があると言い残した彼女が、その二日後に殺害される。同期の刑事を巻き込んで独自に捜査するなかで、大きな組織的な陰謀が働いているのが見えはじめ、、、という流れ。途中で黒幕はほぼ予想できたけど、最後はそこに落ちるのかという意外性はあった。視点がコロコロ変わる構成もあって飽きさせず、展開も早く進むので、軽く読めました。

  • 警察の対応のまずさでストーカーに女性が殺された事件、実は警察は対応どころか、慰安旅行に行っていた。それがマスコミにすっぱ抜かれ、そして、主人公森口泉の友人、すっぱ抜いた新聞社に勤める千佳が殺される…。
    骨組みはしっかりしていて、ハラハラしながら読めるけど、話の終わりがすっきりしないかんじとか、裏で暗躍した人の仕事の雑さとかが腑に落ちなくて、ちょっと残念だった。

  • 警察の怠慢に端を発するストーカー殺人事件、特ダネスクープに通じる情報漏洩、真相を探る親友や鍵になる人物の相次ぐ死と一気に作中に引き込まれる。主人公の泉が警察職員であっても警察官でないってのが、最後に組織の巨大な闇を暴こうとも太刀打ちできぬ、そんなモヤモヤを容認させる。サクラは朽ちず。思えば不気味なイメージの公安にサクラの呼び名は合わぬ。でも、日本人は桜好きってわりに、客寄せの偽客のことをサクラと呼んだりするものね。泉さん、どうやら警察官となってこのたびのわだかまりを解かんと挑まれるようで。応援いたします。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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