- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255003993
感想・レビュー・書評
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絵画には、画家の思いや時代背景などがここまで込められているのかと驚く。ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』やアルテミジア・ジェンティレスキの『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』など一目で恐怖を感じるものから、ドガの『エトワール、または舞台の踊り子』のような時代背景が分かるとじわじわと恐怖を感じるものまで、絵画の解説がある。絵の面白さを知る良い本でした。絵画を通じて歴史の勉強ができそうです。
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絵を鑑賞するということ。
その絵の描かれた時代背景とか、作者の意図とか、裏読みすればするほど怖い絵だったという作品集。
当時の権力者の絵を描くことの恐ろしさとか(肖像画が多いから)
個人的にムンクの晩年は穏やかだったってのが良かった。 -
2017/11/12 追記
今人気の 美術展 上野の森美術館 10.07 〜 12.17 「怖い絵」展
これを読むと興味出てきます。→ 「怖い絵」展開催までの悪戦苦闘 (Yahooニュース 2017/11/12)
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読んだ日 2008/8/28 『怖い絵』 中野京子
TVのブックレビューをみて、読んでみようと思い、図書館に予約したのが、5/19
8/28にやっと順番が回ってきたよ。
2〜3時間で 読み終わってしまった。 3ヶ月以上待って ハイおしまい。
絵は見えることだけがすべてではない。
ここに取り上げられる絵には 2種類あって 見るからに おどろおどろしい怖い絵、
一見 どうということのない 普通の絵、
どちらにも 画家の心や 時代背景が 潜んでいる。
後者については、 知識がないと 絵解きはできない。
まぁ、子供の頃から 歴史を習っていて さらにいろんな本で 西欧のことを知っていれば、ある程度は わかる〜 などと うぬぼれてはいけない。
著者にも、誰にも謎なことも あるわけだし・・・。
ギリシャ神話・新旧聖書・中世の物語 こういうたぐいは、
日本の 古事記、民話、枕草子、徒然草 とは 位置づけが 違うような気がする。
特に、聖書は 今でも多くの人の 心と言動に影響を与えているわけだから、昔はすごかっただろう。
さて、この本には 目を背けたくなる絵も紹介されている。
美術館では絶対見たくないし、もし 子供の頃 見てしまったら トラウマ というのに 捕まっただろう。
こんな絵を描く画家っていったい・・・。
シリーズ 2,3も読もう!
『怖い絵』 中野京子/著 朝日出版社 2007.7
内容
ドガ、ムンク、ホガース…。16〜20世紀の西洋名画に恐怖を辿ることを試みた一冊。
恐怖と全く無縁と思われていた作品が思いもよらない恐さを忍ばせているという驚きと知的興奮。
心の底からゾッとする名画の見方、教えます。
のどかな神々の美人コンテスト「パリスの審判」で、欲情と見栄が生んだ悲劇とは?
女性を見つめるピカソの眼はどうしてこんなに怖いのか?
本物の恐怖が味わえる名画20点を収録。
著者:中野京子
早稲田大学講師。ドイツ文学、西洋文化史。朝日新聞ブログで歴史エッセー「世界史レッスン」を連載。
著書に「オペラでたのしむ名作文学」「恋に死す」「情熱の女流「昆虫画家」」などがある。 -
描くということは対象を見ることだ……とはよく言われるけれど、だからこそ絵というのはある種の怖さをもっているのかもしれない。
ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』やゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』などモチーフじたいが怖いモノ、ムンク『思春期』 やクノップフ『見捨てられた街』のように怖さを見出してしまったものなど、謎解きのように画家が見出して筆に込めた怖さを説いていく。
それは圧倒的に面白い。 -
一見して何ということもない絵の背後に隠された真の意味。それを知ることで、絵を何重にも味わい深く鑑賞することができる。怖いというよりは興味深いといった方が自分の気持ちには近い。ちなみに、この表紙の絵は女性のイカサマ師。実際の絵では表紙の右端の隠れた部分にカモとなる金持ちのお坊ちゃんが描かれている。自分の手札に集中していて他は眼中にない。テーブルの上には、金貨が積み上げられていて、ある程度勝たせてもらっている様子が窺える。女性イカサマ師の左隣の給仕の女もグル。金持ちの坊ちゃんの手札を見てきて、そっと耳打ちしているか合図している。そろそろ金を回収する頃合いと見たか、女性イカサマ師は横目で仲間に合図を送る。自分に悪意が向けられているとは夢にも思わない無邪気な様子のお坊ちゃんと、この悪意に満ちた白目の対比が怖さを増幅させる。こんな風俗を描いたものもあれば、ギリシャ神話に題材を取ったゴヤの「我が子を喰らうサトゥルヌス」のようなものもあり、興味深く鑑賞できた。怖い絵2、怖い絵3とシリーズを重ねているようなので、人気があるのだろう。
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一枚の絵につき、描かれているもの、時代背景、主題の由来、作者の生い立ちなどが手短に解説されて、最終的にどこが怖いかという話になる。まるで連載のような一話完結型だが、どうやら書き下ろしのようだ。解説の切れ味はまちまちだが、簡潔に分かりやすく伝える力は職人芸を感じる。個人的には「イーゼンハイムの祭壇画」と「キュクロプス」が良かった。怖さで言うなら「ヘンリー八世像」が意外と怖いかも。
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通常とは異なる視点での美術鑑賞。数々の小道具にこめられた象徴。羽ばたく鳥は、魂が肉体を抜け出す象徴、など。
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有名な絵の裏側に隠された真実を暴き出すという絵画のホラーミステリーである。絵の見た目からは想像できない、フランス革命の裏側や残酷な真相などが明らかにされ、改革の歴史の表と裏がまざまざと伝わってくる。美学とホラーという関連性がなさそうな二つが結びつき、歴史背景や人物同士のいくさや改革、大革命が絵として表現されているのが感じ取れる本だった。怖い絵の真相が詳細に表現されているのだが、その割に参考文献等が少なく、とっつきにくい面もあったと思う。