とんでもなく役に立つ数学

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  • 朝日出版社
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255005751

感想・レビュー・書評

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  • とってもおもしろい本。できれば高校1年生のときに出会いたかった。

  • 区画整理の換地計算式(権利価格式)が量化式であることを提唱し「価格」と「面積(地積)」の二律背反的な関係がこの本の「トレードオフ」の問題として述べられている『妥協するところ』が量化定数を与える。しかも存在量化でなければ数学的意味に乏しく全称量化の取り扱いは。数字的なつじつまあわせである。このことは。『とんでもなく役に立つ数学』に語られた事例の事象への数学への導入時の大切さを感じた。
     量化式は、ネットの「文芸思潮」「作品の広場」「エッセイの広場」の
    『量化って』を参照して下さい。

  • 深いところはともかく、概要は文系の私にも理解できた本。数学の概略(代数、幾何、解析)、数学と実社会のあるべき関係(数学→物理→工学→実社会で、それぞれフィードバックをかけたループとなる)が述べられ、数学の重要性やそのポジションが分かった。また、実際の問題解決に必要なことは、1.対象の絞り込み、(何が問題か?)、2.(仮定する)、3.問題点を定量化する。という科学的問題解決へのアプローチの基本を再確認させられた。著者の今後の渋滞学の発展を期待しております。

  • 高校生への講義を本にしたもの。数学が私たちの日常にどんなふうにかかわっているか実感できます。ちょっと数学を勉強してみようかなと思わせる一冊。

  • 西成活裕東大教授がおくる,12人の高校1年生への4日間の特別授業。西成教授は,「厳密さといい加減さの両方がわかる,人間臭い数学ができる人こそが,今の社会に本当に求められている人物だと思う」と語ります。

  • 渋滞学を専門とする数学者が、高校1年生達に4日間に渡り「数学がどのように役にたっているか」を解説した記録。創り出された類型的な生徒ではなく、生身の学生相手なので、この形式にありがちな白々しさを消している。

  • こういう考え方で数字を利用すれば、いろんなものごとを解決に持っていく、またはヒントになりますよ。
    ということが書かれている本ですが、この本がとんでもなく役に立つことは無いかな(笑)
    柔軟な発想を持って、数字というものをもっともっと理解すれば、とんでもなく数字は役に立つということ。

  • 数理物理学、渋滞学が専門の著者による、数学を現実社会で役立てるための入門書。以下要点のまとめ。

    ・数学とは何か。数学とは公式である。公式とは論理である。「AだからB、BだからC、CだからD」が、論理。「AだからB」の段数が増えていくと、だんだん複雑になってくる。テレビでは、「AだからB」一段で簡単に説明することが求められる。数学ができる人は、「AだからB」の階段を一万段くらい耐えられる。論理の階段1個1個を非常に正確に登っていける。

    ・数学者はだまされにくい。「AだからB」という仮定があやしければ、疑うから。よく「健康食品でこんなに痩せました!」という広告があるけれど、そういうものにだまされなくなる。もともと痩せやすい人を選んだかもしれないなど、背後に隠されている前提に気づきやすくなる。因果関係を逆にたどって、背後にある前提条件を暴くことができるようになる。

    ・物理学では「何故こうなるか」が重視される。実社会と関わる工学では「どうすれば解決するのか」が重視される。

    ・微分は、物事を細かく分割して、スローモーションで解析する手法。積分は、微分のミクロ断片を積み重ねて、未来を予測する手法。どちらも実際の社会問題を解決するのに非常に役立つ数学。

    ・人間が集団になると、強大なエネルギーが生まれるが、衝動性、無批判性、道徳性の低下も見られる。

    ・人生は全てトレードオフ。工場で商品を作る時、できる限り正確に作りたいし、同時にスピードもあげたい。正確さとスピードは、トレードオフの関係にある。正確に作業しようとすれば、スピードは下がる。スピードを上げようとすれば、正確さが犠牲になる。どちらも100点満点を取ろうとするのはないものねだり。人生そう甘くはない。

    ・「正確さ、スピードどちらも70点でそこそこ満足しましょう」という考えを専門的に表現すると「複数目的最適化」となる。最適化したい目標が複数ある場合、どう行動すべきかを解く。解析や確率論などの分野で研究されている。

    ・あることが無駄かどうかは、「目的」と「時間」を決めることで判定すればよい。「いつまでに役立てばいいのか」という期間を設定しないと、無駄かどうか決められない。世の中無駄だらけと言う人は、この期間設定が短い。世の中無駄なものなんてないと言う人は、期間設定が長い。

    ・現在の社会システムは、経済成長を前提にしている。雇用など様々な社会問題は、経済成長すれば解決する問題ばかり。成長には限界があるので、経済成長なしでやっていける振動経済、「かわりばんこ社会」を推奨。景気がいい時と悪い時を交互に、周期的に繰り返す。好景気と不景気の波とは違う。景気の波は、長い周期で来る。もう少し小さな振動で、トータルで上に向かわない、成長率0%で小さくゆらゆらしている社会をイメージ中。

    (所感)
    高速道路の渋滞緩和で有名になった数学者による一般向け数学入門書。学会で渋滞学の発表を初めてした時は、聴衆0人だったとのこと。絶対負けないという強い気持ちで渋滞学の研究を粘り強く続け、現在は世界中の国々から、問題解決を求められる立場になった。

    微分と積分なんて、実社会から遊離した純粋数学、使えるとしても理数系の専門分野限定ないと思っていたけれど、人生や社会の諸問題の解決に微分と積分が使えるとわかった。スローモーションにして出来事の断片を見つめる微分的思考、ミクロ断片を積み重ねることで未来に起きるだろう変化を予測する積分的思考。学生の頃は嫌いで、公式丸暗記だった微積分が、実生活に役立つテクノロジーになった。

  • 「渋滞学」など数学を実社会に生かす研究をする著者が
    高校生におこなった授業をもとにした本。

    学校で教えられるままに計算はやってきたものの
    記号の集合と思っていた数式が、
    指数関数はイケイケ、三角関数はゆらゆら、
    微分積分で現実を細分化して未来を推測することができる、など
    どんなものを表すのかイメージできる話が面白かった。

  • 高校で挫折した微分が、今さら少し分かった気がした。でもきっと学生時代に聞いても、あまり変わらなかっただろうな。

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著者プロフィール

東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は数理物理学、渋滞学。
1967年、東京都生まれ。東京大学工学部卒業、同大大学院工学研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。その後、ドイツのケルン大学理論物理学研究所などを経て現在に至る。
予備校講師のアルバイトをしていた経験から「わかりやすく教えること」を得意とし、中高生から主婦まで幅広い層に数学や物理を教えており、小学生に微分積分の概念を理解してもらったこともある。
著書『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』(小社刊)は全国の数学アレルギーの読者に愛され、20万部突破のベストセラーに。『渋滞学』(新潮社)で講談社科学出版賞などを受賞。『とんでもなく役に立つ数学』(KADOKAWA)、『東大人気教授が教える 思考体力を鍛える』(あさ出版)など著書多数。

「2022年 『東大の先生!文系の私に超わかりやすく物理を教えてください!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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