存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309249834

作品紹介・あらすじ

衝撃のデータが、世界の見方を変える!公衆トイレから最新家電、オフィス、医療、税金、災害現場まで……。一見「公平」に見える場所に隠された、思いもよらない男女格差のファクトとは。イギリスで話題沸騰となったベストセラー、ついに翻訳。データのハサミで切り刻まれる「気のせいでしょう」という欺瞞。女性の生きづらさには、これだけの証左がある──ブレイディみかこ男のために設計された社会で「男も大変」とか言っちゃう傲慢さを知る──武田砂鉄◎「サンデー・タイムズ」No.1ベストセラー◎マッキンゼー/フィナンシャル・タイムズ「ベスト・ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2019」選出◎王立協会科学図書賞 受賞

感想・レビュー・書評

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  • 男性優位の世界になっている事をデータに基づいて説明してくれる。薬も男性基準で考えられている〜の件は確かにそうだろうなと見落とすというか気づかないことに気づかせてくれた。
    ピアノも男性基準なことも。

    この世界を変えていくのは難しいだろう。なぜなら女性である私が気が付かないことが多いのだからこの世界の当たり前を疑うのには限界がある。

  • 物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
    東大OPACには登録されていません。

    貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
    返却:物性研図書室へ返却してください

  • 世の中にあるモノの大部分は男性を基準に作成されている。
    故に女性によっては使いづらく、自動車事故などにおいては死亡率が高くなってさえいる。
    とにかくエビデンスが圧倒的であり、私たちの生きづらさは気のせいなんかではないのだと思った。

    かく言う私は・・・
    「女性的」なものに馴染めなかった私にとって、男社会で生きることは楽でさえあった。
    しかしながら、やはり生物学的な差異は乗り越えられない。
    そこには確かに違和感と苦労があったが、そう言うものだと順応してきた。
    もし社会の意思決定にもう少し女性が多ければ、もう少し生きやすかったのだろう。
    下の世代には、もう少し生きやすい世の中になって欲しい。

  • あとがきなどを含めた本文が67%で、残りの33%は参考にしたデータ?なところから分かるように、性差のデータが少ない中でかき集めてできた貴重な本です。
    「多くの男女差別は悪意によるものではなく、認識の欠如によって生じている。」この文が答えなのでしょうね。

    分かってはいたのですが、あまりに女性の扱いがひどくて読むことが辛くなったことが何度もありました。でも、読まずにはいられませんでした。なぜなら、私も被害にあっていることがいくつかあったからです。男性として産まれていれば…と思うこともありましたが、男性にはなりたくないです。男性は「女は異常で、非定型で、明らかにまちがっている、という意見で一致しているわけだ。」 と思っているように、私もそう思っている男性が嫌いだからです。

    何が男女平等だ、と思います。

  • 労作。

    自分も男だ。
    その眼が曇りきっていたことを実感した。

    徹底的にデータにあたる姿勢、集めよという主張に納得した。

    女性の存在を認めることは経済政策としても正しいことを示している。

  • いかに、当たり前、普通、デフォルトといったものが男性中心であり、それが当たり前な世界で生きているため普通と思ってしまっているかを気付かされる

  • データ量がすごい。女性が多大な不利益を被っていることを改めて認識。LGBTの議論が活発になってくると「普通の女性」の権利がより制限される可能性もある。
    ただし自分の周りに限って言えば男性よりも女性が幸せそうに見える。存在しない、無視されることからくる女性の幸福があるのか、不必要な責任を負うことによる男性の不幸があるのか。

  • 社会や医療、経済はデータに基づいて動いている。しかしそのデータは暗黙のうちに男性を基準として測定され、女性に関するデータが無視されてきたと指摘する本。

    本書では実に様々なデータが紹介される。その量は圧倒的で、原注が56ページもついている。
    女性は男性と違う体を持ち、違う行動を取る。犯罪被害に遭いやすく、育児や介護等の無償労働の担い手となりやすく、同じ成果を挙げても評価されにくいとするのが本書の主張。

    社会的役割や人物評価におけるバイアス等の比較的想像しやすい局面だけでなく、純粋にデータだけで判断されていそうな分野においても、ジェンダーによる偏りが生じているという指摘が興味深かった。
    たとえば第10章と第11章は医療に関する視点。前者は、男性を主な治験対象として認可された薬のデータが女性に不適合である点、後者は女性特有の症状が軽視されがちである点を指摘する。
    後者の例として、シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ)が生理痛に効く可能性があるにも関わらず、治験が行われないという話が物珍しかった。勃起不全薬としては早々に認可されたことと比べると、確かに非対称だ。

    本書では上記のような現状に対して、女性のニーズや行動を認め、それに対応した策をとるべきとする。
    たとえば育児についてなら、女性だけが育児をするのは良くないという主張ではない。女性が育児を中心に担っている現状を認め、そのニーズに特化した対策を打つことを求める。つまり打たれる対策は、「女性だけを」対象としたものでなければならないということになる。
    駄目な例の一つとして、男女にかかわらず、子どもが生まれた人にテニュア期間を延長する制度(p99)が、実際には男性にのみ時間的余裕を与えるものとなり、却ってテニュア付与の男女差が開いたという事例が引かれる。
    本書の理論としては明快だが、社会で実現しようとすると反発の起きやすい考え方であることも想像がつく。

    とは言え、本書はあくまでデータについて語る本。
    p126で触れられる(元ネタはビッグデータの罠)ように、データをAIに分析させることで物事を判断・評価する場面は今後増えてくるだろう。その際、データ自体がある種のバイアスを含んでいる可能性に気づく視点が重要となる。
    本書ではフェミニズムの観点から女性について述べているが、女性というのはマイノリティの中では最大のマジョリティ。では他の属性についてはどうだろうか、と視野を変えるきっかけになりそうだ。

  • 医療の問題について、治験が男性に偏っている事に驚き!
    世界の半数の女性の不自由さを解消するために、声を上げていきたい。

  • 男女の身体的違い、女性にあてがわれがちな家事労働などが、社会の様々な意志決定から、いかに除外されてしまったいるかを、データ収集の不平等性という観点から説いている力作でした。
    扱いを同じにするだけでは平等にはならず、男女の生まれ持っての、または社会的におかれてしまう状況の違い、理想をいえば、それぞれの人々の間の違いを考慮する必要があるのだ、という事をこれでもかと思い知らさせてくれる本です。

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