さよなら、男社会

著者 :
  • 亜紀書房
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本棚登録 : 537
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516769

作品紹介・あらすじ

「男」をめぐる、いままでにない当事者研究の誕生。

いま大きなムーブメントになっているフェミニズムは女性から男性に対する異議申し立てだ。しかし、女性の切実な声はなかなか届かない。

——そもそも、男性はどうして「そういう」男になってしまうのか。
男性性をこじらせ、女性のみならず自分自身までも抑圧する主体になっていく過程を自らの経験をもとにたどりながら、男性側からフェミニズム問題を考える。
 

感想・レビュー・書評

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  • 「キングコング・セオリー」「さよなら、男社会」書評 権力関係を解明する二つの方法|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14146869

    亜紀書房 - さよなら、男社会
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=993

  • 「話が通じる」という安心感があった。
    息子たちを育てていくうえで覚えておきたいこと、大事にしたいことがたくさん書いてあった。夫には今さら期待しない。これからの時代を生きる人には伝えていかなきゃと思った。

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    "感覚的だと言われる話し方は「時系列に置き直して順序よく話すには膨大すぎて、端的にストーリーとして語ることができないくらいの感情と感覚がそこにある」ことを示唆しているのだと僕は理解している。そして結論が見えないと言われがちな「まとまらない話」というのは、散漫ではなく、「わかりやすい解釈を通じて話すことができない」ことを意味しているのだと思う。だから、何が必要かというと時間だ。耳を傾けるという滞空時間が必要なのだ。男たちはそれが冗長に感じて耐えられない。なぜだろうか。ひょっとしたら自分とは異なる存在のありありとした「他者性」を感じることを回避したいのではないだろうか。"(p.188)



    "男性性は男性だけが備えているものではないし、女性の中にも男性性はある。女性性もまた男性のうちに存在する。ただ、ここでいう男性性が「逞しさ」だとか「論理的」を意味し、女性性は「細やかさ」「感情的」といった、社会の用意したステロタイプである必要はもう本当にない。"(p.158)

  • 男性が『男社会』について研究し、言及しているのは、あまりないのではないか。そう『社会』ではない『男社会』だ。
    何が違うのかは、本書を読んで頂くと、ニュアンスが伝わると思うのだが、
    一般的に、男性が『社会』について語る時、それは大前提として『男社会』であるし(自覚の有無は一旦おいておくとして、しかし、無自覚が多いと思う)、フェミニズムについて語る時、それは圧倒的に力を持つもの立場から弱者を語っていると感じる。
    けれども、その大前提がある限り、『社会』はずっと『男社会』なんだよな、とずっとずっと感じてきたので、まずは、こういう本を書いてくれる男性がいるのだな、と言うことに興味を惹かれ、手に取った。

    こういう本を、男性が一人でも多く読んで、一人でも多く、考えるきっかけにしてくれたらなあと願う。おそらく、せっかく居心地よく住んでいる世界に異議を唱えられる、指摘されたくないことを指摘される不快感みたいなものはあるのだろうけど、冷静に読んでもらえたらなあと。
    なぜなら、いくらフェミニストと言われる人たちが、必死に声をあげても、なかなか世の中は変わらないから。これは、性差だけではなく、昨今言われている、ダイバーシティと言うことは、全てそうだと思うのだ。人種差別も宗教もセクシュアリティも。
    マイノリティの声は小さく弱い。だからと言って、声を上げることを辞めたら、無音だから、辞めてはいけないのだけど、マジョリティが本気になって、耳を傾け、声をあげる手助けをしてくれなくては、変わらないから。

    そんな思いとは別に、男性には男性なりの、『男社会』で生きる辛さ、男性性を幼少期から求められていくことの辛さもあるのだな、と改めて気づかされた。と言うことは、やはり教育なのだとなると、これは、男性任せじゃなくて、やはり女性も母親として、息子にどう接していくのか、そこには責任があると感じた。

    この本の内容を、それだけ評価していながら、評価3にしたのは、少し、著者の個人的なところの描写が多いので、そこをもう少し、数々のインタビューをしている著者ならではの切り口で、他の男性にも落とした形での説明に割いてもらえたら良かったのにな、と感じたからなのだが、
    一方で、
    著者の子供時代の親とのやり取りを読むにつけ、私は私で、親に「女の子だから」と言う理由で、言われ続けたことが、苦く思い返され、男女の差はあれ、辛さに共感してしまうのだ。男女関係なく、親には愛されたいし、強くありたいし、本当はありのままの自分を受け入れて欲しいのだな、と。

  • この社会の基盤とか雰囲気をここまで深掘りして言語化できるのすごい。
    私はこの人より女性とか男性とか今の社会が作り上げてきた雰囲気を考えてないし気づけてないなと思った。

    世代が違うので昔はこんな世の中だったのかと思うと数十年でここまで変われるのは希望だと思う。

  • 男性が「感じる」ことを拒否していることに気づかないと解決しないジェンダーの問題を深く書いてくださっているので、ここまで言語化してくれてありがたい気持ちです。

  • 「現行の社会のルールはだいたい十八歳から六十五歳までの、健常者かつ異性愛者のマジョリティの男性向けに作られている。」というところにグサッときた。もっと女性を登用しよう、という動きはあるけれども、そもそもの社会のルールを変えていくのが本当に必要なことなのではないかと気付かされた。

  • 筆者のこれまでの人生を振り返りながら、自分の中にある男性性を問う書き方になっている。簡単な文章のようでなかなか読みにくく時間がかかった。

  • 著者が考える、「男性性(男とはこうあるべきみたいな考え方)」ってこうやって形成されてしまったんじゃないか。という考察には自分にも思い当たるふしが多すぎてクラクラする。気づいてない振りをしてきた、誤ったというかズレた価値観の上に自分自身を構築してしまったという事実。また、おそらく大多数の男性が同じように間違った男らしさをインプットされて社会を作ってきてしまったということを突きつけられ絶望する。
    多くの男性がこの本に書かれている事に気付き変化して欲しいと思う。
    また、女性も読んで男性の暴力性みたいなものの根っこを知る事で、自身の身を守ることに役立ててほしいと思います。まあ、男性のダメさ加減に呆れてしまうかもしれませんが・・。

  • 男は、男に「男らしさ」を押しつけられながら生きている。男の敵は、男なのだ。読んでいるといろいろと嫌な過去が思い出されてどうしても冷静でいられず、最後まで読み進められなかった。

  • なんとも言えない読後感である。

    この本の他の人の感想を見てみたが、内容がとっちらかってるとの投稿もチラホラあった。
    だが、筆者も指摘するように、違和感を「感じる」対象は筆舌に尽くし難いので、シュッとした文章で整理することは出来ないのだろう。
    1対1対応ではないと筆者も分かった上で、表現方法を手を変え品を変え、対象の本質に近づこうとしている。

    男社会の構造的問題に近づこうと試みる良作であろう。

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著者プロフィール

1970年神戸市生まれ。インタビュアー&ライター。政財界人やアスリート、アーティストなど約1000人に取材し、その経験と様々な武術を稽古した 体験をもとに身体論を展開している。
主な著書に『さよなら、男社会』(亜紀書房)、『異聞風土記 1975-2017』『親指が行方不明』(以上、晶文社)、『モヤモヤの正体』(ミシマ社)、『脇道にそれる』(春秋社)など。

「2022年 『つながり過ぎないでいい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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