名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書 463)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035662

感想・レビュー・書評

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  • このシリーズはこれで全部読んだことになるが、あまり真面目に考えたことがなかったヨーロッパの王室について、各王家のつながりも含めて理解するのに最適な本だった。ブルボン王朝がたかだか200年程度の王政で、しかしながら現在のスペイン王家がブルボン家の分派とは全く知らなかった、スペインハプスブルク家が滅びた後にブルボン家がスペインの王家になっていたとは驚きである。また、ルイ16世が決して凡庸な王ではなく、読書が大好きでイギリスのピューリタン革命で散ったチャールズ一世の歴史から打開策を見つけようと考えていたが、フランスの経済危機により結局フランス革命を止めることができなかったというのも同情してしまう。
    本シリーズは名画の解説とともに象徴的な歴史をコンパクトにまとめており、大変勉強になる。何年かしたらまたすべてのシリーズを読み返してみたい。

  • ハプスブルク家の〜に続けて読了。同じ時代を違う視点から見ることで歴史に立体感が出て余計に面白かった。

  • 貴族が自領を離れヴェルサイユへ引っ越すことを参勤交代に例えるなど、解説が分かりやすい。

    それにしても、フランス革命時にルイ16世がパリ市民に被せられた帽子が古代ローマ時代の解放奴隷の帽子に由来していたとは。
    事件のことも古代ローマの風習も知っていたが、この本でこれらが初めて結び付き「そういうことか!」 と膝を打った。
    敵意を持った市民が国王に帽子を被せられるほど接近できるなんて絶体絶命であり、市民はもはや少しも国王を崇敬していないのだな。としか思っていなかった。
    しかし市民が解放奴隷の帽子を国王に被せるということは、すなわち王権神授されたとされる国王を平民(市民)の手によりその身分(特権)から解放して(取り上げて)やるぞ。という皮肉が込められていたのではないだろうか。
    国王の味わった屈辱感は相当なものだっただろうと新たに思った。

  • 面白かった。ハプスブルク、ロマノフ、イギリス王家の三冊とともにもう何周かすると理解がずっと深まるのだろう。まだまだだな。

  • 名画で読み解くシリーズあるある
    ・画家死にがち
    ・ギロチン出てきがち
    ・近親婚しがち

  • 中野京子さんの語り口が絵画の人物を実在の人物に近づけてくれます。太陽王ルイ14世の肖像画はチャールズ一世の狩場の肖像画と同じ構図だけれども、解説の後に改めて見ると、隅々を意識したルイ14世のポージングが見てとれて、この時代、美脚は男性のものという事実も興味深く、この時代の男性貴族がカツラをつけてバレエのレッスンを受けてた様を想像し、この人たちもかつて本当に生きて存在していたんだと不思議な実感を伴って絵を見ることができました。ポンパドール夫人が文句なしに美しい。

  • 勉強になる

    何しろ医者たちがこぞって(水中で毒素が体内に侵入すると主張)、誰が年に数回程度しか風呂に入らない。おまけに下着の洗濯の回数も極端に少なかったので、浴びるほど香水をふりかけねば体臭を消せない

    先代からの赤字に加えてアメリカ独立戦争援助などで資金繰りに悩んだルイ16世が、特権階級への課税を目論んで頓挫したのは、貴族達が頑強に反対したためだ。それどころか彼らはこれをきっかけに逆襲し、王権を制限すべく三部会の召集を要請、16世に認めさせた。ところがここから案に相違して、貴族は主導権をブルジョワジーに奪われてしまう。
    こうして貴族の反抗から出発した小さな雪だるまが、坂を転がるにつれ大ブルジョワジーに飲み込まれ、そこへ法律家や商人、自由業者といった小ブルジョワジーが加勢し、ついには凶作に飢えた庶民や農民までもが一緒くたになって膨れ上がり、雪崩と化して王政を葬り去ったのだ。

  • ハプスブルク家に次いで、隣り合いいがみ合い、マリー・アントワネットによって繋がったフランス王家、ブルボン。
    芸術の国の王家らしく、肖像画も、関わる革命の絵ですらも、残る絵画は美しい。
    ハプスブルク家よりも短く、どうしても繋がりのある部分(特にルイ16世からナポレオン)に知っている部分は片寄ってしまっていたが、かいつまんでではあるものの、他の時代を知れたので良かった。
    王家の争いは、どうしてこうも卑しく、ときに愛に溢れ、人間的なのであろうか。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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