宇宙に行くことは地球を知ること 「宇宙新時代」を生きる (光文社新書)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044978

感想・レビュー・書評

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  • この本が刊行された1年半ほどで、クルードラゴンは3回の輸送飛行に成功し、同時に民間宇宙飛行も行われるようになり、宇宙開発が新たなフェーズに突入したことを素人でも実感できるようになってきたが、現役宇宙飛行士と宇宙を夢見るミュージシャンが対話するスタイルでまとめられたこの本では、宇宙滞在での身体感覚の変化から話が始まり、宇宙飛行士の死生観にも触れながらスペースXの参入による宇宙開発の進化など宇宙をめぐる様々なトピックが語られていて、現状について難しさを感じることなく把握することができた。ボーイングとテスラによる技術競争の顛末や、宇宙ビジネス関連なども興味深かった。民間宇宙飛行も現在は一部のセレブのためのものなどと思われているかもしれないが、この分野も今後は加速的に発展していきそうな予感がする。
    そして宇宙に行きたいと願うアッコちゃん(著者)の野望も案外早く叶ってしまうのではないか、と思われる。彼女が宇宙から地球を見たら、どんな音楽を作るのだろうか。

  • 空間識失調
     宇宙では筋肉が重力を感じないので自分の手足の位置がわからない。
     耳石の縦方向センサーも働かない。視覚の横方向も基準がない。

    指先
     音は伝わらないが振動が伝わる。
     温度は伝わらないがグローブのシリコンの硬さで温度変化が伝わる。
     ISSのトラスを触り水平がわかる。

    Memorial Trees
     NASAジョンソン宇宙センター 事故死した人の木。
     スペースシャトル 135回の飛行、2回の事故で14人が命を落とす。
     60年間で 570人が宇宙へ行っている。

    ISS
     45分ごとに昼と夜 3か月ごとの補給 高度400km
     片道6時間でISSへ。以前はソユーズで片道2日。最短で3時間も可能。
     ISSへの輸送費用5800万ドル(ボーイング スターライナー)
     ISSは無機質でグレーの世界。色も、動くものもない。
     地上のほうが圧倒的に刺激的。

    宇宙服
     14層 120kg 0.3気圧の酸素 3時間かけて着る。7時間の船外作業に耐える。
     下着は水冷式。
     酸欠では苦しくなる前に意識がなくなる。
     
    スペースX
     実績と革新 変化への対応とスピード感ある実際のオペレーション。
     100%内製化、開発から打ち上げまで同じメンバー(スペースシャトルは分業)
    クルードラゴン
     全自動でISSとドッキング 
     液晶パネルの操作+物理ボタン、
     インテリアもヘルメット一体式の宇宙服も、白と黒
     
    満足感よりも、全員の不満にバラツキが出ないことを目指す。
     活動を止めることによる目に見えない社会的精神的マイナス。
     状況に応じ、プロとしてできることをやる。小さい積み重ね。

    多様性は強靭さにつながる。

    矢野顕子
     視力が弱く、手術するまで、
     月が一つに見えない、星も見えなかった。
     聴力に優れ、声で人を区別していた。
     音で部屋の広さや車のエンジンの調子を知る。
     ニューヨークでは何で有名かではなく、何ができるのか?

  • 2024/1/20購入
    2024/4/11読了

  • 矢野さんの尽きない興味に驚き。もっと近くに感じ始めても良いと思いました。

  • かなりディープ
    対談形式

    子供達に向けた明るい希望ある話ではなく、死と隣り合わせの世界、地球と言う生の世界の話やこれから先の宇宙開発と人類の話

    宇宙は神秘的な世界だと漠然と思っていたけれど、音がない、熱量を感じない、無重力の世界がどれほど怖いものか具体的に知るきっかけになった

    重力のある世界と無重力の世界はパラレルワールドと言える、時間感覚もまたパラレルワールド、不思議な感覚だ

    野口さんは2020年クルードラゴンに搭乗、2021年無事帰還
    この頃は暗いコロナのニュースが多かったので、これは明るいニュースでしたね

  • 野口聡一さんが地球に出稼ぎに帰ってきて、日本のTVで出まくっていたので、積読にあったよなと取り出して読んでみた。昨年末のBRUTUSの読書特集で宇宙を読み解く副読本として紹介されていた。
    誰もが感じる、なぜ矢野顕子?という素朴な疑問は冒頭で解決させてくれる。
    スペースシャトル、ソユーズを経験し、クルードラゴンに乗る前の野口さんの体験談を矢野顕子が引き出す。
    宇宙開発でのロシアとの協調が崩れ、ここでも中国が抜け駆けかと言われているところが、地上の色んなニュースとつなげて読んじゃうな。

  • 安心して絶望出来る人生。当事者研究という言葉は、新鮮だった。障害者、トップアスリート、宇宙飛行士という関係性が感じられない人々での共通性。能力主義の否定と弱さの情報公開は、面白い。

  • 闇の話が印象的

  • 宇宙飛行士の野口聡一、ミュージシャンの矢野顕子両氏の対談形式で、宇宙飛行、宇宙滞在、NASAや民間企業による宇宙開発の実態がわかりやすく語られている。

    野口さんの誠実で表現力豊かな語り、矢野さんの宇宙へのまっすぐな憧れや情熱、ともに清々しい。

    本題とは関係なくちょっと驚いたことが一点。矢野さんが、『春咲小紅』がヒットしたことを、お茶の間に受け入れらた体験として宝物のようなものとして持ち続けていると語っていること。矢野顕子みたいな天才と名高いミュージシャンでもそうなんだ!当たり前のことなのかもしれないけど、プロである以上、売れるということはとても大切で誰もが望んでいることなんだなあ、と実感した。

  • 3度目の宇宙飛行が決まった野口さんに、矢野さんが様々な疑問をぶつけていく。矢野さんの質問っぷりがとても良い。野口さんの魅力をとても引き出している本になっていると思う。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県横浜市生まれ。1991年、東京大学大学院修士課程修了。1991年石川島播磨重工業(株)に入社。航空宇宙事業本部に所属し、ジェットエンジンの設計及び性能試験業務を担当。1996年5月にNASDA(現JAXA)が募集していた宇宙飛行士候補者に選定される。同年6月、NASDA入社。同年8月からNASAが実施する第16期宇宙飛行士養成コースに参加した。1998年4月、NASAよりミッションスペシャリスト(MS:搭乗運用技術者)として認定された。同年7月から8月、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(GCTC)における基礎訓練コースに参加した。その後NASAにおいてMSの技量維持向上訓練を継続すると同時に、宇宙飛行士の立場から「きぼう」日本実験棟の開発支援業務に従事した。2001年4月、ISS組み立てミッションであるスペースシャトル(STS‐114)の搭乗員に任命される。野口宇宙飛行士ら7名を乗せたディスカバリー号は2005年7月26日打ち上げ、8月9日帰還。

「2006年 『スィート・スィート・ホーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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