螢 (幻冬舎文庫 ま 3-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2232
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410350

感想・レビュー・書評

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  • 梅雨。大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀蛍司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。昨年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼“ジョニー”に無残にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こった―。大胆にして繊細。驚きに驚く、あざやかなトリック!本格ミステリNo.1の傑作『鴉』から7年。鬼才が放つ新たなる野望。


    レビュー

    前回の『隻眼の少女』のレビューでも冒頭で述べたのだけれど、この『螢』は麻耶雄嵩の小説の中では比較的コスモスが保たれているというか、壁本でもないし極めて破滅的なカタストロフィやアンチミステリの試みが少ない方なので読みやすく、麻耶作品の初読には良いチョイスになるだろう。

    まあカタストロフィ的な要素はないでもないんだけれどね。

    内容はオーソドックスな館モノのミステリ。
    麻耶らしい終始不気味さの感じられる作品で、作中で雨が降っていることもあってジメジメとした雰囲気がなんとなく伝わってくるような舞台になる。

    大学のオカルトスポットサークルの学生6人が、10年前に惨殺事件があったファイアフライ館に合宿に訪れるが、突然の豪雨で陸の孤島と化し、やがて殺人が起き、学生たちは犯人を特定しようと奮闘するというクローズドサークルの定番。

    面白いのは、内部犯説と外部犯説が浮上し、探偵役というか仕切り役のような人物が二人現れそれぞれに推理を進めていくところ。前半はこのあたりが見どころになるかと思う。

    後半は違和感と伏線が収斂し始めるので見逃せない。
    非常に練られたトリックと真相、結末が待っているので、普段の麻耶雄嵩のクセのある展開を期待していると、それがあまり見られなくて少々肩透かしの感はあるが、ミステリとしては非常に面白いのではないだろうか。

    少々フェアでないところも多いので犯人当ては賛否あるかもしれないが、トリックなどを看破するのは伏線を見逃さなければ可能なので、謎解きとしての読み方もおすすめの作品だ。

  • 作者がしかけたトリックに盛大にだまされるのはミステリーの醍醐味だと思います。
    が、この作品のだまし方には不快感しか感じませんでした。
    真相もあっと驚くようなものでもない。
    音楽に関連するちょっと気取った文体も、神経を逆撫でするのに一躍かっていると思います。

    「隻眼の少女」がかなり面白かったので期待していたんですが、この作品はいまいちでした。

  • 自分的には非常に読みやすかった。
    あまり好きではない叙述トリックであったが、好感が持てたのは、なぜ?

  • あんまり良くわからなかった

  • 最後の最後に後味が悪く、報われない気持ちに苛まれます。
    もう少し加賀蛍司の起こした殺人についてもっともらしさが欲しかった気が…。怪しい人物も見当がついてしまいました。
    でも叙述トリックは面白かったです。騙されました

  • 以前にノベルズで読んだが
    文庫で再購入する程好きな作品。

    鴉には及ばないが、
    何処が良かったのか思い出す為に
    また再読します。

  • 叙述トリックでひっくり返されるの期待して読みました。
    しかしなんか疲れた、混乱で。まず一つ目で一時休憩を取りましたw
    疑わず普通に読んで、たしかに、ネタ晴らし前には、そう言えばあの人の存在感が無さ過ぎるからもしや・・・と思ってた矢先のねたばれ。
    2つ目は「は?知らんかったのかあんたら」ですね、これは斬新。
    「あれ?そのセリフって・・・」から、二人の推理で「?」になって、何故かあの人自殺っぽくなって、辛かったから死ねてよかったねなんて思ってたのもつかの間。
    そっか、そういう癖があったの先に言ってたよね、とか、それだと分かって冒頭読んだら違和感無いとか。

    なぜあの人の彼女が餌食にならなきゃならなかったのか(なぜ差し出したのか)、そんで最後、個人的に愛着が沸いてしまった登場人物達が皆死んでしまったのにがっかりしてこの評価。
    この評価ではありますが、2つも驚きがあるなんて凄い。
    しっかしすぐに解釈できない単語ばかり並べられるので、この人の小説はちょい難しいのだろうか?

  • 2015.5/17〜20。物語はよくあるクローズドサークルの館もの。しかし爽快に騙された。ミスリードも伏線も見事。

  • ミステリ。どんな話かというと、大学のオカルトサークルの面々が、十年前に大量殺人事件の起こったファイアフライ館にやってきたら、やっぱり殺人事件が起こりましたー、という内容。

    クローズド・サークルものの王道ミステリかな、と思って読んでいると、いくつか仕掛けが施されていて、なるほどな、と思う。が、ネタバレになるかもしれないけど、普通にミステリを読み慣れている人はだいたい、本編冒頭部分において、違和感に気付いてしまうのが残念。

    ネタバレついでに、もう一つ。本屋で、「後味が最高に悪い!」みたいなあおり文句で紹介されていたので購入してみたが、正直自分にとってはいまひとつ。唐突感が否めなく、もし後味を悪くするのであれば、もう少しやり方があったのではないかなぁと思わざるを得ない。

    総じて、つまらなくはないが、別段おもしろい訳でもなく、逆に仕掛けに力が入れられている分、連続殺人鬼ジョージとの絡みも、こじんまりとまとまってしまったな、という印象。麻耶雄嵩作品は初めてだったので、もう一冊くらい読んではみたいかな、とは思いました。

  • オカルトスポット探検サークルが訪れた螢の名を冠する洋館。
    十年前、6人が無残に殺されたその館で悪夢が再来する。
    凶器に残った指紋。
    見知らぬ女の影。
    愛する者の命を奪った殺人鬼。
    内部犯説と外部犯説を支持する二人の探偵役。
    麻耶流フーダニットが読者に重たい一撃を与える。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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