- Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344410350
感想・レビュー・書評
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梅雨。大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀蛍司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。昨年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼“ジョニー”に無残にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こった―。大胆にして繊細。驚きに驚く、あざやかなトリック!本格ミステリNo.1の傑作『鴉』から7年。鬼才が放つ新たなる野望。
レビュー
前回の『隻眼の少女』のレビューでも冒頭で述べたのだけれど、この『螢』は麻耶雄嵩の小説の中では比較的コスモスが保たれているというか、壁本でもないし極めて破滅的なカタストロフィやアンチミステリの試みが少ない方なので読みやすく、麻耶作品の初読には良いチョイスになるだろう。
まあカタストロフィ的な要素はないでもないんだけれどね。
内容はオーソドックスな館モノのミステリ。
麻耶らしい終始不気味さの感じられる作品で、作中で雨が降っていることもあってジメジメとした雰囲気がなんとなく伝わってくるような舞台になる。
大学のオカルトスポットサークルの学生6人が、10年前に惨殺事件があったファイアフライ館に合宿に訪れるが、突然の豪雨で陸の孤島と化し、やがて殺人が起き、学生たちは犯人を特定しようと奮闘するというクローズドサークルの定番。
面白いのは、内部犯説と外部犯説が浮上し、探偵役というか仕切り役のような人物が二人現れそれぞれに推理を進めていくところ。前半はこのあたりが見どころになるかと思う。
後半は違和感と伏線が収斂し始めるので見逃せない。
非常に練られたトリックと真相、結末が待っているので、普段の麻耶雄嵩のクセのある展開を期待していると、それがあまり見られなくて少々肩透かしの感はあるが、ミステリとしては非常に面白いのではないだろうか。
少々フェアでないところも多いので犯人当ては賛否あるかもしれないが、トリックなどを看破するのは伏線を見逃さなければ可能なので、謎解きとしての読み方もおすすめの作品だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者がしかけたトリックに盛大にだまされるのはミステリーの醍醐味だと思います。
が、この作品のだまし方には不快感しか感じませんでした。
真相もあっと驚くようなものでもない。
音楽に関連するちょっと気取った文体も、神経を逆撫でするのに一躍かっていると思います。
「隻眼の少女」がかなり面白かったので期待していたんですが、この作品はいまいちでした。 -
自分的には非常に読みやすかった。
あまり好きではない叙述トリックであったが、好感が持てたのは、なぜ? -
あんまり良くわからなかった
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最後の最後に後味が悪く、報われない気持ちに苛まれます。
もう少し加賀蛍司の起こした殺人についてもっともらしさが欲しかった気が…。怪しい人物も見当がついてしまいました。
でも叙述トリックは面白かったです。騙されました -
以前にノベルズで読んだが
文庫で再購入する程好きな作品。
鴉には及ばないが、
何処が良かったのか思い出す為に
また再読します。 -
2015.5/17〜20。物語はよくあるクローズドサークルの館もの。しかし爽快に騙された。ミスリードも伏線も見事。
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オカルトスポット探検サークルが訪れた螢の名を冠する洋館。
十年前、6人が無残に殺されたその館で悪夢が再来する。
凶器に残った指紋。
見知らぬ女の影。
愛する者の命を奪った殺人鬼。
内部犯説と外部犯説を支持する二人の探偵役。
麻耶流フーダニットが読者に重たい一撃を与える。