やわらかな棘 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎
3.46
  • (4)
  • (34)
  • (28)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 267
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344421455

作品紹介・あらすじ

自分を裏切り別の女性との結婚を決めた彼への復讐を誓う晴美、盛大な結婚式を挙げ高級マンションに住むもなぜか満たされない奈那子、子供を育てる自信がもてない母親、亜季。強がったり、見栄をはったり、嘘をついたり。幸せそうに見えるあの人も、誰にも言えない秘密を抱えてる。女同士は面倒くさい。生きるって面倒くさい。だから、みんな一生懸命。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ちょっとずつ繋がってる短編集。

    どの章にも響く言葉があったし、共感する部分も多かった。

    やはり最後の弟が亡くなった姉の章が
    切なくて、似た体験をしたことがあるから
    分かる部分もあって、思わず涙が出た。

    初めて本に折り目をつけた。
    すごく胸に響いたほんでした

  • 人は誰でも見えないところに秘密や悩みといった棘を抱えて生きている。各章で一人ずつ女性に焦点が当てられているが、女性たちの間に何かしらの関係があることで、前の章でわからなかったことが次の章でわかったりして面白かった。浮気、不倫、自殺、摂食障害... 出てきた問題は自分にとって身近なものではなかったが、それでも登場人物に感情移入してしまい、親近感が湧くような作品だった。人は人、自分は自分、世の中にはいろんな人がいるけど、自分の人生を大切にしようと思った。

  • 登場する人物が少しづつ絡み合い、あれ、これ誰だっけ?と何度かページを戻したり。途中、幼稚園児目線で平仮名だったりしたけれど目線が極端に変わるのには効果的だったかな。登場する人物それぞれに想いがあり人生色々だな、一気に味わえる読書の醍醐味を味わえた。

  • 4つの話。
    登場人物は少しずつ絡み合っているが、ひとりひとりがそれぞれ棘を抱えて生きている。
    しあわせの価値観、生きている意味、行動する理由、育った環境。生きる中で育っていく感情と、静かに向き合う主人公たち。
    面白かったです。色々な考えの人がいるけれど、自分の人生をきちんと大切にしようと省みる1冊でした。

  • 頁を捲る度に、自分の心の底にある澱んだ何かが搔き乱される。その感覚は表現し難いのに、止められない短編連作。様々な不全機能家族に育った女性たちが「私だけが欠落している」という気後れで、恋愛や家族/周囲との関係性に苦しみ、悩む様。異性への過剰な依存や献身。その果ての失恋と復讐欲。両親の不和由来の居場所のなさや低い自己肯定感で自分にも物事にも踏み込む怖さや生きづらさが切ない。初期の窪美澄さんを思い出す。

  • ちくちくと胸をさす、やわらかな棘。
    他人を傷つけるつもりの棘で自分も傷を負っている。
    色々なタイプの女性目線で書かれた短編連作集です。一話完結ですが登場人物がリンクしているので
    違う立場や角度からも出来事を見ることができました。どこにでもいる女性の普通の悩みと思いきや
    二股男への仕返し、婿取りをしたセレブ娘、事情を抱えた未婚の母に家庭内不和に摂食障害…
    彼女等はなかなかディープな悩みを抱えていました。黒い内面を描いていても、さほど「嫌な女」だと思えないのは
    みんな自分に正直だからなのかな〜。さらりと読ませる一冊でした。

  • 最初の章で「うわぁ重すぎじゃない?」と思いました。ここまで一線を越える女性は稀なんじゃないかとも思ったし、こんな男も、いくらなんでも稀なんじゃないかと。
    ・・・いや、もしかしたら結構いるのかな?
    次の章で、あ、これは短編連作なんだな。と気づいたあたりから、がぜん面白くなりました。
    この棘は誰でも持ってるものなんじゃないかな。と思える章もあったし、苦々しく感じる章もあったけど、これは最近の中ではヒットな本です。
    いろんな意味で、素直に面白かった。

  • どの章の主人公にも共感はしなかったけど美雨ちゃんがママに「ありがとうは?」とせかされるのが嫌な気持ちはわかる。子どものときを思いだした。わかってるよって。せかさないでって。比呂人には早瀬じゃないけど、ざまあみろ(笑)と。第3章「美しい雨」では第2章「ヒヨコと番長」の奈津子と隼人が結婚したり幼稚園の先生になろうと勉強を始めたのがわかってうれしかったです。最後は早瀬が少しずつ元気になっていけそうな終わりかたでよかった。

  • 一話完結かと思いきや、登場人物が重なっていて、気になる人たちのその後がわかる感じの話でした。

    とりあえずヒロが不幸せそうでよかった(笑)

    「美しい雨」では、私も喜多さんみたいな態度の人を「ちょっと……」と思ってしまってたけど、確かに子供を守れるのは親しかいないんだよなあ。

  • 冒頭でぐっと引き込まれ一気読み。

全32件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝比奈あすかの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
瀬尾まいこ
朝井リョウ
湊 かなえ
柚木 麻子
椰月 美智子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×